ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

Frequency Unknown/GEOFF TATE'S QUEENSRYCHE

2013-08-15 10:02:07 | 音楽
今、メタル界には2つの「QUEENSRYCHE」が存在する。

1つがマイケル・ウィルトン(G)、エディ・ジャクソン(B)、スコット・ロッケンフィールド(Dr)達による「QUEENSRŸCHE」。
そして、もう1つがジェフ・テイト(Vo)が結成した「QUEENSRYCHE」。

今更、何故このような事態になったのかを語るのは野暮だろう。
早い話、QUEENSRYCHEというバンドは“分裂”した…それも最悪の形で。
事の詳細は、ネットで検索すれば簡単かつ事の詳細を知る事が出来ます(苦笑)。



個人的にQUEENSRYCHEをバンドとしてファンだったのは、アルバムとして『Empire』まで。
それ以降、彼らの音楽的方向性は激変したので興味も聴く気も無くなった。
ただ唯一の例外はメタル・シーンにおいて屈指の名作『Operation: Mindcrime』、その続編『Operation: Mindcrime II』はアルバムを買って聴いた。
しかし、それでも彼らの「分裂」というニュースを聞いた時は驚いた。
更に正確に言えばジェフ・テイトが解雇された事と、その理由を聞いて心からショックと落胆を感じた。
両者の「バンド名」を巡る争いは法廷の場に持ち込まれ、裁判の結果は今年の11月に出る。
裁判所はそれまで両者に「QUEENSRYCHE」というバンド名の使用許可を与え、2つのQUEENSRYCHEが存在する奇妙な事態になった。



まず最初に動いたのはジェフだった。
ジェフの率いるQUEENSRYCHEのメンバーは…。

ケリー・グレイ(G)

ロバート・サーゾ(G:ex,HURRICANE)

ルディ・サーゾ(B:ex,OZZY OSBOURNE, WHITESNAKE,DIO)

ランディ・ゲーン(Key)

サイモン・ライト (Dr:AC/DC, DIO)

確かに一見豪華なメンツだが、メタル・ファンなら彼らのキャリアは良く知っている筈だ。
このラインナップを見て、本当に「バンド」と言えるのかは疑問。
ハッキリ言ってしまえば、ジェフ・テイトとその他大勢である。
とは言え、このラインナップでQUEENSRYCHEとして新作のレコーディングに突入した。
レコーディングには他にも、K・K・ダウニング(G)、ブラッド・ギルス(G)、デイヴ・メニケッティ(G)等と言った。
ジェフ人脈からなる、豪華なゲスト・ミュージシャンが参加している。
そして完成したのが、今回紹介する『Frequency Unknown』だ。



正直に告白するが、ジェフ・テイトというシンガーは個人的に大好きだった。
あの独特の深みを持った声、そして圧倒的な表現力と強靭な高音でのスクリーム。
しかしバンドの音楽的方向性の変化によって、かつての様な超人的な歌唱を聴く事は無くなった。
でも、それでもジェフの声と歌には魅力がある…と思っていた。
そんな思いを、全て一瞬にして打ち砕いたのは例の「分裂」にいたるまでの事件だ。
ジェフは他のメンバーの、自分や家族への卑劣な仕打ちに対して痛烈な批判を続けた。
しかし自身が「それは事実だ」と認めた、他のメンバーへの暴力や唾を吐く等と言った自身の非道な行為の謝罪は全く無い。
ここに今のジェフに対する、落胆と失望を拭う事が出来ない。
あと裁判でジェフ側が主張する事も、あまりに横暴かつ傲慢だと思えてしまう。
今のジェフ(とマネージメントを手掛ける家族)にあるのは、他のメンバーへの憎悪と自身の肥大したエゴだけだ…。



ジェフへの個人的な思いは抜きにして、「QUEENSRYCHE」というバンドを名乗るならアルバムの内容が大切になる。
それでアルバムを買って聴いてみた訳だが…。
コレが実は悪くない、客観的に良いアルバムだと思った(笑)。
悪くないと言っても、ここ数作のアルバムと比較しての事。
充分にハードかつメタリックな楽曲が揃っており、もし「分裂」が無ければ評価も高かったかもしれない。
ただ聴き込んで来ると、やはり「?」となる要素が出て来る。
先に挙げた豪華なゲスト陣だが、ド派手にギター・ソロを披露してくれるのはカッコ良い。
しかしQUEENSRYCHEにおいて、ギター・ソロはツインのハーモニーも重要な要素だったのでは?!
本作ではカッコ良いギター・ソロは満載だが、メロディックなギターのハモりは無い。
コレは非常に痛いと思うし、ジェフの「QUEENSRYCHEの楽曲」に対する認識の浅さが露呈している。
その楽曲も良く言えばストレート、悪く言えば単調な感じがする。
かつてQUEENSRYCHEの持っていた、ドラマチックな雰囲気を感じる事は出来ない。
「メタルは嫌い、歌いたくない」と言っていた事を、かつてのメンバー達から暴露されているジェフ。
裁判で有利になるように、ジェフ側があざとくメタル的要素のあるアルバムに仕上げた…とネガティヴな印象すら抱いてしまう(苦笑)。



そして肝心なジェフの“歌”。
やはり以前のような超人的な高音でのスクリームは無くなっている。
ただ、その声には更に深みが増して情感豊かで艶やかな“歌”は未だ健在だった。
しかし、それでも「何か」が決定的に足りない。
多分、それは本作は名義上は「QUEENSRYCHE」となっているが、実質はジェフのソロ・アルバムという事実だ。
バンドとしての連帯感や、ケミストリーはここには存在しない。
まだジェフに負けない個性を持ったメンバーが存在すれば、ソロ・アルバムではなくバンドとアルバムとしてエモーショナルになっていただろう。
それでこそジェフの“歌”は、更に素晴しいモノに昇華されるのだから…。



そして次に、いよいよマイケル達のQUEENSRYCHEが新作をリリースする。
アルバム・タイトルも、そのものズバリ『QUEENSRYCHE』!
新たなシンガーとして、トッド・ラ・トゥーレ(ex,CRIMSON GLORY)が迎えられている。
このアルバムを聴く事によって、どちらが真に「QUEENSRYCHE」と名乗るのが相応しいかハッキリするだろう。
日本盤のリリースは8月21日、楽しみに待っていたいと思う。


◯アルバムの1曲目、この曲はかつての「らしさ」を持っていて素直にカッコ良いと思った。




◯アルバムの中で、個人的に一番好きな歌がコレ…って何か皮肉めいている感じがする(自嘲)



ここは貴方を失ったまま生きる場所
貴方がいないまま生きて行く
残された者は何と言えば良いの?
そして其処には一体何が残っているの?


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