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SNSで知って予約購入したが、これはすごい本。
不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書) | |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
海軍ではなく陸軍の話だが、第1回目の特攻隊のパイロットと
して体当たりを命じられた21歳の若い優秀な乗り手がいたこと。
そして体当たりではなく何故か爆弾を落とすなど、命令に背いて
9回命じられた特攻を9回生還し、最終的に生き延びたということ。
さらに、そのパイロットは北海道、当別村の出身であり、戦後は
地元に戻り92歳で札幌の病院で亡くなる、本人へのインタビューも。
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詳しくは読んでいただきたいが、よく映画等で語られる特攻とは
異なり、現場ではその有効性に疑問を感じていたのも事実のようで。
特に第1回目ということで、軍の幹部は絶対に特攻を成功させる必要が
あったのだろうが、優秀なパイロットが最初に選ばれたのも現場は苦悩する。
今までほとんど報じられていなかったと思うが、投下出来ないはずの爆弾、
括り付けられた爆弾は、現場判断で投下できるように改装されたというのだ。
これによって、無駄死することなく爆弾を投下して特攻から生還するのだが、
発表上は体当たりして死んだことになっていて、地元では2回も葬儀が行われる。
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戦争を知らない世代が軽々しく特攻を語って良いのかどうか分からないが、
特攻はその戦術特性上、特攻を命じられた側の証言がほとんど残っていない。
一方で特攻を命じた側の証言は戦術を正当化するバイアスがかかり、成功確率も
高くほとんど皆志願して特攻に向かった、などと描かれるが、そうでもないようで。
あまりにも壮絶な話で圧倒されるが、少なくとも物事は一方の話だけを聞いては
真実が見えず、現場の声や記録を丹念に収集することが重要だということは分かる。
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道内でもっと紹介されて良い本だと思います(-_-;