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息苦しい世の中で 自由に語り合える空間を

自由でも民主でもない この日本を もっともっとよりよく変えていくことができるように たくさんの知恵を語りましょう。

星屑の町 楽しい「芝居」でした

2013年04月14日 00時51分09秒 | 素人の劇評
4/3 14:00の部
星屑の町 だるま座 荻窪の専用劇場

かつて「でんすけ劇場」という、人情喜劇専門の劇団があり、テレビでもよく放映されていたのを思い出しました。 藤山寛美の「あほなおっさん」の芝居も然り。 「星屑の町」を観ている中で、私の小学生時代の、ふたつの喜劇劇団のことを、ふと思い出しました。 これだけ個性的な役者が揃っていれば、なにをやっても楽しい芝居になるものです。 私のイメージする「演劇」とは、少し次元が異なりますが、楽しい「お芝居」だったことにはまちがいない。素直に、腹の底から笑いました。
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「シュワロヴィッツの魔法使い」 好演でした

2013年03月31日 22時29分30秒 | 素人の劇評
3/31 13:00 阿佐ヶ谷アルシェ
「シュワロヴィッツの魔法使い」劇団メガバックスコレクション

魔法使いの出てくる物語は、正直嫌いである。今まで、何度読書に挑戦したか知れない。しかし、最後まで読んだものは、残念ながら皆無。
きっと私には夢や想像力が欠如しているに違いない。読む進めるうちに、「現実はそう簡単にはいかないものさ」「魔法で解決できるのなら、なんでもありになってしまう」と、しらけてしまうからだ。
そんな私が、魔法使いの登場する演劇を観にきたのだから、不自然きわまりないのかもしれない。
正直言って、プレゼントに当たってしまった(失礼)、そして田中さん(私の元同僚)と会って話がしたいということで、阿佐ヶ谷に赴いたというところが本当のところだった。

ところが、である。
思ったよりも(また失礼)格段に面白く、しかも感心することばかり。今年観た劇の中で、一番私には心に響くものとなった。
一言で言うと「よくまとまっている劇」。

感心したのは、脚本。よく練られたストーリーと構成。そして、後段に島民全員にかけられた魔法の謎解きの巧妙さ。その伏線も含めて、しっかりとした脚本であった。まずなによりも、脚本が、その公演の正否を決定づけるといってもいいのだから、優れた土台を得た俳優さんたちと言えるのではないかと思った。あれほど、魔法使いの嫌いな私が、最後まで目を開けて見ていられたのは、そんな脚本、しかも魔法使いを「全能」にしなかったものだったからに違いない。

若い俳優の劇団には、重みが感じられない。いつもそう嘆く私であるが、今回、若い集団であるのにもかかわらず、それを感じさせなかったのは、星さん、大里さんの演技力、表現力があったからこそだと思えた。二人の演技が、この劇を「軽薄」なものにしない重しとして作用させてくれた。とりわけ、星さんの声の抑揚、間の取り方は、素晴らしいものですね。

生と死の重さ、軽さ。そして人生の切なさ。
十二分に、私に感じさせ、考えさせてくれた2時間だった。







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シロツメの咲く後に

2013年03月17日 22時39分17秒 | 素人の劇評
シロツメの咲く後に
夏色プリズム 旗揚げ公演
3/17 15:00の部 千秋楽
阿佐ヶ谷アルシェ

旗揚げとあって、考え抜かれた台本と、意欲満々の役者陣とで、「おっ、ちょっとちがうな」
と思わせる舞台になったと思いました。
まず劇中劇についてですが、私にはそれなりに楽しませてもらいました。手法としては、奇抜では
ないと思いますが、私の隣の二人連れの女性が、ひそひそと「あっ、なにがなんだかわからなっちゃった」
とこぼしていました。もちろん受け手の責任もあるのでしょうが、送り手側として、もっとすっきりとさせる
ことも視野に入れてほしいと感じました。かといって、どこをどうしろという妙案が、今あるわけではありません。
七人(だと思いましたが)の登場人物の数も多すぎるとは思えませんし、それぞれが個性的ですので、混乱する
こともありません。ないものねだりかも知れません。これは私の宿題として考えます。

