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お人好し製造雑誌

2016年09月24日 12時54分19秒 | こんなもの いらない
茨城に行き、当地で「うまい」と絶賛されている手打ちそばの店で、「職場の教養」というフリーペーパーをもらった。
発行は「倫理研究所」
ん、むかし聞いたことがある。
そうだ、大学生のときに、ここにはまっている友だちがいたっけな。
パラパラとページをめくっていくと・・・

やっぱり。

構成は職場での心がけ集となっている。
1か月、毎日の講話と1行の「こころがけ」が書かれている。
たとえば9月2日のページ。
゜提灯を借りた恩は知れども天道の恩は忘れるな」の諺を引き合いに出して、「感謝の気持ちを積極的に言葉に出」すことを推奨しています。
そして「今日のこころがけ」。
「当たり前のありがたさに目をむけましょう。

それはそれでいい。
しかし、
和の心を持ちましょう。家族の愛情に思いを馳せましょう。公共の場のフェアプレーを徹底しましょう。小さいことほど大切にしましょう。
指摘を素直に受け止めましょう。新しい環境を前向きに捉えましょう。良いところに目を向けましょう。今できることに全力を注ぎましょう。
視野を広く持ちましょう。健全な心で努力を重ねましょう。物事を肯定的に捉えましょう。

ここまでくると、私はうんざりしてしまう。
つまり、なにがあっても、感謝を忘れるな、努力しなさい、不平不満をたれるな。
そんな「思い」が見え隠れしてくるから。

これは日常の家庭でも地域でもなく、「職場の教養」なんだよな。
ははあーん、つまり、あれこれ文句を言わないで、感謝して働けということか。

ここには、理不尽な無権利状態の職場や、従業員そっちのけの経営者などは、出てこない。
ブラック企業でも、その環境に異議を唱えるのは、きっと「心のせまい輩」として排除されるのだろう。

「視野を広く持ちましょう」とあったが、本当にそうすることは望んでいない。
この場合の視野の広さとは、「もっと世の中には不幸に人間がいるのだ」「社長も血の通った1人の人間なのだ」「ここで働き、生活していることが、あなたにとっては感謝以外の何者でもない」とされるのだろう。

 経営者にとって、まことに使いやすい、「お人好し」を生み出す「教え」の雑誌。

 百害あって一利なし。

 おそらく、真面目で純粋な人ほど、こんなくだらない本に、教えにはまり込むのだろう。
 それこそ「視野を もっともっと広く持ってほしい」

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佐藤洋二郎「恋人」

2016年09月12日 18時05分44秒 | 教訓
当たり、を感じた作家に逢えた。
と信じたいが。
孤独な男女の出逢いと別れ、そして長い長いとしつきを経ての再会までを描いた中編。むしろ長編にするべき内容だと思うが。
先の乙川氏の文章に似ているためか、二人の小説を連続して読んでもわからないまま、読了してしまうかもしれないと思った。
彼のテーマは多種のようで、器用な作家のようだから、すべてが私好みかは、まだなんとも言えない。
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