イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

やっぱり行ってみたリスボンの観光地、その2 ヘタさにあきれるタイル絵で飾られた、絶景が楽しめる静謐な修道院

2019年10月01日 21時45分37秒 | ヨーロッパ
昨日の続きです。
サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院 Mosteiro de São Vicente de Fora(城壁の外の聖ヴィセンテ修道院)。



17世紀初めに完成したマニエリスム様式の建築物ですが、修道院の基礎が築かれた12世紀の建物の一部が、ところどころ残っています。

資料の展示室にもなっている上階の小部屋いくつかは、とってもロマンチックで、「ここは本当に修道院?!」といった雰囲気です。





すぐそばの、蚤の市が開かれていた広場や通りは身動きもできないほど観光客でいっぱい。
町中、どこを歩いても人だらけです。

観光シーズンの国際観光地、リスボンですから。

しかし、この修道院のこの静けさは何ごと!?

入場料5ユーロは決して高くありません。

国際的な観光地、リスボンの名所としては実は知名度はいまひとつらしいですね。
私たちはあまり感心しなかった、英語のガイドブックおススメの蚤の市を見にここまで坂を上がってきたついでに近くなので寄ったというわけなのです。

青タイルで装飾された壁で有名だというふれこみにひかれて。

ベレンの塔のある、世界遺産、ベレン地区にある ジェロニモス修道院 Mosteiro dos Jerónimos がポルトガルで最も有名な修道院らしいですね。

シーズン中には観光バスが何台もとまり、入場するのに列に並ぶと聞きました。
私たちはそっちの方にはいきませんでした。

このサンビンセンテ、案外、穴場かもしれません。

規模はジェロニモスよりはずっと小さそうですが見るべきところはとてもたくさんあります。

まず、(繰り返しますが)青タイル!

ポルトガル第二の都市、ポルトPorto の大聖堂のクロイスターで見た愉快な青タイルのヘタ絵の写真をたくさん載せた記事のリンクです☟
ポルトの名所、大聖堂

美しいクロイスター(雨ざらしのアーケードに囲まれた中庭)....


...の周りにびっしりタイル絵。





建物の中、ほとんどの壁に生活感あふれる人々の生活が、遠近法を完全無視した風景画を背景に ちまちま描かれたヘタ・タイル絵が張り付けられています。

俗っぽいテーマ!修道院でしょ!?
もちろん私たちはタイル絵の揚げ足取りに夢中になりました。

お尻をつついてたり....


子供とイヌを巻き込んでの大ゲンカ。


弦の切れたバイオリンと野球のバット(?)で殴りあい。

夫はより目とガチャ目探しに集中していました。(顔の真ん中でタイルが切れている顔はほとんど両目の焦点があっていません)


獲物はウサギですよね。大きさと体つきが....


お祈りするウサギ。


階段エリアは絵のヘタ度が一層極まっていました。


同じタイル工房のグループが場所ごとに装飾デザインを担当したのかもしれません。



階段の途中にドアを設ける必要があったためにタイルをはぎ取って壁にペンキで(タイル絵のヘタさを踏襲して)元通りの絵が復元されていました。


何かの文化財か何かだと思うのですがいいのかな?

それにしても、代々国王の菩提寺としての役割を果たしてきた修道院だということなのに、もうちょっと絵の上手な職人を集めるわけにいかなかったのでしょうか。
絢爛たるルネッサンス文化の後、爛熟したマニュエリスム美術の時代なのに。


クロイスターの周りの一室が何気なく豪華な装飾でびっくりです。


すべて、色の違う石をはめ込んだ象嵌装飾で壁も床も柱も飾られていました。


天井は彩色!

ポルトガルの、このタイルに絵を描いて建築物に張り付けることへのこだわりは一体何なんでしょうか。





この修道院の観光上の売り物は、鐘楼に上がる階段の途中で出ることができる、微妙に斜面がついている屋上からの眺めです。


一般の人はここでおしまい、鐘楼のてっぺんには上がれません。





少し下に見えている白亜のドームは Igreja de Santa Engrácia(教会)です。
この教会の周り一帯でこの日は蚤の市が開かれていました。




テジョ河にはデッキ上にたくさんのスイミングプールがある巨大なクルーズシップが数日停泊していました。




屋上の壁に柄ものタイル(あまりもの?)を無秩序に集めて張り付けたスペースがあって、やっぱり装飾チームの美意識にいろいろ疑問がわきました。





ついでです。
リスボン観光の目玉だというサン・ジョルジュ城 Castelo de São Jorge にも行ってみました。




ガイド本によれば、修復しすぎで賛否両論、とのことですが、私はこれでいいと思います。
このぐらい修復してくれなければ、ただの廃墟です。危ないです!

