絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

水彩画について

2010-05-25 | 絵のこと
水彩画と聞くと、水で滲ませた水彩画独特の味ということが思いつく。
そして、水彩画講座とか、水彩画教室と言うと、かならず、そのような薄らとした
軽い絵を教える。そこに、私は疑問符を打ちたい。

本格的な水彩画を知らない人があまりにも多いのである。

実は、水彩画でも油絵に負けない描き方ができる。それを多くの人は知らないので、私が教えている生徒の絵を見ると、みんな同じように「これ、水彩画ですか?」と言う。「油絵かと思いました」と。そして、「水彩画でもこのように描けるのですか?」と意外だという反応をする。

水彩画が、油絵のように描けるということを証明したのは、だれが最初だろうか?私は中西利雄さんという画家の絵を見て、油絵のような感じを知った。そして、その後の流れで、日展の水彩画家だった小堀進先生や古川弘先生を見ている。

私は古川先生の弟子だから、その流れで、単なるあっさりの水彩画ではない水彩画を当たり前のように知っていた。

しかし、世の中を見ていると、どうしてもお遊び程度の水彩画が大半を占めている。
そして、それらは、とても油絵には敵わない弱いものばかりである。
絵手紙、色紙、本の挿絵程度なら、それでいいのだが、本格的に絵を描きたいという人には絶対に適さないものある。それを知らないで、本格的に描いている気になっている人を見ると知らないということは、かわいそうだなあと思ってしまう。

ーーー
ただ、薄塗りでも、先日ここで紹介した中村先生の絵になると、油絵と変わらない。そういう名人みたいな人は確かにいる。中村先生の絵は近づくと割とあっさり塗っている絵がある。しかし、ものすごい迫力で迫って来る。だからあっさりお茶漬けというような絵ではない。

ということは、たんなる薄塗りではないということである。

私は、水彩画でもこのような描き方ができることを世の中の人に知ってもらいたいと思う。

どうしても、お遊び程度の絵が流行り過ぎている。

老後の暇つぶしにやるのだからとはっきりそう決めてやっているなら仕方がないが、私は60代70代の素人に本格的な絵画を教えている。水彩で油絵を負かしそうな絵を描いている。

私の考えは、どうせやるなら、本格的に教えてもらってほしいと思う。教える先生もお遊び程度で終わらせない指導をしてほしいと思う。

絵を楽しめればいいというのも、分からなくもないが、しかし、やり始めれば段々上手くなりたいとか良い絵を描きたいという気持ちが出てくる筈である。その要求に答えてやれる指導をしてもらいたいと思う。

水彩画についての、私の思いを描いてきたが、そんなに本格的にと言うなら、油絵を描けばいいじゃないかとおっしゃる方がいるだろう。確かにその通りである。

しかし、とっつきやすさ、扱いやすさという点では、水彩画は優れている。
手軽に外でのスケッチには、油絵よりも扱いやすい。油絵具は慣れないと衣服を汚す。洗っても落ちない。その点は水彩画は素人にはばっちりである。

私は、水彩でも油でもアクリルでも、材料が違うだけでみんな同じように描けるということが言いたいのである。
それを、水彩画はこういうふうにあっさり描くんだよと教えている人に、それが当然だという教え方をしてほしくないと言いたい。

また、そのあっさりの水彩画は、ほとんどが画面の端が抜けている。中央だけ描いて、周りは消えて行くような描き方を教える。だから挿し絵程度の絵になる。
本格的な絵画は画面の外まで描くくらいの描き方が必要だと私は考える。

最後にもう一つ、透明水彩の良さは、紙の白さを生かすことだと思う。それは、私も認める。いろいろごたごた塗ってしまうと、その絵具の発色の良さが出てこない。曇ってしまうのである。或る程度の密度を持った絵具で、白い紙の上に一発で着けた発色は、その後、重ね塗りをしたのでは、もう二度と出てこない。それを私は分かっている。
ただ、紙の白さを生かすということは、そういう意味であって、白い紙を塗り残すことではない。
どうも、あっさりの水彩画教室を見ていると、全体が白けている絵が多い。それは、全てに紙の白さが残っているからである。空にも、地面にも、木々の間にも同じ白さを感じてしまう。私が教えるなら、「それは、白けていると言うんですよ」と皮肉をこめて言ってやる。

薄塗りでも、油絵に負けない描き方ならいいが、どうも軽くて吹けば飛ぶような水彩画ばかりが、世の中の常識のようになっていて、私は不満である。もっと、本格的な水彩画があることを世の中の人たちに知らせたいと思う。





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私の制作

2010-05-24 | 私の絵
みなさんは、どのように制作をされているでしょうか?

