鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

霧と太陽の王

2016-12-17 20:41:49 | フリーゲーム(ファンタジー)
「霧と太陽の王」 探索ADV・王様と巫女
制作者:ゆきはな様(Paper Moon

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可愛らしい花の精たちの短編「箱庭の花乙女」の作者様です。
花乙女は、キャラも背景も華やかで色彩の美しいゲームでしたが、
今回はその「彩り」を封印し、モノクロの繊細な世界を魅せてくれました!

正直、花乙女のときは、ドーリーで可愛らしいキャラたちの、
爽やかな百合百合しさに目を奪われ、ほかの部分にあまり目がいかなかったんですが、
今回、全く趣の違う…しかし緻密で美しい作風には、一発で目を奪われてしまいました。
細いタッチの線で、影や質感まで細かく書き込まれたイラストは、昔の洋書に入ってる挿絵みたい。
こういう雰囲気、とても好き。

そして、その魅力的なタッチで描かれる、魅力的なキャラクターたち。
王も少女も、霧の家臣たちも、みな個性的で可愛らしい。
鳥スキーな私には「王」が鴉姿であることもポイント高かったです。

ざっくり内容を説明すると、
異形の住む城に迷い込んだ人間の少女を、
異形たちの「王」がなんとか生かして返してあげようと頑張る話、です。
…「王」のはずなのになんで頑張りが必要なのかって?
そこはちょっと、微妙な事情がありまして。

城の異形たちは皆、主人公を「王」と呼び、恭しく扱うけれど、
当のご本人はなぜかそれを認めておらず、周囲に馴染まないまま過ごしています。
なので、周囲の異形にとって「ニンゲン」は食材であり、
少女のことも隙あらば食べてしまおうとしますが、「王」はそれを許しません。

実際「王」の行動やセリフから見ても、
その見た目とは裏腹に、優しく穏やかな性格で、
伝説の中で「人間から太陽を奪った」とされる凶暴さの片鱗もないので、
プレイヤーはきっと皆、物語半ばまでは、妙な違和感を感じるはず。
そしてそれこそが、物語の根幹への伏線だったり。

優しい王に守られる少女は、作者様の本領発揮の超美少女。
読み書きできず、言葉も話せないこの少女が、なぜ異形の住む城へやってきたのか。
その答えは、実際にプレイして確かめてみてくださいね。

エンドは3つ。バッド、ノーマル、トゥルー。
分岐のタイミングはリドミに書いてあります。
トゥルーは王道のハッピーエンドで素敵でしたが、
個人的にはバッドエンドもカッコよくて捨てがたい。
宰相いいね!宰相!

そしてオマケのページ…
キャラ設定や500年前の物語がさらに物語に深みを添えます。
霧の家臣たちのそれぞれの過去は必見ですよ!
作中でなんでこんなにみんな王妃を目の敵にするのかと思ってましたが…
ちゃんと理由があったんですね…

グラフィックもマップも音楽もシナリオも、
とても美しくて綺麗で素敵なのでおすすめです^^



それにしても… 
作中の神様って…むしろ祟り神にしか見えないんですけど。
良心的な神様が代償なんか求めるだろうか…
しかも罰の当て方に何かすごく感情的なものを感じるぞ…

特にノーマルエンドはとても理不尽な気がしました。
なんでこっちが犠牲になって、あっちが救われるんだか。
このノーマルを見た後だと、むしろバッド上等!って気分になりました。



そしておまけページのあの話、めっちゃ洗脳される!
思わずローソンでからあげクン買ってしまった。

4 days -未来の未来-

2016-12-17 14:57:17 | フリーゲーム(その他)
4days-未来の未来-」 探索ADV・ブラウザ版とDL版アリ・運命を変えろ!
制作者:とそそ様

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高校受験を目前に控えた中学生の少女、未来は、ある夜、不思議な夢を見ます。
その中では、遠くない未来、未来の家族が全員亡くなっていました。
動揺する未来の前に現れた「時の番人」は、それが7日後の未来であることを告げ、
それを回避するための行動を起こすよういざないます。
半信半疑の未来のため、翌日に起こる出来事を3つ話して。

言われた通りの出来事が起きるのを目の当たりにした未来は、
未来を変えようと必死に頑張るものの、なかなか思うようにいきません。
果たして未来は、運命を変え、家族を救うことができるのでしょうか?

…っていうお話。

これで大丈夫!と思うとすぐに次の原因が現れて、
結局はフルに期限いっぱい振り回されます。
なんという不運な家族か…!
エンディングで、もともとの原因がはっきりしますが、
この不運さもその影響だったんでしょうかね~

3回目までは、なんとなく回避できそうだったけど、
4回目は、えー?こんなん回避できるの?と目が点になりました。
ここだけ、ちょっと解決法が強引に感じたかな?
でも、まあ、もともとの設定がファンタジーなのだしねw

二日目の探索行動量に比べ、
三日目以降の一本道さが何か惜しい…
言われたとおりに動くだけであっさり終わってしまうのは、
ちょっともったいない気がします。

二日目のフラグがわかりにくいというレビューもついていましたが、
個人的には、このくらいの難易度&ボリュームが好きです。
せっかく自由に歩ける時間があるのですから、
あちこち回ってイベント探すのも醍醐味だと思うのですよ。

そして、町中とか駅とか、人がいるのが当然の場所には、
もう少しモブがいて、会話できてもいいかも。
いつ行っても、妙に閑散としていたように思うので…

短編ながら、良いお話だったと思います。
作者さん、次は長編に着手されるようで、どんなゲームになるのか楽しみですね~