<古座川 こざがわ>
海や川など水辺の神社で行われる「船祭」は、
「尊きものは海の彼方に住む」という
日本人の古い信仰に基づいて、
綿々と続けられてきたご神事です。
長い歴史の中で様々な形に変化はしましたが、
古代の日本人は、海の彼方からやってきた
渡来人の知恵や文化の中に神を感じ、
また海の彼方からやってきた人々は、
古代の日本や日本人の信仰心の中に、
自分たちが求め続けてきた理想を見たのでしょう。
船祭の会場となる海辺や河口というのは、
「海の神」と「山の神」が出会う場所、
そして海からやってきた人々と、
山から降りてきた人々とが邂逅する地です。
海水と淡水とが混ざる汽水域に、
「神が宿る」といわれるのも、
異なる二つの性質が重なることで、
「第三のモノ」が生じるからだと思います。
遥か南の海を渡ってやってきた人々は、
日本にそしてこの熊野の地に、
「自身の片割れ」が存在することを
知っていたのかもしれません。