裁判員の女神 2 (マンサンコミックス)毛利 甚八実業之日本社このアイテムの詳細を見る |
……事件以来、私は夜も眠れず仕事も出来ません。姉の無念を晴らさない以上、私が普通の生活を取り戻すこなどありえません……
……被告人を死刑にしていただくことを望みます……
「裁判員の女神(2)」作:毛利甚八 画:かわすみひろし
最愛の姉を行きずりの男に強姦されたあげく殺された。恨み骨髄に達した妹は、法廷での復讐を誓う。求刑は、もちろん死刑。
1人を殺しただけでは、それがたとえどんなに無慈悲かつ残忍な殺しかたであっても、情状酌量の余地のない身勝手で傲慢な反抗であったとしても、現在の日本の法律では死刑にできない。100%ではないが、かぎりなく0に等しい。
裁判員制度導入を契機に断固たる刑罰を望む新聞記者や、どう見ても見た目がカタギじゃないテキ屋など、前巻のホームレスに負けず劣らずな個性的な裁判員たちは、無期ではなく極刑を望んで討論を進める。
兄を殺された被害者という過去を持つ左陪席・勇樹美知子は、しかし自らの心の傷にもめげず、公正に公平に、加害者も被害者も救われるような方向に裁判を誘導していくのだ。身を切るような痛みとともに。
ひとつの正論だし、理想ではある。そんなことはわかってる。加害者にも遺族はいて、被害者には今後の人生があって……。
でもさ。
鬼になろうが修羅になろうが、たとえどんなに醜い人間になろうとも、許せないことってあるだろう?
幸い僕にはそんな経験はないけれど、でももし仮に自分が同じ状況におかれたら、犯人が生きているかぎり心を安くしては寝られない。出所するなんてことになったら、自分を抑えていられる自信がない。
人の命の行方を決める、簡単に考えてはならないことだ。いや、理屈ではわかってるんだけどね……。
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