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東筑摩郡村長会海外視察研修会/韓国

2018-07-19 22:43:55 | 日々の公務
▲施設園芸研究所でのイチゴ栽培

 東筑摩郡5村長は2018年7月12日から15日まで韓国を訪れ、先進的な農業と緊張が続いてきた半島情勢の実態を視察し見分を広めた。

≪第1日目・12日≫
松本~名古屋中部国際空港~釜山金海国際空港~市内ホテル泊

 松本を8時35分に出発。釜山市内のホテルに18時到着。韓国一の水産量を誇る巨大な水産市場「チャガルチ市場」を見学し、市場の食堂で海鮮料理の夕食をとる。
 夕食後、龍頭山公園の釜山タワーに昇り市内の夜景を見る。地上118mから見る市内の夜景は実に美しい。
 今日では世界から観光客が訪れるこの公園は、昔から市民の憩いの場であり、豊臣秀吉の文禄・慶長の役や日本の植民地からの独立など韓国の激動の歴史を見てきたところである。

▼中部国際空港を出発


▼釜山上空 広安里ビーチと広安大橋が見える


▼金海空港上空


▼空港周辺の農業ハウス


▼金海空港に無事到着


▼釜山港を背景に記念撮影


▼チャガルチ市場周辺の夜景(釜山タワーから)



≪第2日目・13日≫
釜山~咸安(ハマン)~韓国農村振興庁国立園芸特作学院施設園芸研究所~東大邱(トンテグ)~ソウル~サムスン電子本社の広報館「サムスンディライト」~市内ホテル泊

 本日は今回の一番の目的、国を挙げて取り組んでいる韓国の先進的農業視察へ。
 視察先案内を務めて下さる日本自治体国際化協会ソウル事務所の所長補佐・大沢美帆さん(長野県派遣職員)、通訳の金鎮姫さん、そして随行員の李孝眞さんとホテルで合流し、8時にマイクロバスで出発。目的地の慶尚南道咸安へ。ササンから高速道104号線に入り、途中10号線へ、そして咸安・咸安面の韓国農村振興庁国立園芸特作学院施設園芸研究所へ。
 9時40分研究所に到着。広大な敷地に数多くの栽培ハウスが並び、奥中央に大きな研究所が建つ。
 我々を迎えてくれたのは、崔萬権(チェ・マンゴン)さん。日本の高知大学に留学し博士号を持つ研究員。
 早速、講義室で研究所の内容についてスクリーンで説明。韓国の施設園芸産業の発展に重要な役割を果たしてきた歴史や、園芸施設に最適な環境管理技術の開発、設備の信頼性向上と省エネ技術の開発、施設園芸植物の高品質安定生産技術の開発研究などについて説明を受ける。
 続いて、韓国農業の発展に大きな貢献をされた禹長春先生の記念室に案内される。東京大学で農学博士の学位を修得、韓国で種無しスイカを作るなど多くの実績が紹介されている。
 続いて、トマトやイチゴを栽培する温室を案内して頂く。
 施設園芸で使用する水・肥料・暖冷房エネルギーの削減、労働力の削減、作業効率の向上、風や雪など気象災害に備えた構造のハウス、など徹底的に研究された施設に驚かされる。
 水不足に備えての雨水の蓄え、捨てられる使用後の肥料液の再利用、そして暖房費を40%削減できるという特殊構造のビニールハウスなど、我々の地域でも取り入れたい取組みだ。
 イチゴ栽培では、人間工学を考えたベンチ栽培が行われ、労働力を抑え従前の2倍の作業効率になっているとのこと。
 『農業は土づくりから』、このことは最早過去のものになった感がした。海外への輸出を主目的にすると、病害虫・検疫など考えると密封された施設で水耕栽培が最適であることが理解できる。
 韓国ではこうした研究・開発・指導機関が各地にあり農家に対する技術面の指導や、また国等の手厚い高率補助事業があるなど新たな農業振興策に取り組んでいるとのこと。また農家(農協)が強く、民間大手企業が進出してこないということも、農村農業の振興につながっていると感じた。
 外のハウスを案内されているとき、数名の携帯から一斉に警報音が鳴る。見ると猛暑への注意喚起だ。36度以上になるとの予報・・・、暑いと云うより日差しが痛く感じるほどの視察であった。

