J's日誌

中小企業診断士、経営管理修士(MBA)、事業再生士補、AFP。某NPO法人フットサル連盟副理事長。

2万5千年の荒野

2011-03-17 22:00:00 | Book Review


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職場でも、終日テレビをつけている。

#何かあったときの対応のため

今日、自衛隊ヘリでの放水作業が
映ったとき、あるマンガを思い出した。


さいとう・たかをセレクション BEST13 of ゴルゴ13 Author’s selection
クリエーター情報なし
小学館


それが、ゴルゴ13シリーズの中でも
名作の一つに数えられる、表題作なのだ。



L.A.の北方80キロ、運転開始を控えた原発が舞台。

完成を急ぐ突貫工事の最中、誤って圧力容器の
水蒸気逃し弁にクレーンをぶつけてしまうのが発端。


安全課長のバリー技師は逃し弁のレントゲン検査を
主張、工期延期を提言したが、政治的思惑もあって
延長は認められず、強引に原発は運転開始される。

運転開始直後、停電が発生。すぐにディーゼル発電機
の始動を試みるものの、発電機の不調により失敗する。




圧力容器内の圧力が上昇し始め、その後ディーゼル
発電機が回復しポンプが作動し始めるものの、圧力は
下がらず、さらに緊急冷却水の注入にも失敗してしまう。

この原因は圧力容器内の高い圧力により注水が上手く
いかなかったのだった。福島ではベントを開いて圧力を
逃がしたが、こちらはクレーンをぶつけて壊れてしまった。


冷却水が喪失すればメルトダウンとなり、その場合は、
広島で投下された原爆の200倍から400倍の放射能が
放出され、周辺の地表・川・海・大気を汚染することになる。

そして、原子炉から排出されるプルトニウム239が半減する
期間である2万5千年の間、生物の住めない環境をもたらす。




偶然にも、ゴルゴの神業的な狙撃を目撃してしまった
バリーはメルトダウンを防ぐため、原子炉内のパイプを
狙撃することで詰まった蒸気を逃がすことを思いつき、
ゴルゴに接触して原子炉内での狙撃を依頼するのだ。

バ「あんたの正体はわかっている。私はあんたが
  リーバマン氏を射殺したのを目撃した人間を知っている。
  そのリーバマン殺しの目撃者の命とキャッシュで50万ドルを
  報酬に、あんたに仕事を頼みたい」

G「・・・仕事の内容は」

バ「危険な仕事だ。放射能の漏れた原子炉の中で、
  少なくとも厚さ40ミリはあるステンレスバルブの
  一点を撃ちぬくんだ。建屋の中は蒸気が立ちこめて、
  的がよく見えないかもしれない。被爆の可能性もある」

バ「最悪の場合、ほんの数秒で被爆許容線量3,000ミリレム
  を超えてしまうかもしれない。そうなると一週間後に死ぬ
  可能性は50%。軽くすんでも後々ガンや白血病にかかる
  可能性は高い。君の子孫まで影響があるかもしれない」

G「・・・」


という、ゴルゴ自身にとっても危険きわまりないもの。



ゴルゴは淡々と仕事を引き受け、バリーの仲間達が原子炉内で
足場を作る作業を見守るのだが、この時に原子炉建屋に入ろう
としてドアを開けた瞬間に水素爆発が起こるという描写まである。
また、作業員が数十秒単位で交代するあたりが、何ともリアルだ。


原発の図面を頭に刻み込み、バリーとともに原子炉内に飛び込んだ
ゴルゴは蒸気で視界が遮られたまま、記憶を頼りに見えないパイプを
撃つ。ゴルゴの超人的狙撃によって見事に成功し、冷却水が流れ込む。

バ「早く行ってくれ。私はここで死ぬ。あんたとのもう一つの
  約束。目撃者の命だが、ここで果たすよ。私がその目撃者だ」

G「・・・」


この後、ゴルゴが黙ってバリーのタバコに火をつけるシーンが印象的。



ギリギリの状況下でともに戦ったバリーに対するゴルゴの思いが表れる。
ゴルゴ作品はかなり読んでいるが、今日はこの話を思い出さざるを得ない。



賛美歌13番をリクエストします(-_-;
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4 Comments

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凄まじい・・・ (十段)
2011-03-18 14:03:56
 お仕事、お疲れ様です。

 小生、今日から地域チャンピオンズリーグを観戦しに行くつもりでしたが、中止しました。

 で、このゴルゴの原作は、いったい何年前の作品でしょうか?

 あまりにも、未来予知力がありすぎます・・・。

 ミッションを完遂するデューク東郷もすごいですが・・・。
 今だったら、誰もできないでしょうね・・・。
お疲れさまです (J)
2011-03-18 17:32:16
原作は1984年7月発表、単行本でいうと
64巻(1989年3月)に収録されています。
http://www.leed.co.jp/book/b64.html

今から27年前ということにも驚きますが、
チェルノブイリ原発事故の発生が1986年4月
ですから、まるで予言していたかのようです。

日誌内の「さいとう・たかをセレクション」
だけでなく、コンパクト版も出ていますので
機会がありましたら一読をオススメします。
http://www.bk1.jp/product/02517628
承知しました (十段)
2011-03-18 20:22:20
 Jさんの話題つくりのセンスも脱帽ものですが、作者である「さいとう・たかを」氏の、創作に対するあらゆる意味での「センスと感度の高さ」に脱帽と敬意を表します・・・。
私も (J)
2011-03-18 22:17:06
原作を最初に読んだのはいつだったか
忘れてしまいましたが、まさか日本で
同じような状況が、現実に起こる日が
来るとは夢にも思っていませんでした。

TV映像を見た瞬間にストーリーがしっかり
蘇ってくるあたりはマンガとしての作り込み、
完成度が当時から高かったのだと感服します。

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