ストーリーの展開もごく自然に受け入れられました。(あとで苦言もあるのですが)
役者さんも、前述したように、それぞれの方が個性的に演じていたと思います。「飛び抜けて」といった役者さん
ではないのですが、みな好感のもてる「持ち味」を発揮していたと思います。
旗揚げですので、「力み」もあることでしょうが、今後の発展が楽しみです。

気になったことを二つ。
一つ目は、「殺意」について。人は、そんなに簡単に人を殺めることができるのだろうか。そんなことを考えながら
観ていました。あまり踏み込むと、ネタバレになりそうなのですが、最初の「事変」については、まああるだろうと。
しかし、それ以外については、私にはやや飛躍がありすぎるのでは。そんな印象です。
二つ目。こちらのほうが強いものです。
このミステリーは、最後にどーんと人生の重み、人それぞれのせつなさを、(たぶん)感じさせようとしたものだと
思います。しかし、私には、そのどーんとした「重さ」を感じきれないまま、幕となってしまった感があります。
それはなぜなのだろう。「若さ」をむき出しにした役者揃いでもなかったし・・・
ひとつに、それは前半部にあるのかと思われます。これは、登場人物の、それぞれの「背景」「性格・生活」「状況」を
客に「刷り込む」貴重な部分でもあります。それがあって、初めて終末の「重さ」が感じられる。
そんな貴重な前半で、コスプレが大きなウェイトを占めていたことで、まず劇を軽くしてしまったように思いました。
それから、男優さんたちに、もっと「自分」を語らせるべきだったとも思いました。最初は、だれがどういった役か、
混同していたくらい、同じように見えました。(もちろん皆無ではないのですが)

今日は、劇評自体、自分でも気にくわない。
なかなかいい劇だと思えるのに、それが私の心にずしんと残っていないからです。
それは、苦言の二つ目の感覚からなのかもしれませんし、「もっとリアルなものを期待していた」せいであったからかもしれません。
「よかった。しかしまだまだ」
そんな感想が、次への発展の原動力となるのですね。
次回、北池袋、そして池袋を期待。

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『算段兄弟』 フレッシュな未来の名優

2013年03月02日 23時23分51秒 | 素人の劇評
 3/2 「『算段兄弟』・『楽屋』」劇団俳協
 TACCS1179(俳協ホール) 13:00の部
 

研究生にしろ、準劇団員にせよ、これからの彼ら彼女らを、生かすか殺す
かは、その演出、指導者の力量によるところが大きいのではないかと思いました。
ひとつの作品で、この役なら彼に合いそうだ、これで彼女を鍛えることができる、
そんな構想が的確であれば、役者の伸びしろも大きいことでしょう。

もちろん、それ以前として、彼ら彼女らの、素質、努力、センス、運などが、前提となることに
違いないのですが、それを自覚させ、開花させるのは、周りの力あってのものです。

と、考えながら、「算段兄弟」を観ました。(「楽屋」時間がなく、観ることがでくきませんでした)

その点では、みな及第点をあげることができると思います。
とりわけ、長女役は堅実な印象を持ちました。
しんどい役は、長男、そして雄二の役です。
言い換えれば、かなりの演技力が要請される役だと思えます。
おそらくこの2人は、他の何倍もの練習を繰り返したのではないでしょうか。
はまり役だったか、というよりも、彼ら2人が、それを自分の「はまり役」にしてしまおうと
努力していたことを感じ、内心感激しながら観ていました。
まだ、完全にとは言えませんが、劇の内容とは別の次元で、心に打たれました。
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「革命セオリー」 熱い が 上滑り

2013年02月18日 00時11分40秒 | 素人の劇評
「革命セオリー」
ゾンビの仕業 2/17 13:00の部
東長崎 てあとる らぼう

小学校4年生まで住んでいた街での公演とあって、劇と郷愁との二重の楽しみでやってきました。
二組の「もめている」結婚式をめぐる、やや(いや完全に)ドタバタ喜劇。
その中には、友人たちの「過去」が起因する事件が起きる。
テンポがよく、客席からもクスクス笑いが度々起こるほど、歯切れの良いコメディーだと思えました。
全体が、テレビで観られるコントのようで、きっと軽い笑いのネタは、お客に受けているのかも、とも。