▼釜山を出発 高速道でジンジュ方面へ向かう


▼咸安面の国立園芸特作学院施設園芸研究所へ到着


▼講義室で崔研究員さんから説明を受ける




▼禹長春先生の記念室






▼研究所の全景


▼全国にある機関


▼世界へ向けての輸出の実態


▼トマト栽培




▼イチゴの新たな栽培方法




▼一行で記念撮影
 右から3番目が崔研究員さん、同4番目が長野県派遣職員の大沢美帆さん


▼広大な研究所


 咸安面の施設園芸研究所を後にして次は、咸安インターで高速道10号線へ入り、サニンジャンクションで45号線へ。そして、ヒョンプンジャンクションから451号に入り大邱へ。遅い昼食をとり東大邱駅からKTX(新幹線鉄道)に乗りソウルへ。
▼ようやく大邱近くに


▼東大邱駅でKTXに乗る


▼車窓から見える高層住宅群 新築工事中の住宅も多い


▼ソウル駅に到着


 ソウルに到着後、韓国を代表する大企業サムスン電子本社の広報館「サムスンディライト」へ。
 様々なデジタルコンテンツや未来体験ギャラリーを楽しんだり、最新技術製品に触れる来館者が国内外から毎日2,000人近くあるという人気の場所。
 最新の未来型デジタル製品に驚くと共に、これからの世界のデジタル技術の流れを感じとることできた。

▼サムスン電子本社ビル


▼館内のデジタルコンテンツ





≪第3日目・14日≫
ソウル市内ホテル~統一展望台~自由の橋~ソウル市内~宗廟~民俗芸能鑑賞~青瓦台~市内ホテル泊

 3日目は、朝鮮半島分断の歴史と、未だ緊張の続く朝鮮戦争の休戦ライン付近の状況について見聞を広めようと、烏頭山統一展望台と臨津閣へ。
 昨日のソウル到着から案内を頂く朴智恩さんと、ホテルを8時にマイクロバスで出発。しばらく走ると目に入るのが漢江(ハンガン)沿い自由路の脇に張り巡らされた鉄柵と監視所。臨津江との合流地点にある烏頭山統一展望台には1時間10分ほどで到着。
 海抜118mの高台にある烏頭山統一展望台は、高句麗や百済が合戦をしたという軍事上の要地で昔は城があったとのこと。南北の平和統一を願って建てられた展望台からは、眼下に臨津江、そしてその対岸には北朝鮮の民家や小学校、金日成記念館などを望むことができる。
 燃料不足から山林は伐採され、裸になった山肌には崩壊の爪痕が各所に見える。農村文化住宅と云われる3階建ての住宅は、老朽化が進んだのか、完成に至らなかったのか、屋根部の無いものや窓部がシートらしきもので覆われている様子が窺える。ハウス栽培のような施設は見えない。道路は未舗装のように見える。
 展望台館内には北朝鮮の生活を紹介するコーナーもあったが、南(韓国)との大きな格差を感じた。
 また、館内には文在寅(ムン・ジェイン)大統領の南北を結ぶ韓半島縦断鉄道構想やシベリア大陸横断鉄道網、更にはヨーロッパ全土へつながる鉄道網の構想などを展示する部屋が新設されており興味深く見学した。

