イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

また焼いてみた、今回はお菓子というより素朴なパン・・・レトロなレシピのホームベーカリー

2017年10月03日 22時02分08秒 | 英国のお菓子とデザート
おなじみの Be-Ro の、自社製品セルフ-レイジング・フラワーを使ったベーキング・レシピの小冊子。、
  

久しぶりに手に取ってみました。

今回作ってみたのは、簡単にできそうな、ミルク・ファッジ milk fadge


どう見ても、「パン」。


え、ファッジ?
ファッジといえば、砂糖と牛乳とバターを溶かして固めたキャラメル風味のお菓子のことでは?と思う方もあるかもしれません。

それは、fudge

これは、fadge。つづりが違って・・・実は発音も違うのですが、私が言うと、どっちも「ファッジ」になってしまうのです!

この、どう見てもパン、のファッジが何であるかも知らない、うちの15歳の息子でさえも、fudge と fadge のつづりを見て言い分けができるのに!

ものすごく簡単です。ぞっとするほど簡単です。

1ポンド(454グラム)のセルフ-レイジング・フラワーと、小さじいっぱいの塩、2オンス(60グラム)のラード、半パイント(235ミリリットル)の牛乳を混ぜて、こねて丸めて、摂氏375度(190℃)で、30分焼くだけ!

ラードの代わりにバターを使いました。マーガリンでも大丈夫でしょう。



例によって、セルフ-レイジング・フラワー self-rising flour の説明です。 
      
セルフ-レイジング・フラワーは、すでにベーキング・パウダーが混ぜ込まれた、イギリスではおなじみの小麦粉です。
日本ではなじみがないようですね。
1カップ(125グラム)の小麦粉に対して小さじ一杯(3グラム)が標準の割合です。それと小さじ半分(1グラム)の塩も加えられています。

このレトロなレシピ小冊子を発行した製粉会社、Be-Ro が発明したそうです。
今では、スーパーのオリジナルブランドを含め、製粉会社各社が同じ割合セルフ-レイジング・フラワーを製造販売しています。

以前に、このレシピに書いてある通りの分量でスコーンを作ってみたら膨らまなかった経験から、やはり今回もすでにベーキング・パウダーが配合されているはずのセルフ-レイジング・フラワーにさらに余分に、小さじ半分程度のベーキングパウダーを加えて、よくまぜました。

私がいつも使用する、スーパーの格安セルフ-レイジング・フラワーより、Be-Ro社は多めにベーキング・パウダーを配合しているのかもしれない・・・という勝手な予測に基づいて。





正解!膨らみました。



イーストも卵も使っていないので、バサバサ素朴な口当たり。
名前の通り、牛乳の味と香りがします。

ところで、ファッジ というのは、アイルランドではジャガイモの粉をまとめて平たく焼いた「ポテト・ケーキ」のことを言うんだそうです。昔は貧乏人の常食でした。
知らなかった!

ポテト・ケーキはイギリスでもやっぱりビンボー臭いパンの代用だったそうですが、小麦粉が不足して配給制になった戦争中に復活。

食料事情が豊かになった今でもよく食べられています。
うちの上の息子の大好物。

これ↓


市販されています。

…話がそれましたが、これ↑とは全然違います。

イギリスでは、この私が作ってみたバサバサパンのことを「ファッジ」というそうです。

ところで、調べたらどんどん、ファッジに関する脱線ネタが出てきます。

イギリスでは、ファッジのことを「ダンパー damper」 とも呼ぶそうです。
ダンパーというのは、もともと、オーストラリアの原住民が地中に焼けた石炭と一緒にドウを埋めて焼く、野趣あふれるソーダ・ブレッドのことなんだそうです。