ですから、穿った見方をすれば、「演劇」としてのオリジナル性はどうなのだろうかと、少し考えこみました。
「そんな違いはないのじゃないの」と言われれば、身も蓋もないのですが、それならテレビを観ていればいいのです。

「舞台」と「スタジオ」の差。私には、大きな違いがあると思いますが。

役者さんの熱演には、感動しました。
笑いづらい下ネタも、微量ながらありましたが、さして劇全体に影響もなし。

強いて苦言をあげれば(すでに1つ言ってますが)、メンバーの年齢構成です。
若者集団というのも魅力的ですが、やはり「重さ」を出す年配者もほしいものです。
どうしても、劇全体が軽くなります。
ずっと「彼」を忘れられない女性の怨念めいた行動も、劇の進行では、「そんなことたいしたことないじゃない」
またし「そんなに簡単に変われるわけないよ」といった気持ちが先行して、あまり入っていかないでいました。

「熱意」は貴重品です。それは次のステップへの起爆剤ですから。
期待して、発展を祈ります。
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丁寧な劇作り「君ゆきて 月に叢雲 花に風」

2013年02月09日 22時04分31秒 | 素人の劇評
「君ゆきて 月に叢雲 花に風」ラフメーカー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER
2/9(土)13:30の部

風邪をひいたり、仕事の都合で日程が合わなかったりと、しばらく観劇から遠ざかっていたので、
今日こそはと、期待に胸をふくらませて池袋に向かいました。
宣伝のコピーからして、おそらく自分の体験と重ね合わせながら観ることができるのだと思っていた
ので、客観的な劇評にはならないかもしれません。

まず思ったのは、この劇団は「丁寧な劇作りをしているな」という印象でした。
清楚な、そしてよく工夫された舞台装置。ストーリー、雰囲気とよく馴染んだBGM。役者さんの言い回し。
展開の緻密さ。
どれ1つとっても、「手抜き」を感じません。それだけでも、「きっと、いい劇を観たな」と思うものです。

大学のサークルであった過去と、現在とを巧みに織り交ぜながらの展開。
「嘘」がテーマなのですが、それも押しつけがましく感じさせないくらいの比重。
私のサークル時代にも、似たようなことはあったな、いや、私の経験のほうが、もっともっと密で、どろどろしていた
かもしれない・・・などと思いながら、最後まで楽しんで観ることができました。

今回は、劇団の「団風」?といったものに感激して、気持ちよく帰路につくことができました。
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「さぶ」 人情劇もなかなかいい

2012年12月08日 23時59分53秒 | 素人の劇評
「さぶ」劇団俳小
12月8日 19:00の部
池袋 シアターグリーン BOX in BOX THEATER

この劇団は、ほとんど「外れ」がないので、安心して観ていられます。
今回は山本周五郎の「さぶ」
すでに本で読んだものだということもあり、余裕を持って池袋に向かいました。
無償の愛。損得を考えずに、愛情を注ぐという生き様が、山本作品には貫かれて
いるのですが、私もそんなテーマにすこぶる弱く、何度も涙腺が弛んでしまいました。

2時間25分という長い時間であったにもかかわらず、1度も「睡魔」に襲われる
ことがなかったのは、原作が優れていたことだけでなく、脚本も、そして役者さん
の熱演があってのものでしょう。

私の両親の生き方が、「自分と同じくらいに(時としては自分以上に)他人を大切に
する」といったものだっただけに、今は亡き父と、年老いた母と対話しているような
心持ちで、劇を観ていました。

1人1人、人生の重さには軽重の違いはないものだ
明日からがんばって生きよう
人に優しくすることを後押しされた

そんな気持ちにさせてくれる劇。
寒い帰り道も、心は温かいままでした。
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客も俳優も楽しんで

2012年10月27日 22時24分32秒 | 素人の劇評
ライオン・パーマ 「恋愛漫画~バンカラ編~」
10/27 14:00の部 王子小劇場

現実と虚構とを交互にだしながら、飽きさせない展開を見せてくれた劇でした。
何よりも、私が感動したのは、客も劇団員も、ともに、「見る」「見せる」を
楽しんでいることです。

