興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

逆境のもたらす恵み

2015-01-07 | 戯言(たわごと、ざれごと)

 "Some of the life's best lessons are learned at the worst times." --Unknown

 いつものように、なんとなくFacebookを閲覧していたら、あるアメリカ人の友達が、彼女のページで上記の言葉を紹介してくれていました。

 「人生における幾つかの最高のレッスンは、その人生において最悪なときに学ぶものだ」、といった意味ですね。これはいろいろな人が異口同音に言うことですが、私としても、非常にうなずける言葉です。

 人は、その人生において、うまくいっているとき、成功しているときよりも、なんだかいまいちな時、挫折を経験しているとき、失敗した時などに、多くのことを学ぶものです。その証拠に、今本当の意味でうまくいっている人たちは、ひとりの例外もなく、過去にその今まさに成功していることにおいて、挫折や失敗を味わったことのある人たちでしょう。

 誰だって失敗は避けたいし、挫折などしたくないものです。

 しかしその失敗のひとつひとつには、次に失敗しないための、次回はうまくいくための、秘訣がいっぱい詰まっています。私もたまに、脳天に漬物石を食らったような経験をして、しばらくの間おとなしくなって凹んでいることがありますが、自分が一番学んでいるときは、思い起こせばいつだってそのようなときです。

 漬物石のショックのなかで、なぜそのようになったのか、何がいけなかったのか、そもそもの始まりは何なのか、それは或いは避けられたことなのか、避けようのなかったことなのか、次はどのようにすればいいかなどについて、考えます。そしてその時の様々な気持ちをなるべくしっかりと味わうようにしています。とても不快な気持ちですが、せっかくの失敗を忘れないために、なるべくかみしめます。私としても、失敗は大嫌いですし、できれば味わいたくないのですが、どうやら失敗というものは、生きている限り付き物のようですし、失敗したら、根っから貧乏性なので、その失敗からとことん得られるものを得るようにしています。そうしないと、もったいないです。

 このように失敗を経験すると、同じことで失敗する確率はどんどん下がりますし、その領域で、どんどんうまくいくようになります。だから私たちは、失敗した時に、その失敗を一刻も早く忘れ去ってしまいたい衝動を抑えて、その失敗をきちんと味わうのが良いと思うのです。

 最悪な事態はいつまでも続きません。それがどれだけ暗澹たるもので、永遠に続くかのように感じられたとしても。その暗澹たる事態にしばらく留まって、次はどうやったらうまくいくか、考えましょう。次はきっとうまくいきます。