大阪万博予定地を空撮してわかった不都合な真実「 このままじゃ間に合わない!」
開催まであと1年を切っているのに現場工事は遅々として進まず…… いまだ建設業者すら決まっていない海外パビリオンも多数
まずはこの写真を見ていただきたい。開催まであと〇〇ヵ月に迫った大阪万博の開催予定地・夢洲を5月下旬、上空から撮影したものである。
各所の説明は下記の通りである。
◆静けさの森
会場内の憩いの場を目指す「静けさの森」では、来場者が小道を散策したり、休憩したりすることができる
◆大屋根(リング)
大阪万博のシンボルに位置付けられている「リング」は、完成すれば世界最大級の木造建築物になる予定だ
◆ウォータープラザ
ここでは、水と空気をテーマにしたショーが連日開催される。海水を使用することで環境に配慮するという
◆シグネチャーパビリオン
各界で活躍する8人のプロデューサーが主導する展示エリア。落合陽一氏や福岡伸一氏らが選出されている
◆公式参加パビリオン
世界各国が参加を表明している最大規模のパビリオン。最先端の医療機器や乗り物が展示される見通し
「開幕は来年4月。多くのパビリオンがそれまでに工事を終えられないだろう、というのが市の職員の大半の見立てです。各国が出すパビリオンのうち、最もポピュラーな?『タイプA』※説明※は出展予定53ヵ国のなか、14ヵ国は施工業者すら決まっていない。すでにメキシコやエストニアなど3ヵ国が参加を取りやめており、5月末にはアルゼンチンが撤退を検討していることが明らかになりました」(大阪市職員)
課題は会場内部に留(とど)まらない。
「来場客を会場まで輸送するシャトルバスの運転手も全然足りていない。他にも問題が山積していて、『もう、どないもならん』というのが我々のホンネです……」(同前)
トラブル続きの大阪万博を、政治ジャーナリストの安積明子氏が猛批判する。
「見通しの甘さによって予算は1250億円から2350億円に高騰。350億円かけた木製リングは万博が終わればすぐに解体予定です。大阪万博は今の短絡的な日本を象徴している気がします。旗振り役の日本維新の会や吉村洋文府知事は万博を開催したという実績が欲しいだけ。自分たちが掲げている『身を切る改革』とはほど遠い結果になっている」
開催自体が危ぶまれるが、前出の大阪市職員は「延期はできない」と下を向く。
「海外の来賓客のアテンドがすでに始まっているのです。中止となれば、要人たちの予定をすべて変更しないといけない。たとえ開幕までに工事が終わらなかったとしても、強引に開催するでしょう……」
壮大なテーマを掲げる前に、まず足元にある問題を解決することが求められているのだが……。
『FRIDAY』2024年6月21日号より