このレポートの465回でカササギのことを書き、最近、ずいぶんふえているといいました。そのことをまさに実感する機会があったのです。大同市と内蒙古自治区の境界付近のことです。1本のポプラの木にカササギがまとまって止まっていました。20羽以上もいるでしょう。
カササギも群でくらすのは秋から冬にかけてだと思います。まもなく巣作りの時期で、そうなるとペアでの生活になります。それにしても、これほど大きな . . . 本文を読む
カササギ(喜鵲)はカラスのなかまの鳥ですが、羽の色が黒と白とにくっきりとわかれ、なかなかきれいな鳥です。黒と書きましたが、じっさいは光線のぐあいでブルーや緑がまじります。いうところの濡れ羽色。
中国の農村で鳥が人を恐れるのは、日本のそれの比ではありません。水鳥なんかでも人を寄せつけません。ところがこのカササギは、人を恐れません。人家や道路のそばのポプラに大きな巣をつくります。人は人で、 . . . 本文を読む
カササギの森の海抜は、管理棟のところで1450メートルです。この緯度で、この高さだと、主人公となる樹種は、リョウトウナラ(遼東櫟)、モンゴリナラ(蒙櫟)などのナラでしょう。2001年からカササギの森の建設をはじめ、その翌年にこのナラを植えました。霊丘県の南天門自然植物園で育てた苗を運んできたのです。
緯度も海抜も、育苗地よりかなり高いのですが、枯れることはありません。枯れ葉をつけたま . . . 本文を読む
日本ではソバのすきな人が多いですね。私もすきです。ソバはいま花の時期をすこし過ぎたくらい。大同では、あまりソバをつくりませんが、霊丘県では名物です。でもそのソバは苦蕎麦。日本でも最近、ダッタン(韃靼)ソバとして、食べさせてくれる店がふえてきましたね。お茶にもします。
ほかの県で、なぜソバをつくらないかときいたら、「面積あたりの収穫量が少ないから」という返事でした。そのかわり生育期間は短いので . . . 本文を読む
いろいろアクセスを試みましたが、秋林峪ではカンバ林の本体に到達することはできませんでした。地元の人をガイドにさがして、可能なルートを案内してもらわないとムリでしょう。ちょっと離れたところでの観察では、あのアブラマツ、そしてカンバの大きさといったところから、30~40年くらいで再生してきた林、という感じです。ネット上には、「原始密林」といった表現もあったんですけど、それが存在しないことの証明は原理 . . . 本文を読む
ブッシュのなかを薮こぎし、谷沿いに移りました。こちらも踏み分け道で、灌木の生育のいいところは道が途切れてしまいます。そこにひときわ鮮やかな色の実をつけた木がありました。ヤナギハグミ(沙棘)です。この地方に多く自生している木ですが、ことしは実がちゃんとついているものは少なかった。旱魃のせいです。ここは地形からみると低くなっており、土が湿っています。伏流水はかなりあるのでしょう。
なかなかおもし . . . 本文を読む
中国で売られている地図で、日本をみると、「北海道島、本州島、四国島、九州島」と書かれています。「日本列島」と日本でもいいますから、まあ、それが島であるのはまちがいない。ふつうの日本人は、でも、本州を島とは考えていないでしょうね。
それを相似形に縮小したように、中国の風景はみな、でかいんです。この秋林峪にはいってから、右をみても左をみても、両側には(おそらく)花崗岩の岩壁がつったっています。そ . . . 本文を読む
谷の奥のカンバ林にむかって歩きます。最初は沢筋を歩いていたのですが、それだと森林にたどりつくのがむずかしそう。で、尾根すじと、平たいところにルートを変えたのです。しばらくは、ちゃんと道のあとがありました。もともとは道だったんでしょうけど、そのあとは踏み分け道のようになっています。ずっとブッシュが茂っていますけど、なんとか歩けます。
ブッシュというのは、バラ科シモツケ属、カバノキ科ハシバミ属の . . . 本文を読む
登ってきた道をふりかえってみました。この谷の構造がよくわかります。ここの地名は「秋林峪」というんですけど、「峪」の字の意味はこういうことなんでしょうね。よけいなことですけど、私の最初の中国の農村体験は1971年の大晦日で、そのときもホームステイしました。河北省の沙石峪という村で、刻苦奮闘の農村として、当時はよく知られていたのです。
その先に、陽高の盆地がみえます。こうやってみると、なかなか豊 . . . 本文を読む
足もとに白っぽい糞がみつかりました。肉食獣のものです。ひょっとすると、オオカミの糞かもしれません。なぜ、そんなことがわかるかというと、この糞は動物の毛でできているからです。「毛糞(マオフェン)」と呼びます。毛や皮ごと、食べてしまうんですね。そして、毛は消化されないで、こうやって糞になって排出される。
のろしを「狼煙」と書くのは、その昔、オオカミの糞を燃やしたからだといわれます。そうすると、煙 . . . 本文を読む
溶岩の急な坂を上りきり、狭い谷の口をぬけると、左右に花崗岩と思える黄色い岩壁がでてきます。そして真正面には森林らしきもの。でも、そこまで到達するにはかなりの距離を歩かないといけません。で、このブログにおいて述べるのも、まだまだ先になります。
自然の岩壁とばかり思っていても、よく観察すると、そこに人手のかかっていることがわかります。かつて畑として耕されていたんですね。石で組まれた窰洞(ヤオトン . . . 本文を読む
「背には峨々たる六稜山……」の六稜山が、秋林峪の舞台です。六稜山というのは渾源県・大同県・陽高県・広霊県から河北省の蔚県にまたがる山脈で、その主峰は黄羊尖(2420m)、大同市でもっとも高い山です。大同の山は北側はほぼ垂直の断崖で、南側はなだらかな斜面になっていることが多いのですが、この山も例外ではありません。
あちこちに頭をだしている岩から推測すると、この山も花崗岩でできています。そして凹 . . . 本文を読む
目的地は陽高県友宰鎮秋林村の奥にありました。大同市内からは高速道路をつかえば、そう遠くないのですが、なんどもなんども道草をくいましたので、朝8時半に出発し、入口に到着したのは11時。野外で食事のできる準備をいちおうしてきましたが、先に食事をして、それから登ることにしました。
この奥に秋林峪があり、そこには瀑布や「原始密林」があって、たくさんの樹木が生えているそうですけど、自分の眼で確かめるま . . . 本文を読む
桑干河の流域、そしてとくに河に近い農村は、この地方ではもっとも恵まれた環境だと私は思います。河じしんに水は乏しいとはいえ、伏流水はありますし、周囲にも水分は多いからです。
ブドウの畑もかなりの面積がありました。この旱魃にもかかわらず、けっこうよく実がついています。考えなおしてみたら、ブドウは乾燥地の産物ですよね。新疆ウイグル自治区でたくさん栽培されていましたから。でも、あそこは天山山脈の雪解 . . . 本文を読む
この写真をみて、「あれっ、同じ写真をみたぞ!」と思われたかたもあると思います。2009年7月11日の309話でした。
http://blog.goo.ne.jp/takamik316/e/ecbff6cf1349d1a4b5556f79acadc396
でも、この2つの写真は、意味あいが大きくちがう、と私は思います。というのは以前のものは、背負っているタキギが人工的に自分たちで植えたマツの下 . . . 本文を読む