教育カウンセラーの独り言

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植草一秀の『知られざる真実』」 保険不正販売日本郵便横山邦男社長の正体

2019年12月20日 12時12分53秒 | 国際・政治

曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

 

 

保険不正販売日本郵政横山邦夫社長の正体

 

                                             

    「                            植草一秀の『知られざる真実』」

                                                   2019/12/20

                   保険不正販売日本郵便横山邦男社長の正体

               第2509号

   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019122006000061867
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に「民営化」問題について詳述した。

「民でできることは民に」

のフレーズ下で民営化が推進されたが、この考え方自体が誤りだ。

「民がやるべきことを民に」

でなければならない。

「公がやるべきことは公に」

でなければならない。

「民営化」は巨大利権である。

公的企業を民営化すると経営トップが高額報酬を受け取れる。

公的企業幹部が熱心に民営化を推進する第一の理由がここにある。

かつて国鉄が民営化されたが、民営化に伴い、民営化鉄道会社のトップに就任
し、経営最高ポストを数十年にわたり握って離さないような人間まで現れてい
る。

「自分の利益のための」民営化だったのだ。

必需品・サービスであり、独占が許されている事業であれば、事業として成り
立たないことがない。

国家が巨大な投資によって築いた事業を受け取れば、資本はリスクなしに巨大
な利益を確保できる。



「民営化利権」に多くの巨大資本と守銭奴が群がるのだ。

郵政民営化は350兆円の郵政マネー、郵政保有の巨大不動産、郵政が展開す
る新事業の巨大ビジネス利権を簒奪(さんだつ)するために、ハゲタカ資本が
小泉純一郎内閣に指令したプロジェクトである。

2005年4月に閣議決定された郵政民営化関連法案において、法案決定の直
前に竹中平蔵氏の指示で「かんぽの宿」などの売却規定が法律案に盛り込まれ
たと関係者が証言している。

この点に関連することを竹中氏が自身の著書のなかで記述している。

「メルパルクホールやかんぽの宿等、本来の仕事、つまりコア事業でない(し
たがって競争力もない)ものは資産を処分して撤退するべきだと判断した。」

かんぽの宿は旅館ビジネスの一つであり、本来業務ではないから資産を処分し
て撤退するとの主張だ。

しかし、この内容は竹中氏の別の場での発言と矛盾する。

竹中氏は2008年3月、不動産会社森ビル子会社「アカデミーヒルズ」が実
施したパネルディスカッションで次のように発言している。

「ここ数年で東京の開発がすごく進みましたが、六本木ヒルズを除けば、ほと
んどがJRなどの跡地開発です。そうした開発しやすいリソースが今後、どの
ぐらい出てくるんでしょうか。

一つは郵政がありますよね。ものすごい資産を持っていますから。

ところが、これまで法律で定められたこと以外はできなかった。

東京駅前の一等地にありながら東京中央郵便局の有効利用ができないのは郵便
と貯金とかんぽしか、やっちゃいけないからです。

不動産事業はできなかった。しかし民営化すれば、それができるようにな
る。」



こう述べて、郵政グループは民営化後に本業以外の事業に進出できることをア
ピールした。

2009年1月、かんぽの宿不正売却事案が発覚した。

「かんぽの宿」79施設が109億円という破格の安値でオリックス不動産に
売却されることが明らかになった。

所管の鳩山邦夫総務相が「国民が出来レースと受け取る可能性がある」と発言
して待ったをかけ、結局、不正廉売は未遂事案にとどまった。

売却対象になった79施設は、かんぽの宿69施設、ホテル型宿泊施設のラフ
レさいたま、首都圏社宅9施設。

79施設の固定資産税評価基準額は857億円、売却対象のひとつに過ぎない
ラフレさいたま一施設だけで時価は100億円程度と見られた。

オリックスグループの経営トップであった宮内義彦氏は郵政民営化の具体化に
先だって郵政民営化を検討していた規制改革会議の議長として郵政民営化問題
に関わった。

宮内氏は著書『経営論』のなかで次のように記述した。

「『かんぽの宿』は料金のわりに施設が充実しているため主婦層を中心とした
顧客基盤をしっかりと築いています。こうした施設で民間のホテル、旅館業が
対抗していくのは容易ではありません。国民の税金をもとにした膨大な資金力
を背景につくられていますから一介の私企業が、かなうはずもありません。そ
もそも、なぜ国の機関が宿泊事業をしなければならないかを根本から問い直す
ことも必要でしょう」

