イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

イギリスの誇り、ジャガー・カー発祥の地であると同時に名高い(?)開かずの踏切がある近所の町

2021年06月15日 08時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ
最寄り駅、ウズムア Woodsmoor 駅 のプラットフォームでみつけた金属看板ポスターです。


地元アーティストの作品らしく、おそろしくローカルな地元エリアばかりのレトロ調観光ポスター(のパロディ)シリーズをウェッブサイトで販売しているようです。
プラットフォームにある屋根の下の掲示板にウェッブ・アドレスが書かれた宣伝チラシが貼ってありました。

ジョークは「うまい!座布団1枚」評価です。

All Things Come to Those Who Wait は「気長に待てばなんでも手に入る」あるいは「辛抱すれば希望がかなう」とでもいう意味でしょうか、よく聞く言い回しです。

そのパロディ、「Good things ! COME TO THOSE WHO WAIT (AND WAIT) IN...Woodsmoor ウズムアで辛抱強く待って待って待ち続ける人にはいいことがある!

よくぞ言ってくれた!

これがポスターに描かれている、「あかずの踏切り」です。


以前にも書きましたが、イギリスには踏切りがほとんどありません。
少なくとも町の中や住宅街の中には。
ほとんどの線路が頭上を走る高架です。
道路のはるか下を走っていて線路の上をいくつもの道路が渡っている地域もあります。
昔から、駅は高台のてっぺんなど高い場所に建設することが多かったようです。

その実、田舎には人がひとりやっと通り抜けられるほどの狭い幅の、 遮断機も警告音もない危険な「踏切り」(線路沿いの垣根の途切れた場所)がけっこうたくさんあるらしいのが驚きです。




このウズモア駅すぐそばの「あかずの踏み切り」にフラストレーションをたぎらせているのは私だけではなかったようです。

夜、定期的にマンチェスターから直通のバスに乗って帰宅していたころ、この先の国道 A6 でバスをおりてこちらに向かって歩いてきたものでしたが、3回にいちどはなぜか私の前で踏切がおりる!あるいは すでにおりている状態に遭遇するのです。

1回下りたら、10分ぐらい上がらないことがあります。
たいてい、2本ぐらい(場合によっては3本!)電車を通すあいだ遮断機はおりたままです。

「10分は少し大げさではないか」と思う方もあるでしょう。
時計を見て確認しました!最長10分です。

マンチェスター・ピカディリーと古代ローマ人が開発した天然温泉が湧く湯治場の街、バクストン Buxton を結ぶこの路線はかなり長い距離の街の中を地面と同じ高さを走っています。
マンチェスターへ向かう途中のストックポート駅に近づくあたりから、線路は道路よりぐっと低い位置にもぐり始めます。(線路の上を道路が橋のようにわたっています)

バクストンがあるピークディストリクトに入ったあたり(起伏にとんだ牧草地が続きます)はどうなのか確認していないのですが、マンチェスターとストックポート周辺に存在する踏切はこれひとつです。
他では道路や、イギリスではあまり見かけないフットブリッジ footbridge (歩道橋)が線路をまたいでいるようです。
(グーグル・マップで確認しました)

この写真の....


行き止まり標識の左側が坂になっているのがわかりますね。
線路をまたぐけっこう高い橋なのです。

右側の行き止まりにウズモア駅(無人駅)があります。

中央あたりの木の後ろに位置する、身に染みる教訓をたれるフクロウの木彫りアートについて以前書いた記事のリンクです☟☟☟。
(天気のいい日に撮りなおした鮮やかな写真と差し替え、駅舎の写真も加えました)

駅へと急ぐ人々を見下ろすフクロウに学ぶ人生訓!この頃やたらに見かける切った木の木彫り動物、フクロウは一番人気

いちど、じーっと立って踏切りが開くのを待っていることに辛抱が利かなくなり、少し戻って線路沿いに並ぶ古い家々のあいだを通って(徒歩5~6分)この線路をまたぐ橋まで歩いてきたことがあります。
ちょうど橋のてっぺんに差し掛かったあたりで、すぐ下にある駅から電車が発車しました。
そのあとすぐに踏切はあいたと思われます。

まあ、開くまで待っていても橋まで余分に歩いても、自宅にたどり着くまでの時間はほぼ同じだったのでしょうが、歩いたほうがただ立って待つより精神衛生上よっぽど良い!
夫はなぜ立って待っていられないのかといぶかりました。

せっかちなんでしょうね。
日本人の性分かもしれません(とあてにならない国民性論が登場)

バクストン方面行きの電車が通りました。


まだあきません。
もう1本か2本通すようです。
上から2番目の写真を見ていただければわかるように、クルマが1台しか通ることができない一方通行の踏切です。



踏切り番がいた時の名残りなのか古いベルが下がった昔の遮断機(?ではなさそうですね、なんだろう)が頭上高く残されています。


この踏切りは警告の音が全くなく静かです。

ちなみに、レトロポスターの下のほうに描かれた、とびかかる金属のジャガー像の下の控えめなキャプション....
「THE BIRTHPLACE OF JAGUA CARS AND HOME PLACE OF FLOWERY FIELD  ジャグワ・カーズの生誕の地でありフラワリー・フィールドの地元[であるウズモア]」
から驚くべき重要情報にたどり着きました。

ウズモアは英国を代表する高価な高級車メーカー、ジャグワ(ジャガー)・カーズ Jagua Cars の2人の創設者のうち1人の出身地なのだそうです!

駅のすぐそばにあるフラワリー・フィールドという通りで生まれた William Walmsley (1892~1961)が第一次大戦から復員した後に両親と住む自宅のガレージで始めた手作りのサイドカー(戦時中に普及したオートバイに取り付けるクルマ)ビジネスがジャグワの起源だそうです。

共同出資者、William Lyons を得てランカシャーの海辺の街、ブラックプールに移転してから美しい高級車の製造販売をはじめたそうです。

知りませんでした。



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1 コメント

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犬と暮らせば (浅井洋)
2021-06-15 20:34:10
江里様
 鉄道の駅に 交通の為の上下車 以外の 活用を考えない 英国が 素晴らしく 見えます
 
 戦後は 三国人の利権に 対抗できす 駅前はパチンコ屋だらけに成った 日本と違いますね
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