教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

「自分を無敵に見せる手法」 北丸 雄二 ジャーナリスト (東京新聞 「本音のコラム」)

2024年07月15日 01時14分21秒 | 日記・エッセイ・コラム

「自分を無敵に見せる手法」 北丸 雄二 ジャーナリスト
(東京新聞 「本音のコラム」)

「間違えるのが怖い」「叱られるのは嫌だ」とは誰もが思います。ならばどうするか?  間違えたり叱られたりしないよう精進するのが旧来の教え。でも「精進」をスッ飛ばして解決に辿り着く上手が出てきた。「間違ってる」には「それはあなたの感想ですよね」と切り返す方法。 相手は虚を突かれ「感想」とは何かという、より不毛な議論に導かれる。

さらなる上手も現れました。「間違ってる」と言う相手こそを「間違ってる」とマウントを取る手法です。 痛い質問をされたら「同じ質問を繰り返してませんか」と時間を稼ぎ、その間に答えではなく上から目線の反問をぶつけて相手を逆に叱りつける。「上手」と書きましたが 自分に不利な議論を空威張りで平準化する手法です。

ハウツー本やマニュアル文化の胡散臭さは、途中の試行錯誤を無視して一気に答えを開示し暗記させる安直さです。そこに昨今は「自己啓発」なる、簡単にイッチョマエになった気になれる即効本が流行る。出てくる言葉はわかりやすいがどこかで聞いた陶酔型のセリフばかり。その空虚を体現した感のある人物が都知事選で票を取りました。

太宰の「葉」に、初めて手にした算術の教科書の数字の美しさを語る文章があります。でも巻末のペエジに全ての解答が記されてあるのを発見して、少年は眉をひそめて呟くのです。「無礼だなあ」

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