ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

PACIFIC RIM

2013-08-14 17:06:30 | 映画
『パシフィック・リム』を観た。

思えば本作を追いかけ始めて一年、公開初日に劇場で本作を観た時は色んな意味で感慨深かった。
本作を観た直後、もう興奮と感動で気持ちの整理が出来なかった(苦笑)。



2D字幕版/3D日本語吹き替え版を観て、本作に対して冷静(?)に感想が言える様になったのでブログにUPします。
あっ、思いっきりネタバレします(笑)。
まだ本作を未見の方は、コレ以降は読まない方が良いと思います。




(注意:以下ネタバレ爆裂!!)




本作を観る前、予告篇の段階から怪獣を何故“宇宙人”と主人公ローリーが語るかが不思議だった。
しかし本作を観てすぐに判ったのが、コレはローリー自身の「回想」であると言う事。
だから、ある意味で物語の冒頭から思いきっり“ネタバレ”している事になる(笑)。



それが顕著なのが冒頭。
もう10年以上にも及ぶ「怪獣戦争」の始まりが語られ、ここで人類はソレに対抗する為に人型巨大兵器“イェガー”を開発して反撃に出る。
核弾頭でしか倒せない怪獣、でも核を使い続けると人類自身が自滅する事となる。
それが“イェガー”の開発・参戦により、怪獣との戦いで人類は優勢になる。



だが主人公ローリーと兄ヤンシーがナイフヘッドとの戦いから、事態が急転して人類は危機的状況に陥ってしまう。
怪獣は学習し、更に巨大かつ強力な生物へと進化していく。
この辺りの描写が、凄まじい情報量で怒涛の勢いで展開する。



劣勢に陥った人類は怪獣との戦いを避け、「命の壁」を作り一部のエリートだけを内陸部に移住させる政策に方向転換する。
これに異を唱え怪獣との最終決戦を訴えるスタッカー司令は、現存するイェガーを全て投入して怪獣が出現する海底にある“裂け目”を破壊する作戦に賭ける。
しかし、それにより実は人類の滅亡まで数日に迫っている事も明らかになる。
本作は言ってみるならば、人類と怪獣の戦いを描いた『パシフィック・リム』という物語の最終回的な位置にあるとも言える。



したがって物語の展開も実にシンプル。
一度は敗れて戦線を離れた主人公ローリー、そして幼い頃に怪獣に惨殺されトラウマとなったヒロイン・マコ。
互いに肉親を失った者同士が出会い、心を許し合う事によって自身が抱える葛藤やトラウマを乗り越える物語になっている。



主人公ローリーを演じたチャーリー・ハナム。
冒頭では威勢の良いイェガーのパイロット・ローリーだが、ナイフヘッドとの戦いで兄を失い自身も心身に深い傷を負ってしまう。
結局、ショックから立ち直れずにパイロットを引退する。



戦いを離れていたとは言え、その鍛えられた肉体と戦闘能力は見事。
ある意味、昔の自分でもある様に意気がって見せるストライカー・ユーリカのパイロット・チャックとの格の違いと人間的成長も描かれている。
自身で早くからマコの中に、自分と“シンクロ”する要素にも早くから気付く。



そしてヒロイン・森マコを演じた菊地凛子。
当初から「エヴァ」における綾波的キャラかと思ったが、確かに綾波的要素はあるもののマコは当然より人間的なキャラになっている。
実際にはローリー役のチャーリーよりも年上の彼女だが、不思議と少女っぽい雰囲気を漂わせている。
そして可愛いキャラになっているのもポイントだろう。



マコが字幕版において英語よりも、日本語の方が少し発音のニュアンスが可笑しいのは笑えた。
ネイティヴの人から聞いた事があるが、生活言語が英語になると日本語を忘れてしまう事があるらしい。



本作でもマコの怪しい日本語は子どもの時にスタッカーの養女となり、英語メインの生活となり日本語を忘れかけていると言う設定。
吹き替え版では怪しく妙な日本語台詞の面白みは無いが林原めぐみ嬢の熱演もあり、よりエモーショナルな綾波と言う印象は強くなっている(笑)。
デル・トロ監督は「エヴァンゲリオンは観たことが無い」と言ってますが、予想以上にエヴァ的要素が強い。



あと意外だった事として。
本作では怪獣の襲撃により、人が情け容赦なく死んでいく描写は無い。
『ガメラ3』おける、「渋谷の大惨事」のような直接的な残酷描写は無い。
“怪獣”と言う巨大な怪物の恐怖と脅威は、ヒロイン・マコの少女時代の体験に集約されている。



アレだけの恐怖を体験すれば、誰もが心に深い傷を負ってしまう。
そして自分から大切なモノを奪った存在に、復讐したい言う思いを抱くだろう。
それをマコの少女時代役の芦田愛菜ちゃんは見事に演じている。
このシーンは凄いとしか言えない。



一方では怪獣の謎に迫る物語である本作。
コメディ・リリーフ的な存在であるニュートとゴットリーブの両科学者のキャラも良い。
特にニュート。
重度の怪獣ヲタクであるニュートは、怪獣の謎を暴く事と自身の名声の為に怪獣の脳にドリフトを試みる危険な実験を行う。
それが結果的に怪獣も実は生物兵器であり、ソレを作り操る“先駆者”と呼ばれる真の黒幕の存在を暴く事になる。
吹き替え版では古谷徹氏による「ガンダム」ネタ満載のアドリブと、自業自得とは言え酷い目に遭う姿には大笑いしてしまう。



もう1人のゴットリーブ博士、コチラはニュートとは違いマッドな空気をプンプンさせている。
吹き替え版では三ツ矢雄二氏によって不気味さと神経症的な雰囲気だけではなく、何処か憎めない空気感を持っているのも良い。
彼らの活躍なくして、人類は怪獣と宇宙人(異次元星人)に勝つ事は不可能だったのだから。



