<南三陸・五十鈴神社 いすずじんじゃ>
東日本大震災で甚大な被害を出した場所のひとつ、
南三陸町の中でも、特に高い津波に襲われた地域が、
町の南に位置する「戸倉」という地区です。
この地区には、戸倉小学校と戸倉中学校があり、
いずれも波の影響をまともに受けてしまいました。
特に、海岸のほど近くにある戸倉小学校は、
津波襲来の知らせとほぼ同時に、
三階建ての校舎が海の中に沈んだと聞きます。
もし子どもたちが校外へ避難せず、
校内や屋上に留まっていたとしたら、
犠牲者の数は計り知れなかったことでしょう。
子どもたちの命を救ったのは、
小学校の裏手にある小さな神社の小山でした。
地元の人でなければ知らないであろうその場所は、
赤い鳥居が目印の五十鈴神社という名前の氏神です。
あの日この神社には、戸倉小学校にいた児童や職員、
多くの近隣住民などが避難し一夜を明かしました。
今回聞くことができた震災当時の話の中でも、
とりわけ印象的だった内容のひとつが、
この五十鈴神社が「起こした」出来事です。