すでに何回かの公演を行い、団員さんのキャラが、観客に定着しているからでしょう。
安定した雰囲気の中での観劇といった感じでした。
それは、劇団のこれまで培ってきた劇風、そして努力とも無縁ではないでしょう。

ただ、同時に、「慣れ」に陥らないことを願います。
そこそこでいい。
そんな劇団を目指しているわけではないはずですから、常に新鮮な気持ちで、1作
1作に取り組んでいってほしい。
もしかして、今回の「安定」は、かえって危険なのかもしれません。

ひとつだけ。
ライオン・パーマの目指しているものが、今回は、はっきりわかりませんでした。
何回も来ている方なら、きっとわかりきっていることなのかもしれませんが、私のように
一見さんの場合、それがよく伝わってきませんでした。

観客と一体となって楽しめる劇を?
にやっと笑える、上品かつ知的な劇を?
なんにでも挑戦?

あまり思いつきません。
これから何回か足を運んで、私が突き止めてもいいですね。




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「解散公演(仮)」 軽い しかし楽しい

2012年10月20日 23時51分26秒 | 素人の劇評
「解散公演(仮)」月見うどん屋
10/20 14:00の部
高田馬場ラビネスト

「毎公演なぜかまともに公演がうてたためしがない。
それでも今まで、なんとか続いてきた。
 今度こそまともな公演を目指す、が。
 呪いか、はたまた政府の陰謀か!?
 やはり、というか当たり前のようにトラブルが襲いかかる。
「もう、俺たち解散したほうがいいんじゃねえか?」
 果たして無事公演は成功するのか?
そして俺たちの未来は!?
え?今回解散公演なの?
って「タイトルかよ!」

とは、チラシのコピー。

最初は、「ああドタバタ喜劇なのかな」との印象でしたが、なんのなんの、最後は
しっかりと涙腺を刺激してくれています。
出演者が突然変更になるというアクシデントを感じさせないのも、たいしたもの。
齋藤清美さんの演技は、「即製」とは思えず、代役と言われなければ、はじめから
決まっていたかのようなものでした。
劇中の劇、タイムスリップなども、独創的とはいかないまでも、安心して劇の中に
入り込める安心感がありました。

朴さんの、「将来は大滝秀治のような、寡黙ながら存在感のある役者になるだろう」と
予感させる、渋い演技。井手さんの、群を抜く表現力。
この二人が、私にとっては印象的な演技をしていました。

中小劇団で、いつも気になるのが、劇団員の年齢構成です。
今回のメンバーについては、若手から中堅、長老(?)まで、久しぶりにバランスがよい
ものでした。

すごーくうまいか、と言われると、「すごーくではないけど」といった感想ですが、
すごーくストーリーはよかったか、と言われれば、「すごーくではないけれど」と答える
しかないのですが、

それ以上に、見終わった後、「すがすがしい気分」にしてもらえたのは、なによりもの
劇団の力なのでしょう。
「元気にさせる」劇、なによりもの収穫でした。
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「一歩先、君に出会う日」 よく練り上げた作品

2012年10月14日 20時35分28秒 | 素人の劇評
「一歩先、君に出会う日」 PocketSheepS第10回公演
10月14日(日)13:00 TACCS1179(俳協ホール)

「子供の頃、毎日が楽しくて仕方なかった
『今』が一番大事で
『未来』は想像するものの、現実味が薄く
『過去』にはまるで興味がなかった
それが今では、『過去』ばかりが自分の心を埋め尽くす

―――俺を『過去』まで呼び戻すほどに 」(チラシのコピーより)

「リプレイ」という小説があります。
中年を迎えた主人公が、ある偶然により、自分の過去に戻ってしまう。
一定の期間を過ぎると(しかもその期間は、どんどんと短くなっていくのだが)
戻った少しあとに「リプレイ」される。
彼は、過去の大リーグのワールドシリーズや、競馬の記憶から、大きな富を
築き、その「リプレイ」した世界で、実にさまざまな人生を送り、さまざまな
女性と暮らす。
しかし、最後の「リプレイ」で、彼が悟ったことは・・・

この劇を観ながら、この小説のことを考えていました。
過去を変えること、それは果たして、よりよいことなのだろうか。
よりよいとしても、その変化から派生する「悲劇」「不幸」は見過ごしていいものなのだろうか。

