はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

アクセル・ワールド(1)黒雪姫の帰還

2009-05-08 20:32:33 | 小説
アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)
川原 礫
アスキーメディアワークス

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「アクセル・ワールド(1)黒雪姫の帰還」川原礫

 どんなに時代が進んでも、いじめられっ子はいなくならない。近未来のいじめられっ子・有田春幸は、中学2二年にして大人なみの体重で、性格は超がつくほどのびびり。親切を優越感、優しさを哀れみととらえる卑屈な少年だ。それは子供の頃からの幼馴染、チユリやタクム相手にも同様で、実の母親とはろくすっぽ会話もない。
 逃げ場はゲーム。学校での休み時間は学内ネットのマイナーゲーム(人気ゲームは他人が来るから)スカッシュで時間を潰す日々。2年間延々同じ作業に没頭した結果、ついには神のような腕前を身につけた孤独な彼の前に、突然学園のアイドル・黒雪姫が声をかけてきた。
「もっと先へ……《加速》したくはないか、少年」
 一生口をきく機会すらなさそうな超絶美少女に誘われ、春幸が踏み込んだ世界「アクセル・ワールド」は、この時代としては普通になったニューロリンカー(脳と量子無線接続し、五感に様々な情報を送る端末)を通した体感バトルゲーム。いままでつちかったゲーム脳を生かし、彼は世界の王となれるのか……。

 いじめられっ子が唯一得意な分野で強敵に立ち向かう、という流れはベタだけど熱く訴求力がある。黒雪姫の春幸への想いがやや唐突な他は、キャラ相関もすっきりとまとまっていて良い。
 バトルのほうは、頭脳戦もあるし、勝敗の帰趨だけ見ていても楽しめる。しかし問題点はバトルそのものの回数の少なさ。発端のスカッシュだってプレイ人口が少なすぎていまいち春幸の凄さの証明にはなっていないし、そんな状態で世界レベルといわれたってぴんとこない。
 だがまあ、マイナスを差し引いても十分面白い本だった。この展開で次巻が描けるかは謎だけども。一応(1)ではあるんだよな……。

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