▲世界文化遺産「仏国寺」の一柱門
≪第2日目(6月19日)≫
今日は韓国の古都と言われ、新羅時代千年間その都であった『慶州』へ。ホテルを朝8時30分出発、京釜高速道路久瑞(クソ)ICから一路慶州へ。台風の影響なのかはっきりしない天気。
9時55分慶州ICに到着、慶州らしい伝統的な建物の料金所を出て、ソラボル観光情報センターでトイレ休憩、売店やフードコーナーにも立寄る。市内を通り仏国寺(プルグッサ)、石窟庵(クソッラム)へ。
≪石窟庵(クソッラム)≫
仏国寺から吐含(トハム)山中腹の石窟庵に向け車で約20分、見晴らしの良い駐車場に到着。
大鐘楼を見て上り、一柱門を通り1kmほど歩くと、世界遺産「石窟庵」に着く。統一新羅が生んだ世界の名宝とも言われ国宝第24号にも指定されている。石をドーム型に組んだ石窟寺院で、奥の主室には本尊仏が、その周りと前室までの側壁には十一面観世音菩薩像、十大弟子像、菩薩像、四天王像、仁王像、八部神衆像が並ぶ。
統一新羅時代に造られた石窟庵は、日本の植民地時代に盗掘に遭い崩壊、また日本が行った復元工事では当初の姿と除湿機能などが復元できず、現在は前室からガラスで閉じ人工的に換気をしている。
千年以上の耐久性と湿気を除去する自浄構造を持っていたという、新羅人たちの高度な技術に改めて驚かされた。
▼吐含山中腹の石窟庵
≪仏国寺(プルグッサ)≫
石窟庵から下り12時、慶州を代表する世界遺産の仏国寺に到着。ここには7つの国宝がある。6世紀初めに創建されたという仏国寺、何度訪れても長い歴史感じる、そして美しい寺である。
世俗の煩悩を洗い流してから通るという一柱門をくぐり伽藍へ、そして四天王が睨んでいる天王門へ。日本の仁王門と同じで悪魔を入れさせないとのこと。
奥へ進むと、新羅建築の傑作、紫霞門・安養門・泛影楼がつながる美しい本堂が現れる。
▼正面の白雲橋・青雲橋(国宝第23号)
そして、釈迦如来の彼岸世界である大雄殿へ。中に並ぶ本尊釈迦牟尼像と両脇の文殊・普賢両菩薩像に手を合わせる。
正面の中庭に建つ多宝塔(国宝20号)と釈迦塔(国宝21号)の対照的な造りを見る。
▼優美な姿の多宝塔(奥)と新羅時代の典型的な造りの釈迦塔(手前)
回廊を通り大雄殿の裏の無説殿へ。ここは、華厳経を学ぶ講堂だったとのこと。更に裏の急な石段(洛伽橋)を上り観音殿へ。
この高台は南海の果てにあるという観音様の浄土、補陀洛伽山を意味するもので、小さな観音殿には慈悲深い観音菩薩がまつられている。
ここから望む本堂の屋根瓦、頭を出した多宝塔、周辺の木々、いつ見ても美しい景色である。
続いて、左手の毘盧殿へ。ここには金銅毘盧遮那仏座像(国宝26号)がまつられている。
庭の片隅には、1905年日本に持ち出され1933年に変換されたという、高麗時代に造られた舎利塔があり、1592年秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)と共に、過去の悲しい出来事に複雑な思いがした。
更に西側の羅漢殿、そして阿弥陀仏の極楽世界・極楽殿を過ぎ外へ。長く続く精巧な石組の高い建築技術に改めて驚く。
▼観音堂前から見る美しい屋根峰
≪国立慶州博物館≫
千年続いた新羅の王国文化に触れることができる国立慶州博物館、2万坪を超す敷地と10万点の文化財を所持している。 まず入口を入ると、悲しい伝説の残る聖徳大王神鐘がある。良い鐘を造るため鋳造する際に、溶けた銅の中に捧げられた娘が『エミレ(お母さん)』と泣き叫んだことから、別名「エミレの鐘」と呼ばれている。
▼悲しい伝説の残る聖徳大王神鐘「エミレの鐘」(国宝29号)の前で
敷地内には、考古館、美術館、雁鴨(アナッチ)館、そして庭園内に野外展示場がある。
限られた時間の中で、考古館で金冠や騎馬人物型土器を見て廻る。また美術館では、精巧な彫刻や金属工芸品の数々を見ることができた。
▼野外展示場の高仙寺址三層石塔(国宝第38号)
≪韓国の新幹線・KTX≫
慶州での視察を終えて15時58分新慶州駅からKTXでソウルへ。2004年から運行が始まった韓国の高速鉄道KTX、2010年11月には新慶州駅が開業し便利になった。
最高速度は330km、フランスの高速鉄道TGVの技術をそのまま輸入したという車両で、ソウルと釜山を2時間程で結ぶ。日本の「のぞみ」を上回る性能だ。
快適な乗り心地の中で車窓を楽しんでいるとソウル駅に到着。迎えの車に乗り夕食会場へ、その後3日間滞在する麻浦のロッテシティーホテルへ向かう。
▼韓国の新幹線・KTX