興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

とらわれと転位

2010-06-30 | プチ臨床心理学
 何かに気を取られていて、それをコントロールしたりシャットダウンしようとしている自分に気付けると、それにあまり気を取られなくなるのが不思議だ。

 つまらないものに気を取られたり、取るに足りないものに関わったり余計なエネルギーを費やすのは、そこに他のもっと根本的な問題を投影しているからに過ぎない。己の中にある問題のはけ口となる対象を、無意識に探しているからだ。

 もともとはニュートラルなものが、ふいに目障り、耳障りに思うのは、その良い例だ。それをコントロールするかわりに、もっと深い、本当の問題を見つめてみればいいのだ。
 そこに向き合いたくなかったり、向き合う準備がないから、つまらないものに関わろうとするのだ。そこに気を取られて無駄なエネルギーを使っているうちに、そのもともとの問題が意識からうやむやになる。そうしているうちには、新しい、偽物の問題が生じることはあっても、根本的には何も変わらない。

 どうでもいいものを何か重要な問題と錯覚して気を取られることに気付いていくことで、もっと自分に向き合えて、もっと自分を理解できて、つまりもっと建設的な解決策が見つかる。