テレビで久しぶりに、スティーヴン・スピルバーグ『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(1984年)を観た。
1930年代の上海。ヌルハチの宝(これを「満州の!」と言っている時点で終わっている)の受け渡しで諍いとなり、インディは飛行機で中国大陸内陸へと向かう。これが罠で、インドの高地に不時着してしまう。村の秘石が邪教集団に盗まれたというので、インディは運命的に取り戻すことを引き受ける。
実はこの高地はインドではなくスリランカの山間部で撮られている。インド出身のタミル人が多く茶のエステート(プランテーション)で働いている地域であり、そこには歴史的・構造的な差別が横たわっている。スピルバーグは勿論そんな側面を視るわけもなく、あくまでインド代替地である。所詮はスピルバーグ、彼の作品で評価すべきは『激突!』(1971年)のみだ。
NHKの『世界遺産への招待状』という番組で、「神秘の空中宮殿~古代都市シーギリヤ~」と題して、スリランカのシーギリヤ・ロックを採りあげていた(>> リンク)。現在は足だけが残っている大獅子の復元像、頂上の宮殿の復元像などははじめてみる姿であり面白い。しかし、伊東照司『スリランカ仏教美術入門』(雄山閣、1993年)に描かれている獅子の想像図よりも背が低い。どちらが正しいのだろう。
現在の獅子
当時の獅子
獅子のかつての姿 伊東照司『スリランカ仏教美術入門』(雄山閣、1993年)より
当時の王宮
ここは古代シンハラ王朝、5世紀後半に父を殺して王位に就いたカッサパ王が住んだ場所である。スリランカでは、『シーギリヤのカッサパ』(1966年)という映画が作られたようで、その一部が番組で紹介されていた。これは観たい。
『シーギリヤのカッサパ』
●参照
○スリランカの映像(1) スリランカの自爆テロ
○スリランカの映像(2) リゾートの島へ
○スリランカの映像(3) テレビ番組いくつか
○スリランカの映像(4) 木下恵介『スリランカの愛と別れ』
○スリランカの映像(5) プラサンナ・ヴィターナゲー『満月の日の死』
○スリランカの映像(6) コンラッド・ルークス『チャパクァ』