ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

日本チャンピオンの死

2005年04月15日 | その他
起こって欲しくなかったことが起こってしまった。
先日の試合でTKO負けし、重態に陥っていた
前日本スーパー・フライ級チャンピオン、田中聖二選手が
亡くなった
のだ。僕は彼とは一面識もないのだが、
非常にショックで、何とも言えない重たい気持ちだ。

ボクシングは、頭部を集中的に打撃する危険な格闘技だが、
普段はそのことを忘れて、いや忘れたふりをしている自分がいる。
だから余計にショックなのだろう。非情な現実を目の前に
突きつけられたのだから・・・。ましてや、大切な家族を亡くされた
方々の気持ちは、察するに余りある。

しかし、同時にこうも思うのだ。田中聖二という人は
心から夢中になれるものに出会い、己の全てを注ぎ込んだ。
それは男として尊敬すべきことだ、と。だからといって、
残された周りの人間の悲しみが軽減されるわけではない
だろうが・・・。

確かに、「ボクシングは危険だからやるべきではない」というのも
正論ではある。何も自分から危険に身を投じる必要は
ないじゃないか、と。しかし、男が命を掛けて取り組んだことを
そう簡単に放棄できるはずがない。田中選手にとって、
ボクシングは本当に大事なものであったはずだ。

人はいつ死ぬか分からない。だからこそ、その時まで
精一杯「生」を燃焼させるべきだと思うのだ。
精一杯生きること、それだけが残された人間の努め
なのではないだろうか。とにかく、ご冥福をお祈りします。