やはり、見ものは絶景、ですね。


中世の城郭があった場所の高級レストランのガラスの壁で風景を移し込んでセルフィーを撮りました。



城壁に上るともうちょっと高さが楽しめます。パンク(若い女性)と夫を一緒に写しました。





なんだか眺望スポットばかり訪ねたような気がします。
実はもう一か所、究極の眺望スポットにも行ったのです。

それは次回。





コメント (2)
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やっぱり行ってみたリスボンの観光地、到着した翌日、行き当たりばったりで見てきたもの、その1

2019年10月01日 09時00分00秒 | ヨーロッパ
リスボンには海鮮料理を食べるためだけに行ったのではありません。
行き当たりばったりでしたが、観光もしました。

テージョ河畔から、急な坂道をくねくね上りました。




無秩序にゴタゴタたて込んだ17世紀ごろから残っているものもあるという古い建物が右にも左にも。



多くの古い建物の一階が観光客目当ての通俗なお土産物屋やアイスクリーム屋などなどになっているのは当然ですが、上階には人が住んでいるのです。
観光客向きの「民宿」の看板を上げているドアもありましたが。

洗濯物や、よく手入れされた植木が窓やバルコニーの手すりから下がっていますし、サテライト・ディスクもたくさん取り付けられています。

歴史ある古い町の生活感!

強烈な旅情を感じるのはこういう小さな路地を横目に通り過ぎた時。



たどり着いた目的地は、図書館で借りたガイドブックおススメの、火曜日と土曜日に開かれる Campo de Santa Clara の蚤の市。


リスボン到着の翌日が火曜日だったので思いついて行ってみることにしました。

リスボンの中心バイーシャ Baixa の東、河畔から坂のてっぺんにあるサン・ジョルジェ城までの間の地区をアルファマ Alfama といいます。

そのアルファマの中心、急な坂道の中ほどにある、白亜のドームが美しい Igreja de Santa Engráciaという教会の周り一帯を「聖クラーラの野原」と呼ぶらしいのです。
その(野原ではなく)広場と広場から広がる急な坂道の両側いっぱいに露店が並んでいました。



生活感あふれる不用品市(と掘り出し物)を期待したのですが、発展途上国製の工芸品や地元作家の手作りアクセサリーや革工芸、専門の業者が出品するセカンドハンド品が多く、商業的でかなり期待外れでした。



☝木と木の間にテジョ河が見えています。
この辺りは展望スポットでもあるのです。


すぐそばのIgreja de São Vicente de Fora(城壁の外の聖ヴィセンテ教会)と 隣接するMosteiro de São Vicente de Fora(城壁の外の聖ヴィセンテ修道院)に行ってみました。(ガイドブックのおススメスポットです)



目当ては修道院でしたが同じ敷地内にある教会にも立ち寄りました。

多くのポルトガルの教会同様、清楚な白い外観(写真がありません、残念)にかかわらず内部はけっこうゴテゴテしています。



ルネッサンスやらマニエリスムやら混合様式のけっこう建築史上重要な建物なようです。

バルセローナの大聖堂でも見かけた、各聖人を奉る個別の廟がいくつも身廊の両側にありました。
聖人の名前が書かれた募金箱がそれぞれに取り付けられていて....


(☝よく知られたアッシジの聖フランシスコと聞いたことない聖 Bras ...調べました、聖ブラシウス、やっぱり知りません...が募金箱をシェアしています)

「聖人 人気コンテスト」のようでした。

「どの聖人が一番たくさん募金を集められるか?」

バルセローナの大聖堂でも、もっとずっと大規模に「聖人 人気コンテスト」が繰り広げられていました。

この「聖バルバラ」はコスプレ・マネキンまで導入してコンテストに力が入っているようです。


しかもキリストの強力な友情出演まで...

私はいくらでも見ていられたのですが夫が飽きたというので、本命の修道院(下の写真の壁の向こう)に移動します。



(☝写真の階段のてっぺんが教会の入り口です)

修道院の中庭のブーゲンビリアが花盛りでした。





9月の半ばに南国の花の美しいディスプレイが見られて最高の気分でした。




なんだか長くなってしまいました。

城壁の外の聖ヴィセンテ修道院については次回に....


「城壁の外の」というのは名前の一部です。「de Fora」は「外の」という意味だそうです。

期待外れの蚤の市やついでに入った教会の写真までゴタゴタ載せてリスボン記事を引っ張っているような気もしてきました。

例年になく暖かいイギリスの秋ですが、朝夕は次第に冷え込むようになり、一昨日この秋初めてラジエーター(全館暖房)を実験的につけてみました。
(昨日はまた15度前後の暖かさが戻り、朝夕も暖房なしで過ごしました)

.... そう。「冷え込んできました」意外にお伝えする特にイギリスらしい話題も今、ないのです。
ああ、日が短くなっています。


暑い日が10月になった今もつづくというリスボンの話題にもう少しお付き合いください。
















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