▼臨津閣へ向かう高速道は車でいっぱい


▼各所に設置された監視所


▼烏頭山山頂に統一展望台が見えてくる


▼烏頭山統一展望台周辺の鳥瞰図


▼北朝鮮の風景 文化住宅や学校が見える






▼北へ向かう自由路


▼帰れぬふるさとへの想いが書かれたタイル




▼文在寅大統領のヨーロッパ全土へつながる鉄道網の構想








 続いて、南北の軍事境界線から7km南に位置する臨津閣へ。ドライバーさんの配慮で少し先の板門店入口近くまで行き引き返す。相変わらず厳しい検問が続いている様子が窺えた。
 臨津閣は、朝鮮半島分断の歴史と生々しい現場を見ることができる場所の一つで、平和統一を願うモニュメントも設置されている。
 朝鮮戦争の休戦協定によって捕虜たちが「自由万歳!」と叫び渡ってきた「自由の橋」の閉鎖箇所には、未だ北に残る親族との再会を願う片布が数多く結び付けられている。
 朝鮮戦争中に攻撃を受け非武装地帯に長い間放置されたままになっていた蒸気機関車がここに移され展示されている。1,000発以上に及ぶと云われる銃弾の痕が、当時の状況を生々しく伝えている。そして、分断された鉄道の橋脚部のみが残る現実には複雑な思いがした。

▼板門店への入口付近


▼検問の様子


▼自由の橋 


▼1,000発以上の銃弾痕が残る機関車


▼分断された鉄道、橋脚部のみが残る


▼北は開城へ、南はソウルへ


 次は、ソウルに帰り宗廟へ。
 ここは、朝鮮王朝歴代の王と王妃、及び没後の位を贈られた王と王妃の位牌が安置されている霊廟。韓国の朝鮮王朝時代のドラマで見る三道(サムド)が続き、荘重な雰囲気が漂う場所である。
 世界遺産にも指定されていることもあってか外国人が多い。
 単一の木造建造物では世界最長と云われる101mの正殿の19室には49の位牌が祀られている。韓国ドラマで出てくる王様や王妃様も祀られている。

▼荘重な雰囲気が漂う宗廟


▼祀られている王様や王妃様


▼ドラマでも目にする多くの供え物


 次は、市内を散策。
 ソウル中心地では毎週末にデモや集会が行われているとのこと。この日もデモ行進により交通渋滞が起きていた。
 折角韓国に来たのだからと、ホテル近くの貞洞劇場で民族芸能を観賞。そして、韓国大統領の官邸「青瓦台」に寄りホテルへ帰る。

▼韓国大統領の官邸「青瓦台」


▼貞洞劇場の民族芸能




▼市内のデモ



≪第4日目・15日≫
ホテル~国立民族博物館~景福宮~ロッテワールドタワー~仁川空港~名古屋国際空港~松本

 4日間の視察研修は今日が最終日。
 最初に、漢民族の生活や文化の歴史資料が展示されている国立民族博物館へ。日本へも伝わったと思われる農機具などは興味深く拝見した。
▼国立民族博物館


▼韓国の国鳥「カササギ」、良い知らせを届ける吉鳥とのこと。


 次は、韓国を代表する古宮の一つ、景福宮へ。ここは、朝鮮王朝時代に開城からここソウルに移され、正宮として王様の政務の場、生活の場となったところで、国内外の多くの観光客で賑わっている。
 この日は運良く、鮮やかな伝統衣装を着た守門将による朝鮮時代の王宮守門将交代儀式を見ることができた。

▼勤政殿前で記念撮影


▼王座。後ろには「日月五峰図」が描かれた屏風が立つ。


▼王座天井の龍の図


▼王宮守門将交代儀式




▼興禮門広場


▼光化門


 次は、蚕室にそびえ立つ高さ555m、123階建ての超高層タワー「ロッテワールドタワー」へ。東京スカイツリーの韓国版。2017年にオープン、117階から123階には展望台「ソウルスカイ」が設けられ、ソウル市を代表する新ランドマークとして賑わっている。
 床が強度ガラスで作られた「スカイデッキ」から真下を見ると、車が米粒のように見える。

▼そびえ立つロッテワールドタワー


▼スリル満点のスカイデッキ


▼遠くにソウルタワーが見える


 無事に4日間の視察研修を終えて仁川国際空港から帰国。
 実質2日半のであったが、「百聞は一見にしかず」の言葉通り多くのことを学び、見分を広めることができた視察研修であった。特に、国外輸出に主力を置いた新たな農業については、我が村で農業をやっていきたいという青年らに是非見て欲しいと思った。
 今回の視察研修においては、外務省や長野県の国際交流担当部局に多大なご協力を頂きました。感謝申し上げます。
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