この脚本家も、似た感覚の持ち主であったことを喜びます。
巧みな展開で、何回も「あ、終わりかな・・・」という瞬間を裏切って、最後まで何度も「どんでん返し」
を提供してくれました。
役者さん達も、子供役と対の大人の役とを、よく演じ分けていましたし、
その合間合間に入る、「コント」風の、新作パン、SF作家の場面、経理課女子社員も、「脇」ながら好感の持てる
熱演をしてくれました。

ここに「大滝秀治」のような、「ただいるだけで雰囲気を作れる」重鎮がいたらという思いはあります。
若い人ばかりの劇団の「泣き所」なのでしょうが、あと何十回も公演を重ねることで、それは解消されますね。

めずらしく、最後に、涙腺が少し弛んでしまいました。

すてきな劇に、感謝。


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「やさしい問題」劇団コードレス 突き詰めること

2012年08月18日 21時06分15秒 | 素人の劇評
8/18 14:00
劇団コードレス「やさしい問題」 参宮橋 トランスミッション

三人の役者さんによる、軽い笑いの芝居を愉しませていただきました。夫婦間なんて、別に線を引かなくても、かつての赤い糸は、見えないバリアの線として敷設されていくものなのになあ、と、自分のことを振り返りつつ観ていました。苦笑。正直言って、あまり腹の底から笑うことはありませんでした。それは、劇の展開が中途半端だったからでは? 「線引き」一本のアイデアで押しまくった感があります。所々の笑いと、シリアスなテーマがちょいちょいと、出ては消え、また消えては現れる印象だったと思いました。私達はなぜ生きている、生きていくのか。殺生について。なぜ私達は学ぶのか。夫婦とは? 答えはいりませんが、もっと突き詰めた台詞が、展開が欲しかった。とは言え、まだまだ若い劇団。せつなさ、深さ、現実味、たくさん磨いてください。期待をもって。

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笑いのツボを知っている劇団

2012年07月30日 00時37分29秒 | 素人の劇評
7/29(日)13:00
「病んだらおいで」ソラトビヨリst. 第10回公演 
新宿 シアターモリエール

久しぶりに笑いのツボを知った劇団の芝居を見た。
歓楽街の中にある診療所。心を病んだ患者に、一風変わった診療が行われている。
その際のドタバタぶりが、うまく役とストーリーとを付き合わせて表現されている。
役者さんも、それぞれが個性的で、脚本とうまくマッチして、白けることなく、
笑うことができた。

注文を2つ。

①精神の病気と、心の病とは、明らかに異なるのだが、劇の中では、かなり混同して使われていた。
 まかりまちがうと、「差別」にもつながりかねない。慎重に劇に盛り込んでほしい。

②これは脚本に。今回は、「病んだ」人の標本箱のような劇であり、その対象とするものは、総論的な感じが
 する。「軽い笑い」としてはいいのだが、ひとつのことにこだわる劇も観てみたい。ないものねだりかも
 しれないが。

役者さんのそろい方からして、多様な劇を追求できる劇団。



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熱い気持ちが空回り

2012年07月22日 22時12分14秒 | 素人の劇評
7/22 13:00
劇団こんぺいとう第三回公演「HAPPY BIRTHDAY」
高田馬場 高田馬場ラビネスト

昨日から肌寒いくらいの東京の中にあって、熱い、とにかく熱い舞台を繰り広げた
劇団こんぺいとうに、まず敬意を。

劇団の名前が、こんぺいとう。会場の入り口で、ラップされた黒糖?のこんぺいとうを
いただく。「じっくりと練り上げた演技を」という意味なのだそうだ。
もしかして、これは京都の緑壽庵清水のものかな?
京都では、何度か立ち寄って購入した、手作り金平糖の店。
だとしたら、懐かしい!