日本郵政は初めからオリックスにかんぽの宿を不正廉売することを目論んでい
たのだと推察される。

三井住友銀行出身の西川義文日本郵政社長の下でこのプロジェクトの責任者を
務めたのが日本郵便現社長の横山邦男氏である。

生命保険商品の不正販売を行ったのは日本郵便株式会社で、その経営トップが
横山邦男氏である。

最大の責任を負う横山邦男氏の引責辞任は避けて通れないが、責任問題処理が
あまりにも遅い。



上記のアカデミーヒルズでのパネルディスカッションで建築家の隈研吾氏が次
のように述べた。

「郵便局はね、実は世界中で狙われている施設なんです。

郵便制度が確立したのは20世紀初頭ですが、このころの建物はグレードがい
い。これは世界共通です。

だから、そのころの郵便局の建物をホテルにした例って、すごく多いですよ。
高級ホテルにぴったりなんですよね。

日本でも、それができるとしたら、すごくおもしろいことになりますね」
 
実際、日本郵政は東京駅丸の内駅前の東京中央郵便局の建屋外観を残して再開
発し、不動産事業に進出した。

竹中氏は、かんぽの宿が日本郵政のコア業務でないから売却することにしたと
述べたが、日本郵政は現実には不動産事業に進出している。

国民財産である郵政グループを民営化し、その巨大資産を民間人と民間資本が
食いものにしている。

民間から郵政グループ企業に潜り込み、国民財産によって私的な利益に付け替
える悪事が全面的に進行してきたのだ。



日本郵便は顧客に不利になる保険商品を企業ぐるみで販売した。

保険商品乗り換えのために旧保険を解約したが、健康状態から保険の契約がで
きなかった、

新契約が告知義務違反とされて保険金が支払われなかった、

不利な新規商品に乗り換えさせられた上、保険料支払いが二重になった、

無保険状態が発生した、などの事例が発覚した。

12月18日、特別調査委員会が調査報告を発表した。

2020年3月を目処に、追加の報告書が提出されるということだが、1万2
800件以上の違反疑いのうち、顧客に嘘の説明をするといった法令違反が4
8件、家族を同席させずに高齢者と契約するといった社内規定違反が622件
あった。

違反の疑いのある契約を結んだ顧客の7割超が60歳以上だったという。

顧客の利益よりも自己の個人的な利得等を優先させる販売員が存在していた
が、実効的な研修や教育、指導等の取り組みが組織的に行なわれて来なかっ
た。

郵便局等の営業目標達成のために、不適正募集が黙認されるという風潮が形成
され、不適正募集の手法が各地に伝播して行ったことなどが報告された。



つまりは、日本郵便の経営そのものの問題なのだ。

顧客の利益を優先することを徹底し、企業の利益は、あくまでも顧客の利益確
保の延長線上に実現するとの経営理念が徹底され、人事考課が顧客の利益確保
を基準に行われてきたなら、このような問題が広範に発生する可能性は生じな
い。

日本郵政の長門正貢社長は12月18日の記者会見で、

「乱暴に言えば事件は現場で起こった。

それをかんぽ生命、日本郵便の社長ですら経営問題として把握できなかったの
だから、持ち株会社の取締役会で知っていたのかと言われると認識できていな
かった」

と述べた。

また、記者会見に際して、長門社長は特別調査委員会の調査報告書に目を通し
ていないことも述べた。

民営化会社の経営トップに居座る「利権」のことしか頭の中にはないのだろ
う。

企業の経営体質がもたらした重大不祥事であるにもかかわらず経営トップが、
発生した問題に対する責任意識をまったく保持していないことがよく分かる。



「公がやるべきことは公に委ねる」のが正しい。

「今だけ金だけ自分だけ」の「三だけ主義」人間が民営化事業のトップに居座
ることに最大の問題がある。

「民営化」は結局のところ、国民固有の貴重な資産、財産が、三だけ主義人
間、三だけ主義資本によって食いものにされる結果しか生んでいない。

日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の社長を更迭することがまず先決事項だ。

そのうえで、これら民営化企業の経営トップの処遇を見直すべきだ。

報酬を開示するとともに大幅に引き下げるべきだ。

公的役割を負う事業であるなら、株式の過半は政府が保有し、三だけ主義人間
ではない、公益を優先する無私の人物を経営トップに据えるべきだ。

その上で、「公がやるべきことは公に」の考え方を明確にして、公営化に回帰
させるべき事業を公営に回帰させるべきだ。

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