goo blog サービス終了のお知らせ 

たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

葉室麟著 「影踏み鬼」

2025年03月23日 21時03分42秒 | 読書記

図書館から借りていた、葉室麟著 新選組 篠原泰之進 日録 「影踏み(かげふみおに)」(文芸春秋)を読み終えた。本書は、伊東甲子太郎(いとうかしたろうを慕い新撰組に入隊した、久留米藩脱藩士、篠原泰之進(しのはらたいのしんの目を通じて見た新撰組の隆盛と凋落、幕末の動乱を生き抜いた篠原泰之進の疾風怒濤の半生を描いた長編時代小説だった。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


▢目次
 (一)~(二十三)

▢主な登場人物
 篠原泰之進(秦林親(はたしげちか))・チマ、
 萩野(はぎの)・松之助(篠原庄太郎
 伊藤甲子太郎、
 相良総三、鈴木
 近藤勇(新選組局長)、土方歳三(新選組副長)、
 沖田総司(新撰組一番隊長)、永倉新八(新撰組二番隊長)、斎藤一(新撰組三番隊長藤田五郎)、
 松原忠司(新撰組四番隊長)、武田観柳斎(新選組五番隊長)、井上源三郎(新選組六番隊長)、
 谷三十郎(新選組七番隊長)、原田左之助(新選組八番隊長)、山南敬助、
 坂本龍馬・おりょう、中岡慎太郎、後藤象二郎、大久保一蔵(利通)、西郷隆盛、
 藤田和三郎(三井両替店
 徳川家茂、徳川慶喜、
 孝明天皇、睦仁親王(明治天皇)、岩倉具視、

▢あらすじ等
 「新撰組」を描いた時代小説の類は、多分、数え切れない程有るに違いないと
 思われるが、概して、近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一、等を主役にする
 作品が多いような気がする。
 本書は、ややマイナーな感じのする「篠原泰之進」という男を中心に据えて、
 彼の視点から見た「新撰組」を描いた作品になっている。
 さらに、抒情性が満ち満ちている時代小説が多い葉室麟の作品にあって、
 本書はやや趣が異にしており、「新選組」を、殺人集団として捉え、
 近藤勇も、土方歳三も、斎藤一も、永倉信八も、新撰組幹部おのおのが
 殺戮者として描かれ、非情、凄惨なシーンが目立つ作品になっている。
 生きている限り、人は何事かをなすことができる。
 本書では、斉藤一だけが、篠原泰之進と心を通じる男として描かれており、
 二人共、明治維新という激動の時代を潜り抜け、明治の世まで生き抜いている。
   二十余年の歳月が過ぎた。
   明治二十五年四月・・・、
   (中略)
   泰之進が物珍しげに歩いていると
   「これは珍しいひとがいる」
   と背後から男の声がした。
   振り向くと、着物姿の眼光が鋭く痩せた壮年の男が立っている。
   「斎藤一、生きていたのか」
   泰之進はぼう然として言った。
 篠原泰之進の妻となり、維新動乱中、別れ別れになってしまう「萩野」という
 女性について、著者は、殺戮集団である「新撰組」の中に有って、篠原が
 「自分を失わないでいられた」のは、「ある意味では、萩野という女性の存在が
 あったからこそであり」「萩野、松之助との家庭があったからこそ、
 バランスがとれて」、 生き抜いたのだと、述べていたそうだ。
 その「萩野」と「松之助」は、最終章にまで登場する。
 こうした実在の女性を描くことによって、英雄である土方歳三とは異なる、
 普通の人である篠原泰之進を描こうとしたようだ。
  ・・・・・あいらぶきゅう、
  (中略)
  泰之進は鬼となって追いかけねばならない影が消えていくのを見た。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 百円で漢字読み書きボケ防止 ... | トップ | 脳トレのつもりで捻る五七五... »

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
終わり方 (アナザン・スター)
2025-03-23 22:08:27
今晩は。
始まりも惹き込まれますが、最後の章は、必ずしもいい方向にはなりません。
読み手に、考えさせ、結末後の物語を作らせます。
余韻がるのも高感度となり、文字が心で繋がります。

葉室作品の特徴は、決して綺麗ごとを書くのではなく、現実の心情。
心に沁みる物語です。
返信する
アナザン・スターさん、こんにちは、 (takezii)
2025-03-24 09:53:56
>終わり方... への返信、

物語が すでに、鳥羽伏見の戦いで、幕府に勝った官軍が、東海道、東山道、北陸道から追撃しようとしている場面から始まり、篠原泰之進が回想する形で進行する構成になっていますね。
幕末から維新、激動の時代を生き抜いた武士達の姿が、生生しく描かれているような気がします。
コメントいただき有難うございました。
返信する

読書記」カテゴリの最新記事