興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

桃の節句とクリスマスツリー

2022-03-06 | 戯言(たわごと、ざれごと)

 我が家は息子の強い要望で、3月に入ってもクリスマスツリーが飾られていた。

 先月の頭ぐらいだったか、妻が息子と「春になったらクリスマスツリー片付けようね」と約束していた。

 確か桃の節句の夕暮れ時、リビングルームのシャッターを閉めるときに、薄暗がりの窓にはイルミネーションの灯ったクリスマスツリーが映っていて、一瞬今が何月か分からなくなるような不思議な感覚がした。

 いっそ、一年中クリスマスツリーが飾ってあるのも悪くないんじゃないかと自分を説得し始めている頃だった。クリスマスは好きな季節だし、毎日がクリスマスの家庭があったっていいのではないかと。しかしそれでは5月人形も出せないし、どうしたものかなと、考えあぐねていた。

 ところが一昨日、3月4日、在宅の仕事が終わって一階に降りると、クリスマスツリーからイルミネーションやオーナメントが外されてかごの中に仕舞われていた。遂にふたりの間に春が来たのだなと思った。クリスマスツリー、あとで解体してしまっておいてね、と妻に言われて同意した。

 その夜、家族で義母とビデオ通話で話している時、義母の後ろに雛段があるのを見つけた息子がすかさず言った。

「ばあば!ひなまつりおわったのに、なんでおひなさまがかざってあるの?」と。

「あら、〇〇ちゃん、よく見つけたわね。お雛様はね、ひな祭りが終わってなるべく早い吉日にしまうのよ。明日が大安だから、明日しまおうと思ってるのよ」と。

 今から思うと、息子自身、季節外れのクリスマスツリーを片付ける心の準備ができたから、桃の節句を過ぎた雛段が気になったのだろう。

 自分はその時、義母のそんなたたずまいになんだか感銘を受けた。彼女はそうやってこれまでもずっと伝統行事や風習に敏感に、いろいろなことを考えながら丁寧な暮らしをしてきたのだろう。

 なんだか自分も大安の日にクリスマスツリーを片付けたくなって、昨日はクリスマスツリーの解体を見送って、本日息子と一緒に片付けた。

 なんだかすごい満足感。