2025年大阪・関西万博のシンボルとなる大屋根(リング)について、万博を運営する日本国際博覧会協会が会期中、会場周辺で雷の発生が予想される場合は来場者を大屋根に上らせないようにすることが27日、分かった。協会の防災計画では大屋根は「落雷の危険性が高い」としており、来場者の安全を確保するための措置となる。

万博は来年4〜10月、人工島の夢洲(ゆめしま)(大阪市)で開催。会場に設置する1周2キロ、高さ最大20メートルの大屋根の上は来場者が歩くことができる。会場全体のほか大阪湾も見渡せる眺望が万博の目玉として期待されている。

一方、協会が策定した防災基本計画によると、大阪では令和4年に雷を観測した日が年間で18日あり、このうち雷の原因となる積乱雲が発達しやすい夏季(7〜9月)に13日と集中していた。

計画では、会場に樹木を植える「静けさの森」とともに、大屋根の上は「高さがあることから、他と比べて落雷の危険性が高い」「人がいると人体へ雷が飛び移る危険性が想定される」とする。

協会は大屋根に上る来場者を落雷から守るため、気象情報会社などの予測にもとづき、夢洲付近で雷を伴う雨雲の発生や接近が予想される場合は一時的に大屋根に上らせないようにする。

大屋根は手すりが避雷設備になっており、雷が落ちれば受け止めて地中に流す。このため、協会は大屋根そのものへの被害は想定していない。

ただ、大屋根の下にいる人などは感電の恐れがあるため、雷の危険があるときは大屋根に上らせないことに加え、近づかせないようにする対策もとる。(井上浩平)