新宿ピットイン昼の部で上田凛子(2017/4/1)。
上田凜子 (p)
荒井美咲 (b)
野澤宏信 (ds)
宇野嘉紘 (tp)
龍野マリエ (vln)
柴田春音 (viola)
飯島奏人 (cello)
ピアノトリオの前面にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの弦3人、さらにトランペットという変わった編成。CD『Two Faces』発売記念のライヴであり、オリジナル中心の演奏だった。
最初の「Dedicated to France」は旅のうきうきするような曲想。弦のアンサンブルからピアノトリオにシフトし、急にジャズ的にスイングする転換で驚いた。「Nobody Knows」は謎をひとつずつ解いていくドラマのような曲であり、ふと弦がみんな爪弾いたりして、雰囲気がコンパクトに変わっていった。弦3人が抜けトランペットが入り「Do as You Like」、そしてまた弦が戻り、分厚いサウンド。トランペットが抜け、「Bustling World」では文字通り目まぐるしい世界を表現。ここでも目まぐるしい弦のあとに静けさが訪れ、ピアノが美しい旋律を弾き、重くて良いベース。終わったと思ったら激しいドラムスで再起動、音風景の転換が鮮やかだった。
セカンドセット。今度は逆に弦が入らずカルテット編成で2曲。突き刺すようなトランペットが見事。弦が入り、「Two Faces」。トランペットが抜け「Heartbeat」。ヴァイオリンからはじまり、全員が同じテーマを重ねてゆく激しい展開であり、固く重たいドラムソロが盛り上げた。そして最後の曲では、ヴァイオリンからヴィオラ、チェロが入り、さらにまたヴァイオリンが入るといった凝った導入部から、ピアノソロ、トリオ、弦が役割を次々に変え、見事なコントラストを示した。
アンコールに応え、ピアノトリオ+トランペットで、クリスチャン・マクブライドの「The Shade of the Ceder Tree」。ここでバップ的になったことがまた愉快だった。
CDは聴いていないが(このネット時代になぜ検索しても出てこないのだろう)、とても新鮮でサプライズが多いグループ。これからどのように洗練され、どのように崩れてゆくのか、追いかけてみたいところ。