治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

EBS(エビデンスベースドなお相撲)

2011-11-29 10:02:55 | 日記
昨日になって、突然私から「あれどうなりましたか? これどうなりましたか?」のメールを受け取った皆さん、すみません。
15日間、そっちに脳みその振り分けが出来ていませんでした。

九州場所が始まる前から、わかっていたのです。
11勝4敗が大関昇進の目安。
ストレートに勝って11日目に決まる、というのは考えにくいので
要するに二週間は引っ張られるんだろうな、と。脳みそ的に。

千秋楽に合口の悪い相手が想定されるし
ドキドキドキドキの日々が続くだろうなと予測が最初からつきました。

この状況が、なるべく仕事の邪魔をしないよう
最初から不安対策を考えることにしました。

11勝っていうことは要するに、4敗までは許されるわけです。
そう考えることにしました。

そして何をやってしでかすかわからない稀勢の里関のこと

これから誰との取組が残ってる~とか邪念でくよくよすることなく
(それでもまあ、11時ごろになると毎日相撲協会のHPを開き
明日の対戦相手を確認してしまうわけですが。ていうか誰かがついったーで報告してくれることも多いし)

とにかくこれを基本方針にしました。

「5敗を喫するその瞬間までは、希望を持ち続ける」

それと、必ず毎日原稿に取り組むこと。

毎日有酸素運動をしてセロトニンを増やすこと。

こうやって15日間を乗り切ることにしました。

同じ稀勢の里ファンの間でも「ああもうだめだ、来場所に持ち越せばよい」
「下手すると二桁勝てなくて白紙に戻るのでは」

という悲観論に傾く人々もいれば

「まだいける!」「いける!」と励ましあう仲間もいました。
私はこっちです。

療育に対する保護者のアプローチの違いと同じ世界がそこにはありました。
ある意味、あきらめてしまう方がカンタンなのです。

「未来への希望」を標榜する立場としては、あきらめるわけにはいきません。

「崖っぷち」「正念場」という報道が出始めたときには
「そういえば私も、何度も崖っぷちや正念場を乗り越えてきたなあ」と思い出しました。
じゃないとこんな零細企業が、今もここにあるわけはないのです。

「私はどうやって乗り越えてきたんだろう?」と改めて考えてみると
そこにあったのは、周囲の応援でした。
そして周囲の応援を呼んだのは、やりぬくという自分の姿勢でした。

きせのんは親方の急逝を乗り越えて、万全とはいえない中で頑張っている。
だから私も応援し続けようと思いました。

十四日目を終えて、「明日勝てなくても昇進?」というニュースが出始めたとき
最初に私は「それはないでしょ。ちゃんと勝って決めてほしい」と思いました。

たしかに相手は苦手だけど、一度も勝ったことがないわけではないのです。
私は去年の名古屋で勝った現場にいたんですから。

でも、親方衆が理由に挙げる
・ここ一年安定して二桁上げている
・姑息な手を一切使わず真っ向勝負

という理由には「そうだなあ」と思いました。
そして相撲部で回ってきたデータを見ても、ここ一年の白星は大関たちより多い。
これも裏づけがあるなあと思いました。

何よりも、汗をふかずに土俵に上ったり、姑息な立合いをしたり、締め込みをきちんと締め込まなかったり異様にゆるすぎたりという細かな画策をする横綱大関陣より、きせのほうがずっと清々しい大関になるだろうなあ、と思えてきました。

そして33勝にこだわっていた自分が
「まるでDSM萌えの人たちみたいだ」と考えるようになりました。

DSMで私たちが普段目にするのはこれですよね。



でも本当はこれは「レファレンス」に過ぎず

本物のDSMはすごい分厚くて、どうしてそこに至ったかの説明が長いんだそうです。
そしてそれは日本語に翻訳されていない。
だけどもちろん熱心な先生たちはそれを取り寄せてつぶさに読むわけですね。

そうすると、レファレンスの来し方がわかるので
逆にあれはこの診断名に振り分けられた、これは今度消えたとか
そういう目先の問題に萌えることはなくなるそうです。
きっと障害の本質をもっと見極められるようになるのでしょうね。

だからネット上でDSMの診断名振り分け萌えして素人と遊んでいるバカ医者は
もともとのその分厚い原書に当たってないのかな、って一部で思われているみたいですよ。

なんてDSMのことを考えていたら

こういう記事が目に入り

=====

審判部の藤島親方(元大関武双山)は「われわれは玄人。彼の内容がどれだけいいかは分かっている。ただの白黒だけじゃなく、胸に伝わってくるものがある」と断言。立ち合いの変化を一切しないあたりを、貴乃花審判部長(元横綱)は「けれん味がなく、真っ向勝負だ」とひたむきな取り口をたたえた。

=====

DSMを丸ごと読んでいるみたいなもんでしょ、親方衆は。
だったらプロの意見を聴けばいいや、と納得できました。
それにひたむきなのは素人目にもわかるし。
だからこそファンになったんだし。

第一これをもう一度やられたら、こっちの身がもちませんわ。

花風社の本を待ってくださっている多くの読者の皆様のためにも
一度で決めてくれて、よかったです。

さて、伝達式を待ちましょう。

3月の大震災のあとの募金活動で
私は稀勢の里関に「大関になってください」と声をかけて握手していただきました。

あとで考えたら、ご実家も茨城で被害が出られたとのこと
お見舞いを言うのが筋だったかなと。

でも一緒に言った画伯も
同じことを言ってしまったそうです。

それが私たちの願いだったから。

通過点に過ぎないとしてもね。