降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★卒塔婆見出しに絶句した。

2014年12月03日 | 新聞

ついつい最近(1990年代前半)まで、鉛活字と凸版(とっぱん)、黒インクを使って活版で組みあげていた新聞。
僕たち新聞社整理部から見た、活版鉛活字組み版から第1期CTS(コンピューター組み版・編集)までを後世に書き遺しておこうかな、と。

お断り=紙面は「激動の昭和史を読む/太平洋戦争の記憶」(アシェット・コレクションズ・ジャパン発行)の毎号コレクションズから。
当時の社会情勢や政情などには言及せず、ただ単に
「60年以上前の、昭和初期の鉛活字組み活版新聞紙面はどーなっていたのだ?あーん?」
に注目しました。
「倍」「凸版」など新聞製作で使う用語は、繰り返し(クドイかもしれないけど )注釈をつけました。
というわけで、復刻新聞紙面を見た・讀んだ第42回。


昭和16(1941)年12月11日付・復刻版「大阪毎日新聞」市内版@第21081号・篇❸

写真の73年前の紙面には、現在の新聞編集(整理)ルールから見ると
「NG!」「やりなおし!」
と言われかねないところが2カ所ある。
でも、同時期の他紙でも見られたから、70年前は
〝別に、どーってことありません〟
だったのだろう。伝統のほとんどは、悪習なり。

NG①同格見出しがドンドンドン
同じ段数見出しが、同じ段に並ぶことを
「墓標見出し」(*1)
として、現在の新聞レイアウト・ルールでは避けるべきこと。
(になっているけど、僕はそれほど問題にしなくてもいーんじゃないのぉと思っている。
見出しが3本並ぶのはちょっとねぇ、だけど)。
現在、意図的に〝墓標見出し〟を連発しているのは朝日新聞。

NG②写真下の中段ケイはアリかナシか
例えば、A写真の下にA記事が流れる場合、中段はアキになる(=中段ケイを抜く)のが、現在のルール。
70年前の新聞ほとんどでは、中段ケイがアリになっているから、
〝別に、どってことないんじゃないの〟
だったのではないだろーか。
でも、中段ケイ抜きの方が、読みやすい&分かりやすいから
〝ナシ〟のほうがいいと思う。
ち・な・み・に
この中段ケイ抜き忘れは、活版組み版でもCTS(コンピューター組み版・編集)組み版でもけっこうあるのだ。
たぶん、全部組み上げて、ひと息ついて
「ハァ~、ようやく組み上げたぜ。
ホァ~(あくび)大刷り(*2)出力中にタバコ部屋行ってこようっと。あっ、携帯わすれないよーに、と」
と安堵しちゃうからだと思う(笑)。


(*1)墓標見出し
新聞社によって呼び方が異なる。
「卒塔婆見出し」と呼ぶ人もいた。
細い柱が並んでいるから、だろうけど、すごい表現だと絶句した記憶がある。

(*2)大刷り=おおずり
欄外題字・面ページ・版に加え、記事・見出し・エトキ、写真、図版、広告まですべて載った、新聞紙1ページ大の大きなゲラ。
活版時代は、大刷り機で大組み担当者がインクをつけて複数枚刷った。
CTSでは、カラープルーフ対応の専用プリンターから出力された。