粟生が、大差判定勝ちで2度目の防衛に成功。
ランク下位の挑戦者とあってKOが期待され、本人も
KO宣言をしていたが、かえって力んでしまい、
倒すことは出来なかった。
以前に比べて自分から手数を出して攻めていくことは
出来ていたものの、相手が攻めてきた時には守りに徹して
しまう場面が多く見受けられた。その意味で、進歩と
課題の見えた試合だったと言える。
「史上初の高校6冠」という稀有なアマ成績を引っさげて
プロ入りし、常に大きな期待を背負っている粟生だが、
個人的には、課題を一つずつクリアしながら一歩一歩
進んでいってもらいたいと思う。
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しかし実際のところ、観客に与えたインパクトにおいては
セミファイナルの方が上回っていたのではないだろうか。
世界1位で、最軽量のミニマム級において14戦全勝
全KOという驚異的な戦績を記録している、ニカラグアの
ローマン・ゴンサレスが日本に初お目見えしたのだ。
しかも相手は、世界戦2度出場(
新井田豊へ挑戦)の実績がある
エリベルト・ゲホン。このやっかいな敵をどう攻略するのかと
思って見ていたら、あっという間に終わってしまった。1ラウンド、
ボディで倒してそのままKO勝ちを収めたのだ。
最初から気圧されていた観はあったにせよ、あの懐の深い
ゲホンが、いとも簡単に中に入られてしまう。盛んに左を出す
ゲホンだが、それも全く意に介さないゴンサレス。噂の攻撃力も
さることながら、ディフェンス力の高さ、そしていつの間にか
ススッと入ってくるステップインの鋭さなども目に付いた。
ボクシングにおいては、数字はあまり当てにならないことが多い。
ゲホンを1ラウンドで倒したゴンサレスと、ゲホンと2度戦って
いずれも判定まで行った新井田・・・という比較には、さほど
意味がない。ただ、この日の戦い方を見ると、やはりゴンサレスには
分厚い戦力があり、これは新井田にとっても少々荷の重い相手では
ないか、と思わざるを得なかった。
まったく、とんでもない選手が出てきたものだ。