雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

アメリカ保守

2005-12-27 22:36:19 | アメリカ
自らの財産と生命を守るためなら、いや、それらを危険に曝さないためには、道徳や倫理を超えた措置をとろうとする。その是非には議論もあろうが、アメリカの保守派は、これを是認すると考えてよかろう。アメリカ文学の大御所、大橋健三郎さんの著作に『荒野と文明』があったが、アメリカは、原風景たる荒野に文明を築いたという自負があり、これが、単なる現状維持の保守派と、アメリカの保守派の一線を画させるのではなかろうか。アメリカ建国の父たちは、確保されていた文明ではなく、荒野を選んで、新大陸に来た。保全されたものより、今よりもよい状態を求めて危険(荒野)に身を投じ、現在の合衆国をつくってきたのだ。

そうしたピルグリム・ファーザーズを思い出せ、と謳っているのが、Townhallの常任コメンテイター、Star Parker。アメリカが社会保障にあてている金額は、建国当時は総収入のたった3%だったが、現在は20%にあがっている、こうした傾向が、General Motorsが今抱えているような問題をつくり、Wal-martとは対照的だという。Harrietの最新の世論調査(11月28日時)によると、アメリカが今正しい状態にいると考えるアメリカ人は、28%にしかすぎないわけだが、その原因は、個々の問題を解決するのが、それに直面している個人や家族ではなく、組織や社会になったこと、荒野ではなく社会を前提にしていることにある、というわけだ。パーカーは、いつもこういう感じであるが、アフリカ系アメリカ人である彼女が、時には、アフリカ系アメリカ人にさえ厳しい口調で叱咤激励しているからこそ説得力をそれなりに持っているように思う(彼女にはケインズ的なものをすべて排除する傾向あり)。

こうしたアメリカ保守派の見解に関係する記事をさらにふたつ紹介しよう。

ひとつは、アメリカ保守派のなかの保守派、Charles Krauthmmarが、Townhallに寄稿したもの。合衆国大統領ブッシュが、アルカイダと思しき人々の情報を盗聴して違憲の声が殺到したが、Krauthmmarは、合憲とし、その根拠を述べている。いわゆるFISA (Foreign Intelligence Surveillance Act)は、もともと合衆国大統領の越権行為を制限すべく、その法規的措置にも秘密裁判所の認証を義務付けたものだが、1978年に制定されてから、クリントン政権まで、超法規的措置が認められてきたはずだ、という論旨。

もうひとつは、ワシントンポストから、アルカイダ関係者への非人道的および残虐な拷問禁止法案をブッシュ大統領が支持した、という記事。上記記事と矛盾するようだが、対外的には、アメリカがテロリストとは異なるということを全世界に示す目的らしいが、ある人権擁護団体の主催者ほかによると、この法案と同時にLindsey O. Graham 上院議員が提出した法案も通過する見込みで、これによって拘留時間が長くなることになり、拷問とはいかないまでもそれに近い尋問をすることも可能なのではと、疑っている。拷問禁止法案は、John McCain上院議員が提出したもので、ブッシュ側は、今年六月からずっとこの法案を撤回させるか修正させようとしてきたが、国民および議会でのMcCain支持が圧力になったとみられる。

いつも同じ結論で恐縮だが、アメリカのリーダーたちは、結局最初に書いたような「アメリカ保守派」になると思う。


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