イーストではなく、ソーダを発酵させて膨らましたパン。

写真を見たら、確かに見た目は似ているような・・・


夫は、名前は聞いたことがあるけど、このファッジ、食べたのははじめて!ととても喜んでくれました。

切ると大き目のパン屑がボロボロ。



熱いうちにマーマレードを塗って食べました。


この、黒っぽい、苦いマーマレード、日本にありますか。

翌朝、冷めたファッジをトーストして、「失敗ローリー・ポーリー」を作るためにわざわざ買った、ラズベリー・ジャムを塗って食べました。


ラズベリー・ジャムはイギリスではお菓子作りによく使われていますが、パンに塗るジャムは、日本と同様、イチゴのほうが一般的かもしれません。

前回の、レトロレシピ再現記事です。↓↓

それ以前の関連記事のリンクも含まれていますので見てください。

1950年代のレトロなレシピの再現、かわいいスコーンと逆恨み?EU離脱の裏話


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5 コメント

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苦いマーマレード (T子)
2017-10-04 09:45:28
セルフ・レイジング・フラワー。私はお菓子を作らないので同じものがあるのかどうか知りませんが、「お好み焼き粉」みたいな物ですね。山芋のパウダーなんかが入っています。
苦いマーマレード。これは私の必需品なんですけど、日本のは「甘みが少ない」とか「フルーツのみ・・」とか、健康志向ばっかりで美味しくないんです。TipTreeは輸入食材屋にあるんですが、イギリスの倍以上の値段です。渡英時にはいくつか買ってくるんですが、重いしねぇ・・・。
甘くて苦いマーマレード、日本でも作ってほしいです。
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マーマレード (八幡@やんやーやマクビティーズ)
2017-10-04 12:35:11
黒くて苦いマーマレードはないですねぇ。

ファッジ?フォッジ?は、パンとして食べると美味しそうです。
貧乏食からお菓子に発展したものってけっこうあるんですね。
日本だとなんだろう。
サツマイモかな?

戦時中のサツマイモはいまのみたいに甘くなかったそうですね。
戦争はいろんな意味でしたくありませんね…。
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貧乏食、苦いマーマレード (江里)
2017-10-06 04:35:24
私たち日本人が親たちの世代に聞かされた戦争中の話は暗くて悲しくてひもじいものばかり。イギリスは確かに日本よりは食糧事情がよかったのでしょうが、限られた食料を工夫して、おいしいものを作ったり、開戦前は見向きもしなかった貧乏食を見直したり、楽しそうな話をよく聞きます。もちろん戦死された方や、ドイツ軍の空爆で焼け出された話も聞きますが・・・戦勝国と負けた国の違い・・・?
マーガリンももともとは戦勝中の代用品です!ほかにも戦争中に考案された代用食で、今でも人気のイギリスの食べ物があります。Vデイ(戦勝記念日!、5月8日)に特集してみてもよさそう。

お好み焼き粉ってなんですか!?聞いたことないです。今度日本に行ったら買ってみます。
で、ないんですね。苦い、黒っぽいマーマレード。お土産に一考のアイデアですね。でもないってことは、みんなが嫌いだから?T子さんみたいによくイギリスにいらっしゃる人ぐらいしか食べないのかしら。 T子さん、召し上がった方が周りにいらしたら、感想をレポートをお願いします。
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Unknown (T子)
2017-10-07 09:54:47
お好み焼き粉ですが、昔は、小麦粉に混布や鰹のだし、山芋の擦ったのを入れたりしてお好み焼きを焼いたと思いますが、そういった物が入っている粉です。(東京の人には元々の物がわからないかもしれないですね。)入っているとは言え、やはり物足りないので、私はお好み焼き粉にだし汁を足しますが。

黒っぽいマーマレードは、イギリスで食べた経験のある人以外は知らないと思います。好きか嫌いかはわかりません。日本のは甘いだけのや、ぼやけた味のマーマレードが多いので、何これ?って感じになるかもしれないですね。
お土産に買うには重すぎます。買ってきて味見をしてもらうのはなかなか労力がいりますよ!
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T子さん、ありがとう (江里)
2017-10-08 07:18:17
私はお好み焼きの粉には、ほんだししか入れたことがなかったんです。日本に行ったら、ぜひお好み焼き屋で食べてみて、研究します。
はいはい。マーマレードは重いですね。確実に喜んでもらえるとわかっている人限定でお土産にした方がいいですね。確かに食べなれていないとおいしいと思えないかも。差し上げた方に気を使わせてしまうかも。参考になりました!
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