「明日に続きます」なんていっておいて、昨日は休刊してしまいました。
ごめんなさい。
マンチェスターの、
リベンジューム・アンティーク・ビレッジ Levenshulme Antiques Village 。一昨日の続きです。
レンガ造りの町役場と、隣接する石造りの警察署の建物が民間に払い下げられ、たくさんの骨董、というか古物、ガラクタ・・・アンティーク家具屋が間借りをしている、大規模な屋内アンティーク・マーケットとして使われています。
どちらも19世紀終りごろの建物です。
もと警察署側の一階奥は、カフェになっています。
上の写真に写っている、テーブル3個が並ぶスペースは、実は中庭。
カフェがあるのは白い壁の向こうの薄暗い小さい部屋です。
上に半透明のプラスチックの屋根が葺いてあって、「半屋内」になっています。
雨には濡れませんが、中庭に続く、半吹きさらしエリアです。
喫煙が法律で許されている屋外喫茶スペース ↓は、業者の車がとめてあったり、周りで古家具の修復作業が進行していたりで、あまり居心地がよくなさそうです。
(イギリスでは2007年以降、個人住宅を除くすべての屋内スペースが禁煙になってるって、ご存知でしたか)
屋内に戻って・・・
入り口を入ったところにある、こぎれいな玄関ホールを通って、階段を上がります。
踊り場から上階の大講堂にはいる入り口は2つあります。
大講堂は古家具、あるいはセカンドハンドの家具展示販売スペースとして使われています。
何人かの業者が共同で借りているスペースのようですが、がらがらの平日の昼間、若い男の人が一人で店番していました。
彼の売り物ではない商品に関してもある程度任されているらしく、留守の店主に代わってお金のやり取りや配送手続きなどしていましたが、値段の交渉には応じられないそうです。
値段が書いていない商品も多々あって不自由です。もちろん店番の人に聞いてもわからないし・・・売り手のやる気が疑われます。
たぶん売り手の多くは、ここをショウルーム兼収納庫として借りているのではないでしょうか・・・。
ビジネスはウェッブサイトでなりたっているんじゃないかと思うのですがどうでしょう。
買う意思のある人はたぶん、電話番号を聞いて直接交渉するんじゃないかと思います。
大講堂の控え室めいたスペースでは、取壊されたりした古い建物から取り外された古いマントルピース(暖炉前面)
を専門に修復して売っています。
イギリス人では古い不動産が大人気。
築200年の一般家屋なんて、ぜんぜん珍しくありません。
古い建物の多くは内部がすっかりモダンに改装されていて、買い取った人は建築年代にあわせた模造品の飾りを買ってきて、細部までその時代の様式に再現するのが普通です。
マントルピースは、「本物」を使うのが望ましいらしいんです。
地下に降ります。
ここも家具専門。
実は地下階は、裏庭と同じレベルなんですね。
裏庭に出ます。
外もけっこうおもしろいスペースなんです。
白い低いたてものはもと厩舎。
外に年代も用途もまちまちの椅子がドカっと並べてあります。
いいなあ。私、椅子が大好きなんです。
学校の椅子、教会の椅子、工場の椅子。
庭用の置物を売る店、外に商品を出しっぱなしで、しまってました。
盗まれないんでしょうか。
苔に覆われた巨大なカエルの置物に心惹かれました。(値段が書かれていませんでした。ほんとに売り物か)
イギリスでは見慣れたビジネス、古いドアを売る商売。
古いドアは、ペンキをはがした状態のほうが価値があるのです。
過去200年近く、何重にも塗り重ねられたペンキを大きな水槽にためた剥離液につけて、いっぺんにはがすサービスもやっています。
依頼すればい自宅に来てドアを取り外して、ペンキをはがし、また取り付けてくれます。
ドアの持ち主は、年代物の樫の一枚板など高品質の素材であれば、塗装しないでビーワックスを塗って表面を保護し見せびらかします。
一度ペンキ塗装を完全に剥離したあとで自分の好みの色に塗る人も多いんです。
この、リベンジュームという町は、私が隣のエリアに住んでいた25年ほど前は正真正銘のアイルランド人街でした。
アイリッシュ・パブ、アイリッシュ・ベーカリー、ただアイルランド系の移民が経営している、というだけの普通の個人商店(家の戸口を緑のペンキで塗っているのでアイリッシュ系だとはんべつします)がずらっと並んでいました。
同時にアンティーク・ビレッジのまわりは、国道A6沿いにずらっと古物商がならび、イギリス北西部有数のアンティークエリアとして知られていました。
興味深いまちだったんです。
それがいつの間にかインド、パキスタン系のビジネスが近辺のエリアから拡張しだして、ほとんどすべての古物小売店が散逸し、アイルランド移民系の個人商店も、経営者が年をとってリタイアしたのか姿を消しました。
20年前まで存在した、アンティーク好きをひきつける、時間が止まったような古い街並みも、今は昔。
いまや、インド、パキスタン系の人達の経営するセカンドハンド携帯電話店や1ポンド均一店に占領され、町中軒並みプラスチックの大看板や、全面ガラスのショーウィンドーを埋めつくすように貼られた販促スティッカーでけばけばしく様変わりしています。
アンティーク・ビレッジ内も空き店舗スペースがひじょうに多くて、寂しい限り。
家具も以前は、「真性アンティーク」とは言えないまでも、戦前戦後の本当の古家具がほとんどでしたが、近ごろはただのセカンド・ハンド、それも私のあまり好きでない、節のある、パイン材の家具が多く並んでいます。
日本では「白木材」っていってましたっけ?
1980年代と90年代にはやりましたよね。流行おくれになって手放す人が多いんでしょうか。
戦前、1950年代の家具がいっせいに出回った10~20年前のあの頃は、今から思えば、結婚した時にそろえた家具一式を一生大事に使って亡くなったり、老人ホームに移ったりしたお年寄りが手放したものだったのかもしれません。
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