たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

人々の呼吸

2016-10-11 10:56:12 | 東日本・三陸の神社

<石巻・善海田稲荷神社 ぜんかいたいなりじんじゃ>

 

東日本大震災の津波被害を避けるため、

多くの住民が避難をした場所のひとつが、

鹿島御児神社のある石巻市の日和山です。

山の南側に広がる海岸沿いの一帯には、

市内でも特に甚大な被害を出した、

門脇・南浜地区という町がありました。

 

山の上にいるときはさほど感じなかったのですが、

山を下り門脇地区のほうへと車を進めていると、

日和山という山は、市街地にありながらも

かなり標高が高いということに気づきます。

震災当日は、山頂の神社へと続くいくつかの参道を登り、

何百人という住民が着の身着のままで避難してきたそうです。

 

門脇・南浜地区に降り立ち、まず目に飛び込んできたのが、

どこまでも続く広大な草地でした。海沿いの工場らしき建物と、

震災後に作られたであろういくつかの店舗やモニュメント以外に、

「人々の呼吸」を感じさせるものは何ひとつありません。

 

雑草が高く生い茂った「町」の一角には、

かつての住民たちの営みを伝えるかのように、

二本の老松と小さなお稲荷さんの祠が残されています。

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