劇団の意気込みは、次の「館内注意」からも、ひしひしと伝わってくる。
劇団員の一人か二人が、開演前に舞台に立ち、
「本日は、劇団○○の~にようこそいらっしゃいました。開演に先立ちまして、~。
 携帯電話など、音の出るものについては~」と、話すことが一般的なのだが、ここは違う。
 それ自体が、コントとなっているのだ。
観客は、「あっ、ちょっと違った始め方だ。なにかがありそうな予感がする」と期待に
胸をふくらます。
滑り出し、好調である。

そして本編。
私には、どう見ても「空回り」としてしか思えなかった。
まず、台本。隙間なく笑いをとろうとしている気持ちが大きすぎるよう。
笑いは適度でいい。
1つ笑おうとすると、もうすでに次の笑いの台詞、演技、伏線が始まっている。
これでは笑う暇がない。
もっとゆったりと笑いをとるべきでは?

役者さんは、たくさん出演。3回目の公演にしては、みな個性的な器が揃っていると思えた。
噛んだ場面も少なくはなかったが、これは練習量と、場数を踏むことで解消されることだろう。

今回は、正直「笑えなかった」けれども、伸びしろは大きいと感じた。これからが楽しみだ。

気になる点を2つ。

①「笑い」について。
 前述した「機関銃のような笑いの発信」は苦痛であったが、そもそも「笑い」について、もう少し
 考え、練り上げてほしい。
 大声、奇妙な身体表現、それも笑いの要素に違いないが、もっともっと錬磨されたものを追求して
ほしい。今回の公演で、思ったほどの笑い声がなかったことは、十二分に感じたことだろうから。

②効果音について。あの雷鳴と銃の発射の音は、となりの客の体が跳ね上がるほど驚き、そしてそれが
何度も繰り返され、鈍感な私でさえ、「ああ、もうやめてくれないかな」と懇願したいほど、突然で、
しかも大音響だった。
最後に近づいて、私は、拳銃を持つ役者の手ばかり見ていた。

いただいた金平糖を平らげたと同時に、感想終了。

若い劇団。試行錯誤を繰り返しながら、劇団の基礎と、すてきな劇風とを、さらに磨いていってほしい。
ありがとう、ごちそうさま。

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伸びしろ多き劇団 少し不満なりに楽しめました

2012年07月03日 00時15分39秒 | 素人の劇評
「果てしの花園--JASMINE」劇団室生春カンパニー 風の森
7月1日 14時の部(千秋楽)
荻窪小劇場

小雨の中での観劇です。
どうも健忘症、甚だしく、劇を観ているうちに、
「あっ、この劇団、「リヤ王」で一度観た」と、思い出したのです。
たしか、コーデリアが伊藤衣里さん、リヤ王が座長さんでした。

前回の劇では、私はこんなコメントを書きました。少し長いのですが・・・

「「リア王」は、私が観た商業演劇の中で、人生最初の劇。
池袋の東武デパートの中に(当時)あった劇場で、文芸部の先生に連れて行ってもらったものです。その強烈な印象から、劇が好きになる自分が始まるのだが、じつに43年ぶりの「再会」。

今回の劇も、期待に背くことなく、なかなかの意欲的なものだという、最初の印象。
古典を古典のままにせず、途中でミュージカル的な場面を入れたり、ギター、ヴァイオリンのBGMを流したり・・・切れ目のない展開は、二時間を長いと感じさせないものがあった。
「長老」的な室生さんと、たくさんの若い劇団員が、うまくバランスのとれた構成となっていて、あと数年もするころが最適なハーモニーを醸し出すのではないかと思えた。

親子の絆、権力の醜悪さ、計り知れない人間の欲望、人生の儚さ・脆さ。それらの表出で、劇の展開中、何度も胸を打たれた。
まだまだ、荒削りな若手の演技なのだが、それをもってしても余りある劇となったと思った。

といった讃辞のあとに、私なりの「苦言」もいくつか。
①歌を挿入して、「荘厳」さを出そうとしていたが、歌が続いても、なかなか重い雰囲気がでなかったと思う。低音部が、ないか、または軽視されているのではないか。合唱の効果は少なかったと思えた。
②嵐の場面の演出が、寂しすぎる。照明でライトを回す程度でもいいから、なんらかの工夫がほしかった。
③道化役は、よほどうまく使わないと白けるものだが、今回はその比重があまりにも、低かったと思う。戯れ言の中に、本質的な箴言の含まれる、道化の言葉を楽しみにしていたが、今回は空回りしていた。

