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マイ・ヒューマン・レボリューション――小説「新・人間革命」学習のために 第6巻 2020年4月17日

2020年04月17日 | 妙法

マイ・ヒューマン・レボリューション――小説「新・人間革命」学習のために 第6巻 2020年4月17日

 小説『新・人間革命』の山本伸一の激励・指導などを、巻ごとに紹介する「My Human Revolution(マイ・ヒューマン・レボリューション)」。今回は第6巻を掲載する。次回の第7巻は24日付2面の予定。挿絵は内田健一郎。

 
現実生活の中に喜びを発見

 <1962年(昭和37年)1月、イランのテヘランを訪れた山本伸一は、現地の暮らしになじめずに悩む日本の婦人を励ます>

 「現実というものは、理想や観念の尺度に、きちんと合うことはありえない。すると、ここが悪い、あそこが悪いとなり、失望が重なって、不平や不満だらけになってしまう。それは、たとえば、桜の木を基準に梅の木を見て、これは変な桜だと言って、落胆しているようなものでしょう。むしろ、こうでなくてはならないという、頭のなかでつくり上げた基準にこだわらず、もっと自由にものを見るべきです。
 テヘランでの生活は、慣れないために、確かに大変な面もあると思います。でも、多かれ少なかれ、どこにいても、大変なことや、いやなことはあります。それは、どんな生活環境でも、どんな人間でも同じです。百パーセントすばらしい環境もなければ、そんな人間もいません。
 あなたが基準とすべきは日本での暮らしではなく、ここでの生活です。それが現実なんですから、まず、そのまま受け入れ、ありのままに見つめてみようとすることです。(中略)
 ありのままに現実を見つめて、なんらかのよい面を、楽しいことを発見し、それを生かしていこうとすることです。
 これは、自分自身に対しても同じです。自分はどこまでいっても自分なのですから、他人を羨んでも仕方ありません。人間には短所もあれば、長所もある。だから、自分を見つめ、長所を発見し、それを伸ばしていけばいいんです。そこに価値の創造もある」
 (「宝土」の章、36~37ページ)

 

人間の心を利己から利他へ
 

 <伸一は2月、エジプトを訪問。博物館でドイツ人学者に、高度な文明をもつ国々が滅びた共通の原因について、意見を求められる>

 「もちろん、そこには、国内の経済的な衰退や内乱、他国による侵略、あるいは疫病の蔓延、自然災害など、その時々の複合的な要素があったと思います。
 しかし、一言すれば、本質的な要因は、専制国家であれ、民主国家であれ、指導者をはじめ、その国の人びとの魂の腐敗、精神の退廃にあったのではないでしょうか。人間が皆、自分のことしか考えず、享楽的になっていけば、どんなに優れた文明をもっていても、国としての活力もなくなるし、まとまることはできません。(中略)
 私は、一国の滅亡の要因は、国のなかに、さらにいえば、常に人間の心のなかにあるととらえています」(中略)
 「この発想は、決して新しいものではありません。既に七百年も前に、日本の日蓮という方が述べられた見解です」(中略)
 「日蓮という方は、日本の民衆が自然災害に苦しみ、内乱や他国の侵略の脅威に怯えていた時、救済に立ち上がられた仏法者です。
 そして、国家、社会の根本となるのは人間であり、その人間の心を、破壊から建設へ、利己から利他へ、受動から能動へと転じ、民衆が社会の主体者となって、永遠の平和を確立していく哲理を示されました」
 (「遠路」の章、129~131ページ)

 
「真実」語り抜き「偏見」正せ

 <4月の北海道総支部幹部会で伸一は、学会に対する世間の中傷が、いかに根拠のないものであるかを語る>

 「理事長が、ある著名人と会った折に、『創価学会は仏壇を焼き、香典を持っていってしまう宗教ではないのですか』と聞かれたというのです。
 そこで、理事長は『とんでもない。無認識もはなはだしい。学会では、ただの一度も、仏壇を焼けなどと言ったり、香典を持っていったことはありません』と説明しましたところ、その方は大変に驚いて、『そうでしたか。それは無認識でございました』と言っていたそうです。
 社会の指導者といわれる人でも、学会の真実を見極めたうえで語っているわけではありません。
 しかも、これまでもそうでしたが、学会の発展を恐れる勢力が、意図的に虚偽の情報を流しているケースが数多くあります。
 学会を陥れるために、根も葉もない悪意の情報を流し、何も知らない一般の人びとに信じ込ませる。そして、悪い先入観を植えつけ、世論を操作して学会を排斥するというのが、現代の迫害の、一つの構図になっております。
 したがって、私たちの広宣流布の活動は、誤った先入観に基づく人びとの誤解と偏見を正して、本当の学会の姿、仏法の真実を知らしめていくことから始まります。つまり誤解と戦い、偏見と戦うことこそ、末法の仏道修行であり、真実を語り説いていくことが折伏なのであります」
 (「加速」の章、209~210ページ)

