<柳谷・滝神社 やなぎだにたきじんじゃ>
森の中にある柳谷・滝神社の境内に、
不思議なほどの白さをもたらしていたのは、
木々の間からキラキラと降り注ぐ日光と、
足元に咲くバイカオウレンの花々でした。
まるで豆電球を灯したかのように、
純白に輝くその可憐な姿は、
この神社の見どころのひとつで、
2月下旬から3月にかけてのピーク時には、
境内のあちこちに群生するそうです。
訪れた日は、すでに見頃を過ぎていましたが、
膝を折って地面にしゃがみ込むと、
その梅の形にも似た5弁の花びらが、
苔の絨毯に織り込まれた文様のように見えます。
他の色を惹き立てる薄く白い花弁の透明感、
ひと目を避けるようにして咲く遠慮がちな姿、
いかにも日本人好みのどこかはかなげなその花は、
のちにご祭神となった天照太御神への
氏子たちからの献上の品なのかもしれません。