<池田町・川崎地区>
中東やイスラエルへの造詣が深い方々は、
剣山および剣山周辺の景色を見たとき、
両者の地形が非常に似通っていることに、
少なからず感動を覚えるのだそうです。
そして、四国を横断する四国山地には、
かのモーゼが神から十戒を授かった
シナイ山の姿を重ね合わせると聞きました。
確かに写真で確認しましても、
シナイ山の山頂から見た眺めは、
先ほど私が見た見ノ越峠からの
浮世離れした景色を彷彿させますし、
四国山地という場所そのものも、
熊野や白山などの山々とは異なり、
樹木の密集度が薄い印象を受けます。
これほどの標高、降水量を誇る山でありながら、
剣山という山を訪れて感じるのは、
しっとりとした深い森の気配ではなく、
どこか湿度の低い乾いた岩山の空気です。
もしかすると、古くからこの地域に伝わる
「山焼き」の習慣は、赤茶けた岩肌がむき出しの
シナイ山への憧憬が込められているのでしょうか……。