現地、田貫湖のほとりにある駐車場へ到着したのは午前4時前。夜と言ってもよい暗さで曇った空には月が時々顔を出していました。逆さ富士を見てみたい。と言い出した妻の願いで、こんな時間にこんなところまで車でやって来ました。仕事を定時にあがり帰宅してから準備をし、仮眠を取ったとは言え東名高速道路を飛ばして真夜中の移動してきたので駐車場でも休憩をしました。田貫湖から眺める夜明けの富士山は、湖面に浮かぶ富士山の姿と重ねて逆さ富士が見えることと、年に二回、4月20日と8月20日ごろには山頂から朝日が昇り、その瞬間はダイヤモンドの光にたとえられ、ダブルダイヤモンドと名付けられています。一カ所しかないウッドデッキの展望台にはその瞬間を撮影するために2000人くらいのカメラマンが押し掛け、三脚の場所を奪い合うという社会現象になっているそうです。僕はそんな混雑を避けて一週間ほど日程をずらして山頂から外れたダブルダイヤモンドを狙って来たのです。それでも僕と同じ時間に到着した中判カメラを担いで来た老人は、毎日にようにここへ通い詰めていると言っていました。今年は山頂付近で現われた日には綺麗に撮れたと聞きました。そうです、ここ田貫湖でダブルダイヤモンドをカメラに収めることは、大変難しいことなんです。年に数日しか富士山から日が昇らないこと。夜明けに雲がなく晴れていること。風がなく湖面に波がないこと。撮影場所を確保すること。など条件が揃わないと無理なんです。来てみてわかったけど、夜明けに朝飯を食べるカモ等の水鳥が、ばしゃばしゃと水面を揺らすだけで逆さ富士の映像が崩れるのですから条件は複雑です。僕はこの日を選んで来たものの、雲がかかって見られなくてもそれはそれでしょうがないと妻には言い聞かせ、僕自身もあきらめ顔で三脚をセットしたのです。他に写真を撮りに来た人達は10人くらいで夜明け直前には30人くらいしかいませんでした。それはそうえしょう。ずっと雲がかかって富士山はまったく見えなかったんですから。一番乗りの老人だけは日が昇るくらいに晴れそうだと期待していましたが。5時くらいからファインダーを覗き出して、溜め息混じりで待ってると、5時30分くらいから富士山のすそ野から次第に山の輪郭が見え始めて雲が薄くなってきました。もしかして!と時計が進むごとに期待が膨らみ、とうとう夜明け10分前に見事に雲が無くなって富士山の全景が現われてくれました。(奇跡!)こんなこともあるんだと興奮しながら夢中でシャッターを切りました。わずか一分間の出来事です。すぐに逆光で何も見えなくなりました。雲や霧が周囲にまとわりついているので、山向こうの雲や手前の水蒸気に乱反射したりして、ダイヤモンドの光り方が普通ではありませんが、初めて撮りに行って成功しんですから満足です。人造湖なのにこんなにも美しい場所があるなんて、感激しました。この時間にここへ来てみないとわからないものがあるんですね。
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カメラにおさめらるには、本当に条件で左右しますから、奇跡に近いですね。
とても、静を感じる落ち着いた写真ですよ。
奥様も満足されたでしょう。
本当に素敵な富士山ですね。