女のずるさやみださらさ、不誠実を描いた中世の寓意絵は数あるけれど
クラナッハは、どちらかといえば、そういう女性を貶めるのではなく
騙される男性がバカに見えるような表現が多い気がする。
また女性が凛々しいというか、若干上がり目気味で強気な眼差しが
特徴的で、そこが好き(小馬鹿にしてる感じでもあるけど)。
裸婦像の立ち姿のなんともいえない曲線、
ちょっと冷めた表情、不思議なエロスに
大好きなフィニに通じる女性の「演技」「舞台」「儀式」的ニュアンスを感じる。
女性の強さ・したたかさも同様に。
この作品『ユディト』はその中でも、
ホロフェルネスのグロテスクな首と、
淡々とした表情との対比で、女性の美しさが際立つ。
うっすら微笑んで見える表情が「何を考えてるんだろう?」という好奇心を刺激する。
目に感情が見えないから?
ユディト
男性の首との関係で、『サロメ』を彷彿とさせるけれど
サロメにとっての首が欲望の象徴だとしたら、ユディトは正義のはず。
けれど、どちらもどこか淫靡で怪しげな魅力をもつ。
サロメも大好きな題材で、ビアズレイ、モロー、クリムト、と
この題材を扱う画家の作品はそのまま私の好みでもあったり。(えへ
サロメ画ではルイーニの作品(タイトルがサロメの母親の『ヘロディア』だけど、シチュエーション的にサロメ確定らしいのでサロメってことで)が好き。
まるで首が果物かなにかの収穫物のように見える。
クラナッハもサロメを描いているけれど、ちょっとまとまりすぎていて
残念ながらあまり好みではない。
とはいえ、男性のちょっと恍惚として見える首の表現は、
ユディトとまったく同じ。
おまけ:ダ・ヴィンチのヨハネ
ルーカス・クラナッハを知ったのは大学2回生の時。
絵画論でめっちゃよく意見がぶつかる男子がいて(お互い青かった;)、
そいつが「NALが好きそうな絵がきてんで~」と教えてくれたのがきっかけ。
「私が好きな絵なんてわかんの?」と半信半疑ながら学校帰りに美術展へ。
(絵画との出会いも一期一会、見ないとはじまりませんから。)
はい、めっちゃ大好物でした!!<見透かされてるやん;;
で、次の日「ほんまによかったわ」と言ったら、
「お、行ったんか。オレも好きやねん、クラナッハ」。
ほ~~~。理屈っぽいシュールレアリストかと思ってたら、こゆのもイケますか。
と、ゆーわけでなんかちょっとだけ見直したのでした。
その後もあれこれ議論したけど、絵の見方は案外似てたかもね。
今はよいお父さんになった●●君、あの時教えてくれてありがとう。
息子殿が同じ大学に進んだようで、京都大好きな私としてはちょっとうらやましい。
(今年中二になる姪っ子が進学希望らしいけど、間に合わないなー)
毎年年賀状で「今年こそ会おう」といいながら、全然会えてませんが
近いうちに本気で会いましょう♪<私信