あ、パグ。
近所の商店街で見かけた、パグのオスカーです。
一時大人気だった、悲し気な顔に愛嬌があるパグを近頃あまり見ない気がします。たまに見かけるのは10年近く前のブームの時に飼い始められたお年寄りイヌが多いように思います。
私が声をかけたら、私と同年配の飼い主の女性はとても嬉しそうでした。
通りがかりの人からの自分の飼い犬への関心がうれしいだけでなく、その通りがかりの人(私)が「中国人」らしく見えたこともとても喜ばれたみたいでした。
「パグは中国のイヌだけど中国本土で今も多くの人に飼われているのか」と質問してきました。
「私は中国人ではなく、日本人なので知らない」とにこやかに言ったら「あら、ごめんなさい...」以下、中国人と日本人を混同している英国人はとても多く恥ずべきことだと思っている、日本と中国は全く違う国で、歴史も文化も似ているようでいて違うことはよく理解していますからね、この私は...と話が続き「私はそれほど もの知らず ではない」主張が始まってしまいそうでした。
あ、かんじのいい人でした、とても。
ただその話は(失礼にならないように)早めに切り上げてオスカーの話に切り替えました。
特にヨーロッパ以外の国からきた外国人と交流を深めたい人にはちょくちょく遭遇している私です。
たいていみんな良い人たちなのですが、私は概して言えば深入りしないことにしています。
あっ、今回はこんな話をするつもりではなかった!(日を改めてまた今度)
正真正銘の枯れ芝色のパグですが、しっぽの巻きがすっかり緩んでダラン...
右左に胴体をゆすって動きも緩慢です。
もともと皺の多い顔面もさらにふやけた加齢顔。
オスカーの年齢を聞いたら「8歳、ええっと9歳?」というあやふやな答えでした。
そこでコンビニエンスストアから出てきた20歳過ぎぐらいに見える息子が「12歳だよ」と毅然とした態度で答えてくれました。
飼いイヌや飼いネコの年齢って、子供がいれば子供の年齢とスライドして記憶していませんか、「xxが8歳の時に飼い始めたイヌ」といったふうに。「自分の年齢からマイナス8歳」というように子供本人のほうが飼いイヌ、飼いネコの年齢を即答しやすいことがたしかにあると思います。
パグのような顔がつぶれてガニガニ肢体のいわゆる「奇形種」の犬種のイヌって長生きしないらしいという偏見がありましたが、12歳はなかなかの長寿です。
オスカーはこの金属のゴミ箱の下の角のほうの匂いをしきりに嗅いでいました。
このゴミ箱におしっこをかける(なぜかみんなオスの)イヌを本当によく見かけます。英国には日本ほど電信柱がたくさんありません。
ゴミ箱のこの部分はアンモニアで金属が劣化してボロボロ...
「公衆便所」というより「伝言板」、インターネット時代の今は「掲示板」とでもいうべきでしょうか。地元のイヌ・コミュニティの情報発信センターのような役割を果たしているようです。
イヌはおしっこの匂いによるメッセージを次のイヌに残していくことで知られています。
オスカーもメッセージを読み上げた後、脚をあげてチョロッチョロッとおしっこをかけていきました。
飼い主は「このゴミ箱はイヌのデイリー・テレグラフ The Daily Telegraph ね」と言っていました。
発行部数が最多の、大衆紙と高級(知識人御用達)紙の中間に位置する、現首相、ボリス・ジョンソンが編集長を務めたこともある保守系日刊紙です。おそらく「日刊新聞」の代表として挙がった名前だと思われます。
ゴミ箱訪問は年は取っても情報には遅れたくない生涯現役イヌ、オスカーの朝と午後の日課だそうです。
私と別れた後オスカー、飼い主の女性とその息子は通りの先にある薬局に寄りました。
今度は女性が店内に入り、ダレて座り込むオスカーと息子が店の外に残りました。
良い言い方ですね
広島は ゴミ箱が ドンドン撤去されて
代わりに ポイ捨てが 増えてます