私は、昨夜、スケッチブックを整理していたら、まだ完成していない絵がたくさん出て来ました。それで、整理をしつつ、これは少し描こうという気持ちになり、始めたら4点ほど描きました。まだ完成ではありませんが、描きだすと、そのように何枚も描いてしまいます。

私の制作は、一枚が仕上がったら次の作品という訳ではありません。常に描きかけの絵がたくさんあります。場合によると、上手くいかないでほったらかしてあるというのもありますが、私の描き方は、ある程度乾かさないと次が描けないやり方なので、程良く感覚を置きながら描く必要があるのです。

だから、初めが1で、終わりが10だとすると、その途中段階のものがたくさんあります。
ということは、2まで進んでいるものを3か4まで進めるとか、5まで描いてある物を6~7まで進めるというようなやりかたで、進めます。だから、描くときは一晩で15枚くらい手を入れることがあるのです。

そして、完成に近い状態の絵がたくさんあるときは、一日に5枚完成したなどというときもあります。

ただ、123というように、順調に進めば良いのですが、絵によっては、数字が逆に進むこともあります。それは、もっと良くしたくて、壊したりするからです。

また、大きい絵の制作に入ると、それにかかりっきりになって、小さい絵のことが頭から消えしまうことがあります。その場合でも大きい絵を数枚描きます。仕上がるのは、それぞれ時期が違いますが、複数手がけるのが普通です。
或る時は、生徒がたるんでいたので、いいか見てろ!と言って、50号を二枚一週間で描いて見せました。そんなことをするときもあります。

絵は、初めの爆発力がどのくらい強いかで、インパクトも違うし、完成の時期も違うと言っていた先輩がいました。

その時は、怒りが爆発力でしたね。

ーーーー
私は、一日に何時間描いていますか?と問われたら、本当に少ない時間だと思います。
描くときは、時間を忘れて描いてしまうときもありますが、普段はあまり描きませんね。
そんなに描いてどうするの?という感じでしょうか?
良いと思える構図でないと描く気になりません。そのための取材は毎日しています。
そして、頭の中ではいろいろな構想が渦巻いています。

ラファエロの工房なら、私のアイディアを弟子にやらせるでしょうね。
まあ、今の県展指導は、そう考えたら、ラファエロの工房に近いかもしれません。
人によって、差がありますが、テーマと構図については、私のアイディアがかなり入っていますから。
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美術史クイズ 25 解答と解説

2010-05-24 | 美術史クイズ
美術史クイズ 25

解答

第1問 「あっち」と答えて、背中の方を指差した。

第2問 便器

第3問 ジャクソンポロック

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解説

第1問 セザンヌは、対象物に囚われないように、現場にいながら、わざと後ろ向きで描いたそうです。見て描くと、どうしても細かい部分に囚われて、描きすぎてしまうので、そのようにしたということです。
因みに、セザンヌは描いた絵をその場に置いて次に場所に行くため、奥さんが描き終えた絵を拾い集めて歩いたとか?そんなエピソードがあります。

第2問 マルセルデュシャンは、ダダイズムの画家と言われます。芸術破壊運動です。
有名な作品は、モナリザの顔に髭を描いた絵ですが、アメリカで開かれたアンデパンダン展に便器を出しました。男性用の小便器です。それにサインを書いて出しました。
アンデパンダン展というのは、落選がないので、誰でも出品すれば飾ってもらえるのですが、この作品だけ拒否されました。
これは、レディーメイドと言って、既に出来上がっている物で、芸術作品ではない物を芸術作品として出したところに意味があるのです。

第3問 アメリカンアートと聞くと、直ぐに思いつくのは、ポロックです。初めはフォービズムみたいな絵を描いていましたが、晩年絵具を垂らすだけの作品を作り始めます。ピカソにやるべきことを全てやられてしまったという悔しさから、自分の描くべき絵を模索し続け、偶然見つけだしたのが、このペンキを垂らすという方法でした。

その後、ジャスパージョーンズやステラ、ウォーホル、ロイリキテンシュタイン、ラウシェンバーグなどの画家たちがアメリカンアートを展開していきます。

ポロックは、50歳くらいで交通事故で亡くなりました。
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美術史クイズ 25

2010-05-23 | 美術史クイズ
美術史クイズ 25

第1問 セザンヌが外で風景画を描いている時、近所の人がどこを描いているのですかと尋ねたら、セザンヌは、なんと答えて、どこを指したでしょうか?

第2問 マルセルデュシャンが展覧会に出して、展示を断られたものは、何でしょうか?

第3問 アメリカンアートで、抽象表現主義と言われ、ペンキを垂らしただけの作品を作った人は誰ですか。

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中村先生の画集

2010-05-22 | お知らせ
中村民夫先生がこの度、画集を発行いたしました。

現在、購入希望を取っています。今回の個展でも買うことができますが、直接会場に行けない方は、先生に電話で注文するか、または、私に注文してください。


一冊 3900円です。
中のデッサンを何枚かご紹介します。  

  
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