後輩から転居の知らせ

　後輩から住所移動の知らせが届きました。彼女は私の大学の後輩にあたります。私が卒業、彼女が入学でしたので、学内の接点はまったくありません。彼女の父上と社長が親しく、縁故で入社。深淵のお嬢様でした。せっかく専門大学を卒業したのだから、花嫁修業の前に少しだけ働かせようと父上の思いが我が社を選んだ理由でした。
　
　会社には二年ほど勤務。彼女を好きになった男性、彼女が好きになった人、そのつど相談を受けましたが、厳格な家は彼女の自由を認めませんでした。年度末の３月末で退社しました。例年５月に新入生歓迎会を兼ねた社員旅行があり、旅行幹事だった私は彼女をさそいました。もちろん異例なことでしたが、会社と彼女の家は認めてくれました。楽しいひと時だったそうです。
　
　私の長女の誕生日にレコードをプレゼントされました。家が狭く、オーデイオセットが出せないとは言えませんでした。ほどなく大学教授とご結婚。文化人類学の先生でしたから、日本中いや世界中が勤務地でした。そのころから年賀状だけのお付き合い。彼女のご長男に障害があることも賀状で知り、少年が書いたような年賀状が毎年届くようになりました。絵の指導は二番目の子、ご長女、その子がもうＯＬさんなんですって。
　
　数年前、病に伏していることが賀状に書き添えられていました。病状を尋ねることもできず、遠回しの見舞いも賀状の追記。今年の年賀状では回復した様子。今度は、私の健康を気遣ってくれ、検診に行けと添えられていました。

　そして先日、転居の知らせが届きました。終の棲家の場所がご主人と意見が異なり、やっと彼女の意見が通ったらしく、古都京都のマンションを買ったそうです。
　
　近ごろは便利、さっそくグーグルマップでしらべたら、工事中の看板、販売価格も見えました。頑張ったな！。ご実家の倒産、父上様の看病、長男のお世話、長く苦労が多かった君には遅すぎたご褒美でした。さっそく転居祝いを送ります。