肝心の怪獣に関して。
冒頭のナイフヘッド登場のシーンからして、日本の怪獣映画を良く研究しているのが判る。
平成『ガメラ』シリーズからの絶大な影響を感じつつ、クライマックスでの香港の激闘は往年の東宝怪獣映画の現代的アレンジとも解釈出来る。
特にオオタチが香港上陸する時、そして翼を生やしてジプシー・デンジャーを抱えて舞い上がる時には伊福部マーチ的な音楽になるのもポイントが高い。



香港での戦いは凄まじかった
そして最終決戦は深海となりカテゴリー4のスカナーやライジュウ、ラスボスであるカテゴリー5のスラターンが登場。
香港での陸・海・空に渡る激闘に対し、深海での戦いはややメリハリに欠けたのが残念。



スラターンに関しては単体でシャッター・ドームを襲撃して、その空前絶後の巨大さと強さによる絶望感を観る側に与えても良かったのでは?
その絶望的な状況の中、何とかジプシーとストライカーをヘリで輸送させるのに成功させ海底に降下。
スラターンがそれを追いかけ、“裂け目”の付近ではライジュウ達が待ち構えると言う展開だったら更に燃えたかと思う。



そして人類唯一の対抗手段である、人型巨大兵器イェガー・シリーズ。
ピーク時には30機もあったものの、怪獣との戦いで大半が破壊され、パイロットも死亡している事実は戦いの凄惨さを物語っている。



イェガーの鋼鉄感や巨大感を体感するなら3Dをオススメ。
もう冒頭のジプシーの活躍から、日本のスーパーロボットらしさが全開。
あの独特の金属音や攻撃音を体感する為にも、音響設備の良い劇場で本作を観るのが良いだろう。



公開前はストライカーが一番のお気に入りだったが、本作を観ると俄然チェルノ・アルファの武骨なカッコ良さに燃える(笑)。
デル・トロ監督は元ネタはザク(旧ザク)だと言ったが、アームパンチやパイロット・スーツを見ればモロに世代的には「ボトムズ」だと思えた。
他のイェガー・シリーズと違って必殺技もなく、基本「怪獣をボコボコに殴る」と言うスタイルが良い。



あと活躍シーンは少ないものの、クリムゾン・タイフーンも悪くない。
例の三つ子のパイロットによる必殺技「サンダークラウド・フォーメーション」も、吹き替え版ではスーパー戦隊のロボの如く掛け声付き!
そのアクロバティックで、カンフー的な戦い方も良かった。



主人公機のジプシー。
第3世代の機体ながら、さすがは復元と言うよりも「改造」に違いくらいに手が加わっている。
チェーン・ソードだけでなく、予想通りに胸から波動砲よろしくビームが出たのでちょっと反則的なまでの強さ(核ミサイルには耐えたスラターンをコレ一発で倒した:笑)。



人間側のキャラで印象的だったのは、やはりスタッカー司令。
放射能対策が万全ではなかった、第一世代のイェガーに搭乗し怪獣と戦って来た。
しかしマコを救った東京での戦いで、被爆し余命僅かな事を隠している(それを思うと同じく第一世代から今でもイェガーに搭乗するハークは超人的:苦笑)。



当初、この役はトム・クルーズ(『狂気の山脈にて』からの流れで)起用を予定していた。
結果的には、今絶好調のイドリス・エルバがヒロイックに演じていて正解だった。
吹き替え版では玄田先生のカリスマ性溢れる声もあり、病魔に冒されながらも人類滅亡を必死に回避しようとする使命。
そして我が子のように愛するマコに危険な目に遭わせたくない父性との葛藤が際立ち、あまりに有名になってしまったアノ演説シーンがより感動的に心に響きます。



あとロン・パールマンが演じた、怪獣臓器闇市のボスであるハンニバル・チャウも良い味を出していた。
ニュートとの絡みや、怪獣の死体処理現場などでの彼はパールマンしか出せない下衆なマフィア的雰囲気はサイコー(ケンドーコバヤシのハマり方も見事)。
あと詳細は伏せるが、ラストでのギャグも良い。



最終決戦を経て迎えるラスト、それが典型的なハリウッド映画の終わり方でないのも良かった。
互いに抱える傷や苦悩を乗り越え、共に心が通じ合い過去から抜け出し未来に向けて歩み出す一歩とも言える。
あの清々しい結末こそ、壮絶な戦いが連続する本作には相応しい。



さて、既に北米では11月のソフト化が決定している本作。
何と、そこには特典として「40分(!?)のカット・シーン」が収録されると言います。



デル・トロ監督は、アチラのインタビューで「ディレクターズ・カット版は存在しない」と明言。
本編からカットしたシーンには、それをカットした理由があるとも語っています。
以前に触れた小説版ではドラマ部分が補完されていました、それを思うとカット・シーンの大半はドラマ部分なのかと予想出来ます。



そこにはパイロットを辞めた後のローリーの生活、ハンセン親子の確執や全てを知って握手を交わすスタッカー指令とローリーの姿。
更には怪獣のいる社会の、様々な側面(イェガー肯定派、経済状況、そして怪獣教等)が描かれていました。
是非、ディレクターズ・カット版も観てみたいと思ってしまうのはファンとして人情では?(苦笑)。



本当に大人から子どもまで、一緒になって楽しめる娯楽映画の傑作です。
そして子どもの頃、怪獣やロボット・アニメが好きだった方には宝物のような映画です。
ヲタクやマニア向けの作品という先入観を持たずに、多くの人々に本作の持つ楽しさと凄さを体感して欲しいと願っています。
超オススメ!!

「これは私の家族の為に!」


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