毎日が、始めの一歩!

日々の積み重ねが、大事な歴史……

小説「新・人間革命」に学ぶ 第21巻 名場面編

2020年07月08日 | 妙法

小説「新・人間革命」に学ぶ 第21巻 名場面編  2020年7月8日

  • 連載〈世界広布の大道〉
絵・間瀬健治
絵・間瀬健治
 

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第21巻の「名場面編」。心揺さぶる小説の名場面を紹介する。挿絵は内田健一郎。
 
 

全世界に妙法の平和の種を
 

 〈1975年(昭和50年)1月26日、グアムに世界51カ国・地域の代表が集い、第1回「世界平和会議」が開催された。席上、SGI(創価学会インタナショナル)が結成。山本伸一がSGI会長に就任した〉

 司会者の弾むような声が響いた。
 SGI会長となった伸一の初めてのスピーチである。大拍手と歓声が場内をつつんだ。
 「おめでとう。ありがとう!(中略)
 ある面から見れば、この会議は小さな会議であるかもしれない。また、各国の名もない代表の集まりかもしれません。
 しかし、幾百年後には今日のこの会合が歴史に燦然と輝き、皆さんの名前も、仏法広宣流布の歴史に、また、人類史に、厳然と刻まれゆくことを私は信じます」(中略)
 続いて彼は、現在、世界は軍事、政治、経済という力の論理、利害の論理が優先されることによって平和が阻害され、常に緊張状態に置かれているのが実態であると指摘した。そして、こうした平和阻害の状況を打破し、人類を統合し、平和への千里の道を開く力こそ、高等宗教であると訴えた。
 伸一は、ここで「異体同心なれば万事を成じ」(御書1463ページ)の御文を拝し、生命尊厳の哲理を根本に、各国の民衆が団結して進んでいった時に、必ず永遠の平和が達成されると強調。(中略)
 伸一の言葉に熱がこもった。
 「ともかく地平線の彼方に、大聖人の仏法の太陽が、昇り始めました。
 皆さん方は、どうか、自分自身が花を咲かせようという気持ちでなくして、全世界に妙法という平和の種を蒔いて、その尊い一生を終わってください。私もそうします。
 私は、ある時は同志の諸君の先頭にも立ち、ある時は側面から、ある時は陰で見守りながら、全精魂を込めて応援していくでありましょう」
 最後に、彼は力強く呼びかけた。
 「どうか勇気ある大聖人の弟子として、また、慈悲ある大聖人の弟子として、また、正義に燃えた情熱の大聖人の弟子として、それぞれの国のために、尊き人間のために、民衆のために、この一生を晴れ晴れと送ってください!」
 伸一の言葉が各国語に訳されると、場内に雷鳴のような拍手が起こった。
 (「SGI」の章、40~44ページ)
 

 

人間という共通項に立て
 

 〈連日、各界のリーダーや識者らと精力的に対話を重ね、深い友情を結んでいく山本伸一。彼の「人間外交」を目にした青年部の首脳幹部たちは、懇談の折、伸一に質問する〉

 メンバーの一人が尋ねた。
 「近年、先生が会談されている要人の方は、さまざまな分野に及び、さらに、全世界に広がっております。
 また、イデオロギー的に見れば、社会主義の人も、自由主義の人もおりますし、宗教も全く異なっています。
 しかも、そういう方々が、先生とお会いになったあとは、先生を尊敬され、深い信頼を寄せられています。
 主義主張も、価値観も違う人びとと、共感し合い、友情で結ばれていくには、どういう心構えが必要でしょうか」
 伸一は、微笑みを浮かべて語り始めた。
 「いろいろ違いがあるというのは、当然のことじゃないか。違いというのは個性でもある。(中略)
 だから、差異は本来、認めることはもとより、尊敬し、学び合うべきものだ。まず、その視点をもつことだ。したがって、いかなる宗教の人であろうが、人間として尊重することが大前提だよ」(中略)
 青年と話す時、伸一の胸には、情熱が燃え盛った。(中略)
 「人には、さまざまな違いがある。多様である。しかし、その差異を超えた共通項がある。それは、皆がこの地球に住む、同じ人間であるということだ。そして、生老病死を見つめながら、誰もが幸福であることを願い、平和を望んで、懸命に生きているということだよ。その共通項に立てば、共有すべき“思想”に行き着くはずだ。
 それは、生命は尊厳なるものであり、誰にも生存の権利があるということだ。幸福になる権利があるということだ。だから、絶対に戦争を許してはならない。その生命の尊厳を裏付けているのが、一切衆生が、本来、仏であるという日蓮仏法の哲理だ」(中略)
 伸一の対話の目的は、この人間としての共通項を確認し合い、平和への共感の調べを奏でることにあった。国家、民族、宗教の違いを超えて、生命の尊厳を守る人間のスクラムを築き上げることにあった。
 (「人間外交」の章、116~118ページ)
 

