ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

Worship Music/ANTHRAX

2011-09-17 23:31:42 | 音楽
ANTHRAXの最新作『Worship Music』を聴いた。

バンドとして正式な「新作」としてのリリースは、何と8年振りとなる事実に驚きつつ重さを感じた。

最初にアルバムを聴いた時に、そのあまりのカッコ良さに瞬殺された。
しかし聴き込めば聴き込む程、何とも言えない微妙な感覚が湧き上がって来た。

思い返してみれば、ここ数年のANTHRAXはスコット・イアン(G)も言うように決して順調(一時は解散を真剣に考えたらしい)ではなかった。
それが他でもなく、バンドに「正式なシンガー」が不在である期間があまりに長かった事が原因。
様々な紆余曲折を経て再びジョーイ・ベラドナが復帰し、やっとバンドは本来あるべき姿を取り戻して復活しようとするアルバムであると思う。



今更だが本作は、当初ジョン・ブッシュ脱退後に加入したダン・ネルソンを迎えて製作された。
しかしアルバムが完成しながらもバンドはネルソンを解雇(バンド側はその理由を語らない)、この『Worship Music』を一度オクラ入りさせている。
バンド側はジョーイを復帰させた後、ジョーイによって歌い直しているのが本作である(かなり手を加えていると言う説も有り)。
この事実こそが、良くも悪くも本作の内容の全てを物語っていると思う。

やはり要となるのは、復帰したジョーイ・ベラドナの“歌”。
この声と歌を聞いてしまえば、80年代のスラッシュ・メタル黄金期をリアルに体験している者としては無条件に熱くなる(笑)。



先にも触れたがバンド側は、当然ながら最初からベラドナを前提に楽曲は作られていない。
このアルバムに収められたら楽曲は、前任者ネルソンを想定して楽曲が作られている。
ベラドナとネルソンはタイプが全く異なるシンガー。
クラシックで綺麗なハイトーンを駆使するベラドナに対し、ネルソンはハッキリ言えばフィリップ・アンセルモ型のモダンなシンガーであった。
この事実が楽曲に色濃く出ている。



全盛期のようなハイトーンは影を潜めたものの、声と歌唱力がより深みが増したベラドナは器用に歌いこなしていて最高。
この声と歌が聴く側に与えてくれる、言葉にはし難い「特別な何か」は素晴らしい。
それがバッチリとハマるのは良いが、一方ではよりモダンなテイストが映える楽曲ではしっくり来ない。

前半の鬼気迫る迫力と張り詰めた緊張感は、聴く側にANTHRAXというバンドの持つ魅力を再認識させてくれる。
そのスリリングさとカッコ良さには、正直聴いていて何度も鳥肌が立った。
この前半の異様なテンションをラストまで維持出来てれば、バンドにとって新たな最高傑作に成り得る可能性もあった。
だが中盤以降、よりモダンなヘヴィさが際立ってくるとテンションが維持出来ずに降下してしまうのは痛い。
後半に1曲でも、ベラドナ在籍時の「らしさ」を感じさせてくれる速いナンバー(又は良い意味でキャッチーなナンバー)があればアルバムの内容は更に締まった筈だが…。



高い完成度を誇り、バンドを再起動させて未来に向けて動き出す為のアルバムとして本作は充分に魅力的であるのは事実。
スコット・イアンのザクザクしたギター・リフ、チャーリー・ベナンテのヘヴィでタイトなドラムは素晴しい。
今後バンドにとって、新たな名曲になるであろうナンバーもある
だからこそ、あと一つ何かが足りないと思えてしまうのは非常に残念でありました。
滅茶苦茶カッコ良い、正真正銘のメタル・アルバムではあるのに…。

俺の中いる悪魔の仕業
コレは偽善でもない
お前の目に見える事こそが真実
結局は与えられたモノしか
自分で手に入れる事は出来ないんだ




PS:名曲“Crawl”に関してはアルバム収録ヴァージョンよりも、日本盤ボーナス・トラックのオーケストラ・ヴァージョンの方が絶対に良いと思います!!


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