たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

鉄を巡る争い

2019-05-24 09:32:51 | 鉄の神々1

<中山神社 なかやまじんじゃ>

 

昨日ご紹介した、美作国一の宮・中山神社に伝わる話以外にも、

『中山神社縁由』の中には、「地主神であるオオナムチは、

中山神にこの地を譲り、境内の祝木(いぼき)神社、

あるいは国司(くにし)神社に退かれた」

という一節が記されています。

現在、中山神社に祀られるの神は「鏡作神」ですが、

もしかするとそれ以前は「金山彦神」、

さらに古くは「オオナムチ」が祀られていた

可能性もありそうですね。

オオナムチから土地を譲られた(奪った)金山彦神は、

出雲の金屋子神とも同一視される存在ですし、

もしかするとこの美作国でも「新旧のタタラ部族」

の争いが勃発していたのかもしれません。

 

また、日本書紀の中では、

「天岩戸隠れの際、石凝姥という鍛冶屋が、

香具山の金(かね)を採って日矛(ひほこ)を作り、

真名鹿(まなか)の皮を丸ごと剥いで、

天羽鞴(あめのはぶき)を作った」という記述があります。

「天羽鞴」は「鞴(ふいご)」と呼ばれる、

鉄を熱したり銅を熔かしたりする送風装置のことで、

炉に空気を送り込み炭を勢いよく燃やすために用いられました。

つまり、オオナムチと中山神(金山彦神)との国譲りにおいて、

中山神(の眷属神)が乙麿に命じたのは、

製鉄機械の材料となる「鹿」を献上することだったのでしょう。

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