 
 

一輪の花への感謝と誓い

 〈山本伸一の会長就任15周年となる5月3日、記念の式典が開催。伸一の提案により、功績のある同志をたたえる「創価功労賞」などの授賞が行われた〉

 伸一は、共に学会のため、広宣流布のために奮闘してくれた同志を賞讃し、顕彰していく流れを厳然とつくっておきたかったのである。(中略)
 陰で黙々と広宣流布のために献身してきた苦労は、いつか必ず、大功徳となって花開く。仏法は生命の厳たる因果の法則であるからだ。伸一は「冥の照覧」という法理に則り、広宣流布に尽くし抜いてくれた同志を表彰することで、その敢闘を讃え、労をねぎらい、深い感謝の心を伝えたかったのである。(中略)
 第二代会長の戸田城聖も、広宣流布のために奮闘した弟子たちをいかに賞讃し、励ますか、常に心を砕いていた。(中略)
 折々に、句や和歌を作って、功績のあった弟子たちに贈っては、讃え、励ましてきた。(中略)
 かつて戸田城聖は、彼の事業が苦境に陥り、その再建のために夜学を断念した伸一に、万般の学問の個人教授を続けた。「戸田大学」である。
 伸一は懸命に学び、ことごとく吸収していった。ある講義が修了した時、戸田は、机の上にあった一輪の花を取って、伸一の胸に挿した。
 「この講義を修了した優等生への勲章だ。伸一は、本当によくやってくれているな。金時計でも授けたいが、何もない。すまんな……」
 広宣流布の大師匠からの真心の賞讃である。伸一は、その花こそ、世界中のいかなるものにも勝る、最高に栄誉ある勲章であると思った。感動を覚えた。自分は最大の幸福者であると感じた。
 伸一は、後年、世界各国から、多くの国家勲章を受けている。また、大学・学術機関からは、(中略)世界最多の名誉学術称号を受けることになる。
 彼は、その根本要因こそ、生命の因果の法則のうえから、師匠より賜った一輪の花に対する感謝と、ますますの精進を誓った「心」にこそあったと、深く、強く、確信しているのである。
 (「共鳴音」の章、229~232ページ)
 

 
 

師に捧げる知性の宝冠

 〈5月、モスクワ大学で、山本伸一に対する、名誉博士号の授与式が行われた〉

 ホフロフ総長が立った。
 「わがモスクワ大学は、山本先生に対して名誉博士号を贈ることを決定いたしました。ただ今から、その授与式を行います。(中略)この名誉博士号の授与は、山本伸一氏の、教育活動、平和事業への多大な貢献に対するものであります」
 伸一への名誉博士号の授与は、モスクワ大学教授会の席上、同大学哲学部から提案があり、歴史学部と同大学付属アジア・アフリカ諸国大学の支持を得て、推挙され、教授会の決定をみたものであった。
 「山本先生は、優れた社会活動家、平和運動家であり、哲学者、そして数多くの著作をもつ作家として、よく知られています。会長は、それらの著作のなかで、現代の最も大事な問題として、人間関係の新しい価値観を提起しております」(中略)
 そして、総長は伸一に、名誉博士の学位記を手渡した。伸一にとって、世界の大学・学術機関からの第一号となる名誉学術称号が授けられたのである。意義深き「知性の宝冠」であった。(中略)
 ここで女子学生の代表から花束が贈られ、モスクワ大学卒業生の音楽家による弦楽器の優雅で荘重な調べが流れた。(中略)
 伸一は、演奏に耳を傾けながら、恩師・戸田城聖をしのび、心で語りかけた。
 “先生! 伸一は、ただ今、世界屈指の名門である、モスクワ大学の名誉博士号をお受けしました。これも、ひとえに戸田先生の薫陶の賜物でございます。私は、この栄誉を、弟子として先生に捧げさせていただきます。さらに、私の教育と平和の戦いを支えてくださっている、学会の全同志と共に、分かち合いたいと思います”
 伸一は、ただただ、戸田城聖の指導のままに、師の遺志を果たさんとして、世界の平和のために、全力で走り抜いてきた。
 その結果が、モスクワ大学からの名誉博士号の授与となったのである。伸一は、「創価の師弟道」のすばらしさを痛感していた。また、自分への授与によって、恩師の偉大さを示せることが何よりも嬉しかった。
 (「宝冠」の章、367~371ページ)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 〈随筆「人間革命」光あれ〉... | トップ | 全国最高協議会 池田先生が... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

妙法」カテゴリの最新記事