40年ほど前の映画でこのスリリングな心理小説的映像はすごい。何気ない日常に潜む殺意の瞬間。
それはあくまで家庭という名の正当防衛なのだという見事なパラドックス。そこまでに至るプロセスの緻密さ。それは白眉の心理小説を映像で書き切ったという感じがする。
日本映画でのこのハイセンスは想像を超える。成瀬の最上作のひとつ。
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とても面白い話なのに、演出のテンポがのんびり過ぎて、シャープさに欠けていると思う。少し冗漫な話。
一つ一つの話はかなりいい。
勝地涼のまだ見ぬ母親探し。宮藤官九郎の草花壊しの償い話。倍賞千恵子の盲導犬との再会話。それぞれ感動的だ。
一番つまらないのはミムラの手術を受ける、受けないの話。
みんな死を決してまで奔走しているのに、一人楽をしようとしている感。
ここだけがちょっと浮いていたかなあ。だから、 . . . 本文を読む
毎年秋になると映画で鑑賞することになる藤沢周平作品。
正直、予告編が感動的だっただけに、本番はどうなんだろう、知らない監督でもあるし、、とうがった見方をしてしまったが、いやあ、見ている間のこの清涼感は日本人であることの自意識を否が応でも感じ取ってしまった。
前半の思春期のあの淡い気持ちが一生の恋心になる過程は素晴らしく、ラブストーリーの本道である。
そんな、亜麻色の人生が藩の思惑により現実にかき消 . . . 本文を読む