私の観た範囲での、好演の俳優。(座長は対象外で・・・)
ケント役 肩を張らない自然な言い回しが良かった。
エドガー役 後半の表情がすばらしかった。
と、ここまで書いてきて、今回のような劇では、この評価は難しいのかなと思う。
おそろしく個性的な俳優もいるにはいるのだろうが、この劇からは探しきれなかった。申し訳ない。

はじめての劇団だが、おそらくは座長が、太く大きな背骨となって、日々進化している劇団だと思った。若手がたくさんいることも頼もしく思える。

期待は大きい」

さて、今回の劇です。

若い俳優さんが、めいっぱいの演技を重ねている合間に、座長さんの「息抜き」が適度に挿入されている。2度目とあって、私なりに、この劇団になじんだ楽しみ方ができました。
私の印象では、新垣さんと、伊藤さんが、二本柱となっている感があり、阿部さんの体当たりの「ボケ」、田村さんの、客席にまで唾が飛んでくるのではないかと思えるほどの熱演、座長の緩急織り交ぜての展開のテンポの転換と、うまく役を配置しての劇となったのではないでしょうか。
荻窪小劇場のステージが、あまりにも狭いために、ダンスで大きな振りができにくいことを恨みました。
一見さんには、劇団の特徴が分からずに、やや取っつきづらい面があったと思いますが、私は、この劇団に流れている雰囲気や、方向性(私の勝手な推測の「真摯」さ)には、共感できるものがありました。


私なりの苦言です。劇団の成長の糧となることを願ってのものです。
①「踊りは専門ではないから」と言われたら、実も蓋もないのですが、そしてあの狭さも加味してですが、あまりいただけませんでした。人数が少ないこともあってのことかもしれません。
②最後の場面に至るまでの伏線に、少しいらいらしました。好演ではありましたが、阿部さん関連の場面は、いらなかったのでは?
③私の観た二回とも、舞台道具、美術には、あまりこだわっていないように思えたのですが、これは意図的なのか、予算の都合なのか、やや不明でした。舞台も、劇が成功するための大きな要素だと思います。
④若い二人の役者さん以外の若手に、まだ個性を感じられません。半年ぶりに出会った役者さんの一層の奮起を期待しています。

まだ荒削りかなと思える劇団。若さ自体、ひとつの魅力です。
「老成した」(失礼)座長を追い越す劇団員が、一人でも多く輩出されることを願っています。


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絡まないなあ

2012年06月09日 18時22分06秒 | 素人の劇評
「ひかりのまち」 たこ足配線企画
6月9日13時の部 北池袋 新生館シアター

おそらく作者は、真面目で、この閉塞した世界を、なんとかしたい、なんとかならないかと考えている好青年なのだろうと思う。
再生を「目指した」劇である。
私自身、「明日から頑張って生きていこう」「なんと人ひとりひとりの人生は、重く、しかし尊いのだ」と、思えるような劇を、いつも希求しているから、この劇にも期待をもって、足を運んだ。
さて、この劇は、はたして成功したのだろうか、そう考えると、疑問符をつけざるを得ない。

まず、登場する人物同士に、関係性が感じられないこと。もちろん、主人公とのやりとりはあるものの、軽く、そして薄い。主人公のスタンスを揺るがすような人物は、残念ながら一人も出てこなかった。
次に、それとも関連するのだが、主人公の彼女は、何に寄って再生されたのか。私には、最後まで分からなかった。
弟くんの、最後に語る「手を繋ごう」発言なのか。ずっとそれを忌避してきた主人公が、簡単に、そんなメッセージで変わるとは、到底思えない。

これらの不満のもとは、どうやら脚本にあるようだ。
現実が描かれていないこと。
人と人とが絡み合っていないことではないだろうか。


内にこもった、遠くの、あり得ない声にしか、聞く耳を持たない彼女の再生は目の前の現実から目をそむけないこと。
これしかないのだと思う。
しかし、脚本は、それに応えられなかった。

心と心とを繋ぐ人間模様を描くことは、それこそきわめて難しいものである。
しかし、だからこそ、それを避けないで、観察し、観察し、考え、考えぬいて、ドラマにしてほしいのだと思う。

まだ若く、可能性に満ちた劇団。
たこ足配線で、熱くなった接続部分を、さらに熱くさせて、目も眩むような炎を発してほしい。
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