小田博志研究室

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私たちには力がある

2015-09-07 | 平和

 「安保関連法案に反対する北大教員有志」の呼びかけ人として、9月6日に札幌市で開催された「わたしたちは戦わない! ―NO WAR part2― 大集会 & パレード in 北海道」(北海道弁護士連合会主催)でゲストスピーチをいたしました。2千人を超える人たちで、大盛況でした。こんな話をしました。(小田)

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 ご紹介の通り、私は大学の教員です。教室を出て、こういうところでお話しをするのは初めてで、まったく不慣れです。北海道大学教員の有志で安保法案に反対する声明を出しました。それも異例なことです。しかしまたたく間に200人以上の北大の教員が賛同してくださいました。ふだんは地味に研究をしている大学の教員も立ち上がっています。声を上げています。これはいまの日本の情勢が、大学の教員も止むに止まれず、立ち上がらないといけないほどおかしくなっている、ということの表れです。

 8月26日には東京に、安保法案に反対する80以上の大学の学者が全国から集まりました。これは画期的なことです。創価大学の教員もいました。そこで上野千鶴子さんは「これは知性、科学、学問の自由を守るためのたたかいだ」と言いました。同じ日、学者たちは日弁連と合同で集会をもちました。そのとき村越進・日弁連会長は「これは政治問題ではない」とおっしゃいました。それはどういうことでしょうか。安倍政権の安保法案のごり押しによって壊されようとしているのは、私たちの社会の根幹です。民主主義、立憲主義、法の支配、表現の自由、報道の自由、学問の自由、平和主義、基本的人権。これが関わってくるのは法律家、学者だけではありません。私たちみんなの仕事の、生活の前提そのものが、壊されようとしている。この事態に、傍観者であることは許されません。当事者として声を上げなければならないのではないでしょうか。

 大学は知性をみがく場です。しかし独裁政権にとって知性は邪魔です。知性の抑圧が、戦争への第一歩でした。1941年12月8日、太平洋戦争開戦の日、北大工学部の学生、宮澤弘幸と英語講師レーン夫妻は軍機保護法違反で逮捕されました。私たちはこのことを忘れてはなりません。第二、第三の宮澤・レーン事件を起こさせない責任があります。安保法案は廃案しかありません。そして安保法案と関連の深い、特定秘密保護法も廃止させるべきです。安保法案は氷山の一角です。

 大学で働く者として、一番大事だと思うことは、若い世代、将来の世代に、どのように望ましい未来を手渡すのか、という課題です。これ以上ツケを回してはなりません。それが教育者の、そして大人の責任です。国境線越しに武器をもってにらみ合う、それを「抑止力」だとか「安全保障」だと言いくるめる。そんな世界を手渡すのでいいのでしょうか。そうであってはいけないのです。私たちにはそうではない未来をつくる責任と力があります。

 「何をしても無駄」「選挙に行っても変わらない」、私たちは長年このような無力感を植えつけられてきました。その結果が今の状況です。私たちがつくった状況なら、私たちの手で変えることができます。私たちには力があります。私たちが主権者です。平和はひとりから。ひとりとゼロとは違います。ひとりが立ち上がれば、湖に石を投げ込んだように、波は広がっていきます。私たちひとりひとりに力があります。その波はもうこれだけ広がっています。私が、みなさんが主権者です。当事者です。政治を、現実を変えることができます。安倍政権はどうもアメリカに従っているようです。しかし政権が従うべきは、私たちに、です。私たちには政府を従わせる力があります。粘り強く、いい未来をつくっていきましょう。


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