<真砂・宝山神社 *まなごほうざんじんじゃ>
今は美しい社殿を持つ、真砂・宝山神社も、
もともとは「宝山明神社」と呼ばれる
無社殿神社のひとつだったと聞きます。
現在、社殿が作られている小高い丘の頂上を
ご神体としていたとするならば、
その昔は長い石段の下から、
山に向かって遥拝していたのでしょう。
もしかすると、鳥居の脇に置かれた丸石は、
当時の祭壇の位置を示しているのかもしれません。
「社殿」という人工物を作ることで、
人々はそれ自体が神様だと思い込むようになり、
本当のご神体である山や森そのものに、
無遠慮に足を踏み入れるようになりました。
山の上に神社を作るようになったのは、
ごく最近のことで、今も無社殿神社の多くは、
「山と平地との境目」に置かれています。
神様への信仰の厚さがかえって、
神様との距離を生んでしまっているのですね。