「小泉米」のカビ毒検査は本当に行われているのか コストコや大手ドラッグストアを含む3社が”回答拒否” 

デイリー新潮6/25(水)11:51

「小泉米」のカビ毒検査は本当に行われているのか コストコや大手ドラッグストアを含む3社が”回答拒否” 

小泉進次郎農水相

本当に検査は行われている?

 コメ担当大臣として矢継ぎ早に“農政改革”を打ち出し、「次の首相にふさわしい人」のトップを走る小泉進次郎農水相(44)。「小泉米」が彼の人気の源泉となっているのは間違いないだろう。だが、その備蓄米に関して重大な懸念が生じている。それは、備蓄米のカビ検査が本当に行われているのか、という疑義である。農水省は「問題なし」のスタンスを崩さないが、実際、「週刊新潮」が「小泉米」を扱う20社に質問状を送ったところ、3社が事実上回答を拒否するなど疑念は膨らむばかりで……。

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「小泉米」が迅速に供給されたことによって、確かにコメの価格は下落傾向にある。しかし、そのスピードは「拙速」と紙一重のものといえそうだ。速さを求めるあまり、食の安全に関するチェック、すなわち備蓄米のカビ検査(メッシュチェック)が本当に行われているのか、疑義が呈されているのだ。

 大手卸関係者が言う。

「これまで政府は、古い備蓄米を放出する場合には必ず、メッシュチェックによるカビ検査を行っていました。古い備蓄米にはカビが発生する可能性があるからです」

 カビが発生した玄米はほかの玄米とくっついて塊になる。問題のない玄米は約1センチ四方の網目を2枚交差して重ねたものを通過するが、カビの塊となった玄米は網目に引っ掛かり判別できる。これがメッシュチェックの仕組みである。

「大手卸にすら設備がない」

「週刊新潮」2025年6月19日号では、農水省のHPで〈メッシュチェックを行わずに引き渡すことも可能〉と明記されており、カビ毒検査が事実上、任意となっていると報じた。

 この報道に対して農水省はホームページで「任意検査に変えたわけではない」と否定。さらに、〈メッシュチェック等の品質確認を買受者自らが行う場合に限り、国によるメッシュチェックを行わずに引き渡すことも可能〉とホームページの記述を変更した。

 しかしながら、果たして買受者側で本当に検査が行われているのか、という点については不透明な部分が残っているのも事実だ。

「“小泉米”では検査の一部が小売業者に委ねられました。しかし本来、検査は政府の管轄です。われわれ、大手卸にすらメッシュチェックの設備がないというのが実情なんです」(前出の大手卸関係者)

「検査を一切、行っていない業者もある」

 なお、専門家によれば、カビ毒は肝臓がんや腎臓障害などを引き起こす危険性があるという。

 農水省に聞くと、

「(国がメッシュチェックを行わないケースでは)各事業者の責任の下、品質確認を行ってくださっていると考えています」

 こう説明したものの、先の大手卸関係者は、

「実際にはカビ検査を一切、行っていない業者もある」

 と言うのである。

〈大半はメッシュチェック〉ということは……

 そこで「週刊新潮」は今回、「小泉米」を扱う20社の代表的な大手小売にカビ検査の有無や方法などについて直接、問い質した。その結果は――。

 生協(日本生活協同組合連合会)のように〈すべて「メッシュチェック」と「カビ毒検査」を実施済みの玄米のみを国から受け取り、精米するスキームで運用〉としっかり回答する業者がある一方で、外資系の倉庫型卸売小売チェーンのコストコ及び中国・四国・九州地方を中心にスーパーマーケットを展開するイズミが回答を拒否。加えてドラッグストアチェーンのコスモス薬品からも期限までに返答を得られず、3社が事実上、回答を拒否したのである。

 だが、消費者の不安を招くのはこれら3社にとどまらない。ディスカウントスーパーマーケットのオーケーは〈大半はメッシュチェックされた備蓄米(玄米)が納入されております〉と答え、逆にメッシュチェックされていない一部の備蓄米を仕入れていることを仄めかすが、その場合に自社で独自に検査を行っているとの説明はない。

 また、コンビニ大手のファミリーマートは〈光学選別機による品質確認を行なっております〉とするが、

「光(学式)選別機は精米後の不良米を大きさや変色ではじくことはできるのですが、外見上変化のないカビ菌が付着しているコメを選別することはできません」(前出の大手卸関係者)

 ことほど左様に「小泉米」のカビ毒に関する心配の種は尽きないのである。6月26日発売の「週刊新潮」では、「20社の回答リスト」および専門家によるカビ毒の危険性に関する詳細な解説などを交え、4ページにわたって「小泉農政」の問題を特集する。

「週刊新潮」2025年7月3日号 掲載