 

責任感から強靱な生命力が
 

 <伸一は、同行の幹部から激務の中にあって、ますます元気になっている理由を聞かれ、その要諦を語る>

 「元気になるには、自ら勇んで活動していくことが大事だ。そして、自分の具体的な目標を決めて挑戦していくことだ。目標をもって力を尽くし、それが達成できれば喜びも大きい。また、学会活動のすばらしさは、同志のため、人びとのためという、慈悲の行動であることだ。それが、自分を強くしていく。
 かつて、こんな話を聞いたことがある。終戦直後、ソ連に抑留された日本人のなかで、収容所から逃げ出した一団があった。餓死寸前のなかで逃避行を続けるが、最後まで生きのびたのは、一番体力があるはずの若い男性や女性ではなく、幼子を抱えた母親であったというのだ。
 “自分が死ねば、この子どもも死ぬことになる。この子の命を助けなければ”という、わが子への思いが母を強くし、強靱な精神力と生命力を奮い起こさせていったのであろう。
 私も、学会のこと、同志のことを考えると、倒れたり、休んだりしているわけにはいかない。その一念が、私を強くし、元気にしてくれる。
 みんなも、どんな立場であっても、学会の組織の責任をもち、使命を果たし抜いていけば、強くなるし、必ず元気になっていくよ」
 (「波浪」の章、265~266ページ)

 

 
未来を決する「今の一念」

 <伸一は8月、学生部へ「御義口伝」講義を開始。法華経の「秘妙方便」を通し、奥底の一念について指導>

 「未来にどうなるかという因は、すべて、今の一念にある。現在、いかなる一念で、何をしているかによって、未来は決定づけられてしまう。
 たとえば、信心をしているといっても、どのような一念で、頑張っているかが極めて大事になる。人の目や、先輩の目は、いくらでもごまかすことはできる。自分の奥底の一念というものは、他の人にはわからない。まさに『秘』ということになります。
 しかし、生命の厳たる因果の理法だけはごまかせません。何をどう繕おうが、自分の一念が、そして、行動が、未来の結果となって明らかになる。
 私が、みんなに厳しく指導するのは、仏法の因果の理法が厳しいからです。
 たとえば、いやいやながら、義務感で御書の講義をしているとしたら、外見は菩薩界でも、一念は地獄界です。講義をしている姿は形式であり、いやだという心、義務感で苦しいという思い――これが本当の一念になる。
 学会の活動をしている時も、御本尊に向かう場合も、大事なのは、この奥底の一念です。惰性に流され、いやいやながらの、中途半端な形式的な信心であれば、本当の歓喜も、幸福も、成仏もありません。
 本当に信心の一念があれば、学会活動にも歓喜があり、顔色だってよくなるし、仕事でも知恵が出る。また、人生の途上に障害や苦難があっても、悠々と変毒為薬し、最後は一生成仏することができる」
 (「若鷲」の章、358~359ページ)

 

山本伸一の「御義口伝」講義
 
学生部の代表に「御義口伝」を講義する池田先生(1962年8月31日、東京で)
学生部の代表に「御義口伝」を講義する池田先生(1962年8月31日、東京で)
学生部の代表に「御義口伝」を講義する池田先生(1962年8月31日、東京で)

 <1962年8月、山本伸一は、学生部を対象に「御義口伝」講義を開始する。その中で、「煩悩の薪を焼いて菩提の慧火現前するなり」(御書710ページ)の御文を拝して、日蓮大聖人の仏法の特質について語る>

 「これまで、仏法では、煩悩、すなわち、人間の欲望などを否定しているかのようにとらえられてきた。しかし、ここでは、その煩悩を燃やしていくなかに、仏の悟り、智慧があらわれると言われている。ここに大聖人の仏法の特質がある。真実の仏法は、決して、欲望を否定するものではないんです。
 爾前経のなかでは、煩悩こそが、この世の不幸の原因であるとし、煩悩を断じ尽くすことを教えてきました。しかし、煩悩を、欲望を離れて人間はありません。その欲望をバネにして、崩れざる幸福を確立していく道を説いているのが、大聖人の仏法です。
 みんなが大学で立派な成績をとりたいと思うのも、よい生活をしたいというのも煩悩であり、欲望です。また、この日本の国を救いたい、世界を平和にしたいと熱願する。これも煩悩です。大煩悩です。煩悩は、信心が根底にあれば、いくらでも、燃やしていいんです。むしろ大煩悩ほど大菩提となる。それが本当の仏法です」
 (「若鷲」の章、357~358ページ)

 

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