今回は、夏椿さんから「家族でカウンセリングを受ける場合」の質問です。
夏椿さん、ご質問ありがとうございます。以下が夏椿さんからのご質問です:
「夫婦間の問題や家族間での問題の場合、一緒又は個々に同じカウンセラーさんにカウンセリングを受けることがあると思います。
では、夫婦間や家族間の問題としてカウンセリングを受けるのではなく、あくまでも個々のカウンセリングを受けたい場合。同じカウンセラーではなく、別のカウンセラーにて受けた方が良いのでしょうか? または同じカウンセラーでも問題ないものなのでしょうか?
以前”カウンセラーは分けた方が良い”という話を聞いたことがあり質問に至ります。ご回答頂けたら幸いです。
よろしくお願いいたします」
早速、順を追って回答していきたいと思います。
「夫婦間の問題や家族間での問題の場合、一緒又は個々に同じカウンセラーさんにカウンセリングを受けることがあると思います」
仰せの通りです。カップルセラピー、家族療法、いずれも、同じカウンセラーがすべてのメンバーを担当する場合もあれば、それぞれのメンバーについては別のカウンセラーが担当する場合もあります。そのカップルや家族を担当するセラピストの流派や、施設のポリシーなどによります。
中立性を保つために、カップル(家族)にはひとりのセラピストが、カップル(家族)のそれぞれのメンバーは、それぞれ別のセラピストが担当する、というスタイルのところは実際たくさんあります。
一方で、情報量という点においては、ひとりのセラピストがすべてのメンバーをひとりで担当するのに越したことはありません。ただ、カップルセラピーにおいては、カップルとそれぞれのクライアントと、物理的にもひとりのセラピストが担当しやすいですが、たとえば、祖父母と父母、子供5人の大家族で、このうち4人が個人セッションが必要な場合など、時間的、労力的な点においても、ひとりのセラピストが全員担当するよりも何人かのセラピストで協力した方が得策な場合もあります。
さて、本題です。
「では、夫婦間や家族間の問題としてカウンセリングを受けるのではなく、あくまでも個々のカウンセリングを受けたい場合。同じカウンセラーではなく、別のカウンセラーにて受けた方が良いのでしょうか? または同じカウンセラーでも問題ないものなのでしょうか?
以前”カウンセラーは分けた方が良い”という話を聞いたことがあり質問に至ります。ご回答頂けたら幸いです。」
良い質問ですね。これもやはりそのセラピストの流派にもよりますし、そのカップルの性質にもよります。私としても、カップル(家族)セラピーはやらずに、その構成員個人それぞれのセラピーを一人で行うことがありますし、カップル(家族)セラピーのみ、あるいは、ひとりの構成員のみのセラピーを担当する場合もあります。
「カウンセラーは分けた方がいい」という意見も、先述したように一理あり、中立性が重視される場合は特に、別々のカウンセラーが良いかもしれません。
ひとつの目安としては、そのカップル(家族)が、パートナーシップ(家族単位)としては良好であり、そこに目立った問題がない場合、ひとりのセラピストが担当しても良いと思います。もちろんカウンセラーのスキルにもよります。もしそのカウンセラーがひとりのクライアントに共感や同一視をし過ぎるようであれば、もうひとりのクライアントのセッションに好まざる影響が出る可能性もありますし、分けた方が妥当です。そして、心理カウンセリングとは、非常に有機的なものであり、始めてみないとどのような展開になるかはわかりません。そこで、予期せぬまずい状況を未然に回避するためにも、「分けた方がよい」という考えがあります。
とは言っても、これはあくまで理想の話であり、現実として、実力のある心理カウンセラーに出会うのはなかなか容易でない場合があります。たとえばその家族や夫婦が地方に住んでいて心理カウンセラーの数が絶対的に少ない場合など、無理にそれぞれ別のセラピストに会うよりも、実力のあるひとりのセラピストに担当してもらった方が効果的な場合もあります。